【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 「バリュー株の見直し続く、経済再開による収益改善などが選別ポイント」

市況
2020年8月15日 8時00分

「バリュー株の見直し続く、経済再開による収益改善などが選別ポイント」

●目先は2万3000円台固め、改めて業績評価の流れか

日経平均株価は連日の強い値動きによって6月以降の保ち合いレンジ(2万2000円~2万3000円)の上限を突破した。決算シーズンの中でお盆休み期間ともあって中心レンジである2万2500円処に収れんするかとみられていただけに、意外高の印象もあろう。この流れをもたらしたのは、米国で雇用関連指標の改善に加えて新型コロナウイルス感染症の拡大が鈍化していること、米追加景気対策への期待、米長期金利の上昇と為替相場におけるドル高・円安といった要因であろう。また、グロース株からバリュー株への物色が一段と強まったことにより、コロナ禍で低迷していたセクターに見直しの動きがみられたことがセンチメントを明るくさせている。

来週は、今週の大幅上昇の反動が意識されてくる可能性がある。3月の下落局面で積み上がっていたショートカバーは一巡したとの見方もされやすく、日経平均は目先2万3000円台を固める流れになりそうである。また、決算発表が一巡したことで、今後は改めて業績を評価した物色へと向かいやすい。そのほか、米中対立の行方、米大統領選に向けたトランプ政権の動向といった外部要因に振らされやすくなりそうである。決算がピークを迎えるなかでそれほど材料視されなかった新型コロナの新規感染者数の動向などへの反応も出やすくなりそうだ。

政府はコロナ感染の感染拡大を避けつつも、経済活動を早期に再開させる方針である。そのため、コロナ禍で業績が大きく悪化している企業などには、来期以降の回復を想定した長期スパンでの買いが向かいやすく、引き続きバリュー株が物色されそうだ。そのため、今回の注目銘柄としては、コロナ禍で需要が見込まれる分野のほか、経済活動再開に伴って収益改善が期待される銘柄を挙げた。

●今週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ポエック <9264> [JQ]

7月半ばに発表した20年8月期第3四半期累計(19年9月-20年5月)決算は、連結営業利益が前年同期比73.3%増の1.82億円だった。環境エネルギー分野は水処理機器およびオゾン装置を含む環境関連機器の販売が順調。通期計画に対する進捗率は74%であり、ほぼ計画線上で推移している。同社は7月28日に、東北大学とウイルスなどの感染力・毒性を取り除く不活化技術の開発と製品化に向けた共同研究契約を締結したと発表している。経済活動再開に向けた動きが本格化する中、ウイルス対策の関連銘柄として注目。

◆カカクコム <2371>

8月4日に発表した21年3月期第1四半期(4-6月)決算は、連結営業利益が前年同期比65.7%減の22.09億円だった。飲食店情報サイト「食べログ」が外食需要落ち込みの影響を大きく受けた。決算発表後は急落する場面がみられたが、経済活動再開に向けた動きがみられるなか徐々に外食需要も上向こう。また、EC利用が増えるなか「価格ドットコム」は順調。足元のリバウンドで200日移動平均線を突破してきており、仕切り直しとして注目。

◆KIYOラーニング <7353> [東証M]

個人向けオンライン資格講座や社員教育クラウドサービスの提供を手掛ける。足元でテレワーク化が広がりをみせる中、オンライン教育の需要も高まり、社員教育用の動画コンテンツを製作するサービスが好調。なお、第三者割当増資による手取金は、個人向けオンライン資格講座や法人向け社員教育クラウドサービスのユーザー利便性の向上を目的としたシステム開発などの設備投資資金のほか、人材基盤を拡張するための充当を予定している。

◆GMOペイメントゲートウェイ <3769>

キャッシュレス関連として6月3日には1万2580円まで上昇。その後は1万1000円~1万2000円レベルでこう着が続いている。レンジ下限水準での底堅さが意識されるなか、再びレンジ上限を窺う展開となっており、2カ月間に及ぶ保ち合いレンジ突破後の一段の上昇を想定。8月11日に発表した20年9月期第3四半期累計(19年10月-20年6月)の連結経常利益は前年同期比24.7%増の84.13億円となり、通期計画に対する進捗率が85%に達しており上振れが期待される。

◆ネクステージ <3186>

7月3日に決算を発表しており、20年11月期第2四半期累計(19年12月-20年5月)の連結営業利益は前年同期比94.6%減の1.77億円となったが、決算後はアク抜けの流れをみせている。7月22日高値1092円をピークに調整をみせたものの、25日移動平均線を支持線にリバウンドを強めている。経済活動再開に向けた動きに伴う第3四半期以降の回復を意識した流れとなるなか、7月高値突破でショートカバーが強まる展開を想定。

2020年8月14日 記

株探ニュース

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