為替週間見通し:弱含みか、4-6月期米GDPは大幅なマイナス成長に

通貨
2020年7月25日 15時31分

【今週の概況】

■米中対立の深刻化を警戒してドル売り強まる

今週のドル・円は弱含み。欧州連合(EU)が復興基金の創設で7月21日まで合意し、ユーロ買い・米ドル売りが加速したことや、米国が中国に対し、テキサス州ヒューストンにある総領事館の閉鎖命令を出したことを受けて、ドル売り・円買いの動きが広がった。23日発表の週間新規失業保険申請件数は予想に反して増加し、雇用情勢のさらなる改善への期待は低下したこともドル売り材料となった。

24日のニューヨーク外為市場でドル・円は、一時105円68銭まで下落した。中国政府は、米国の行動に対する報復措置として成都の総領事館閉鎖を米国に要求した。二国間の対立が深まる状況でトランプ大統領は「米中貿易協定は署名当初に比べ意味がなくなった」との見解を示したことから、米中対立の深刻化を警戒したリスク回避の円買いが加速した。米中関係の悪化を嫌気して、米国株式は続落したことも意識され、ドル・円は106円13銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:105円68銭-107円53銭。

【来週の見通し】

■弱含みか、4-6月期米GDPは大幅なマイナス成長に

来週のドル・円は弱含みか。市場参加者の関心は、米中関係の行方や米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策論議などに向けられることになりそうだ。7月30に発表される米国の4-6月期国内総生産(GDP)は、前例のない大幅な落ち込み(マイナス成長)が見込まれており、早期回復期待の後退でリスク選好的なドル買いは抑制される可能性がある。

米連邦準備制度理事会(FRB)は7月28-29日開催のFOMC会合で、緩和的な金融政策の維持を決定する公算だが、ウイルス感染拡大の影響で米国経済の見通しは不透明であることから、今回は一段の緩和に向けメッセージが示されるか、注目される。市場はFRBのイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の年内導入の見方を変えていないため、パウエルFRB議長の発言は重要な手がかりとなろう。

中国政府は24日に声明を発表し、中国・四川省成都にある総領事館を閉鎖するよう米国に要求した。米政府が中国にテキサス州ヒューストンの総領事館閉鎖を迫ったことに対抗する措置だが、米国務省は「ヒューストンの総領事館がスパイ活動や情報活動の拠点になっていた」と指摘し、ポンペオ米国務長官は「行動を改めさせるため、民主主義国家による新たな同盟を構築して対抗すべき」、「過去の対中政策は失敗」との見方を伝えている。

中国側では、外務省報道官が24日の記者会見で、中国総領事館の閉鎖要求について、「国際法や国際関係の基本原則に違反し、両国関係を著しく破壊する」と非難し、今回の措置に至った責任は完全にアメリカ側にあるとの見解を表明している。対立解消に向けて米国と中国の双方がすみやかに譲歩するような展開は期待できないため、リスク選好的な円売りは当面抑制される可能性がある。

【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(7月28-29日開催予定)

FRBは7月28-29日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、現行の緩和的な金融政策を維持する公算。YCC導入に関してパウエル議長は改めて慎重な見解を示すとみられ、ドルは売りづらい見通し。

【米4-6月期国内総生産(GDP)速報値】(7月30日発表予定)

7月30日発表の米4-6月期国内総生産(GDP)速報値は、1-3月期の前期比年率-5.0%から大幅悪化見込まれる。複数の州で制限措置の再実施で早期回復期待は後退し、ドル買いは入りづらい。

予想レンジ:104円50銭-107円50銭

《FA》

提供:フィスコ

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