【杉村富生の短期相場観測】 ─8月相場は筆者の予測とは"真逆"の展開に!

市況
2020年8月16日 9時15分

「8月相場は筆者の予測とは"真逆"の展開に!」

●53兆円減と735兆円増の明暗とは…?

夏(8月)相場はインデックス(日経平均株価TOPIXなど)には期待できず、個別物色の展開になる、と主張してきた。しかし、実際は"真逆"の動きである。読みの甘さを反省している。

為替については「円高」と考えていた。これまた1ドル=106~107円の円安(反対方向)に振れている。需給面ではドル安→円高なのだが…。

いや~、株式投資は難しい。特に、東京市場はNY市場の写真相場、かつ素直さに欠けるだけに、将来予測を困難にする。

アメリカでは長期金利が上昇、これによってドルが買われ、金(ゴールド)は売られた。単純な話である。地政学上のリスクなど国際情勢が冷静さを取り戻した、とはいえない。テクニカル的な反応だろう。

もちろん、米中対立は激化し、コロナショック(パンデミック)は収束の兆しがみえない。新型コロナウイルスの感染者数は8月10日に、2000万人(世界ベース)を超えた。ちなみに、500万人の大台に乗せたのは5月21日、1000万人が6月28日、1500万人が7月22日である。

コロナ騒動が始まった昨年12月から500万人までに約6カ月を要したが、次の1000万人(500万人増)は5週間強、そして1500万人(同)は3週間強、2000万人(同)は2週間ちょっとだ。感染スピードが加速している。この背景には検査体制の整備と経済活動を急ぎすぎたツケがあろう。

もっとも、4-6月期にアメリカのGDPは53兆円減少したが、この間にNY市場(ナスダック市場を含む)の時価総額は735兆円増となっている。アメリカの場合、個人金融資産の33%が株式だ。その資産効果は大きい。これが先行き個人消費(GDPの7割を占める)を支えると思う。

●好業績、テーマ性内包銘柄を素直に狙う!

なお、言い訳に聞こえるだろうが、8月には「円高」のアノマリー(説明のつかない出来事)が存在する。この理由は夏休みとあって社債の発行が少ないために、国債など既発債の需給が好転、さらには四半期に一度の利払い金が再投資に回る→結果として長期金利が低下するなどがある。

ただ、今年はいまのところ長期金利が上昇、経験則が生きず、崩れた格好だ。しかし、アノマリーとはいえ、ドル安・円高の季節性には注意が必要ではないか。

それと、東日本大震災のときがそうだった(国難なのに、1ドル=70円台の円高)ように、本邦企業、機関投資家は非常時に対外資産を日本に持ち帰ろうとする。この夏は4-6月期の大幅減益を材料に米国債券の金利、償還金の国内環流(手元資金を積み増す行動→円高要因)を行う可能性が指摘されている。

一方、物色面では4-6月期に大幅増益を達成、通期予想を超過したホロン <7748> [JQ]、エンバイオ・ホールディングス <6092> [東証M]、通期予想に迫っている浜井産業 <6131> [東証2]は素直に買っておきたい。もちろん、ホロンは半導体関連、浜井産業は5G関連などテーマ性を有する。

このほか、好業績に加え、大商いを演じているケアネット <2150> [東証M]、アトラエ <6194> 、チェンジ <3962> 、大幸薬品 <4574> は引き続いて狙える。直近IPOのモダリス <4883> [東証M]、コパ・コーポレーション <7689> [東証M]は出直りの動き。

2020年8月14日 記

株探ニュース

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