池上通信機---次世代放送基盤の確立に向け、超高精細な映像技術の運用に挑戦

材料
2020年8月25日 16時59分

今年創業74年目を迎える池上通信機<6771>。Ikegamiの名は放送用カメラシステムの世界的ブランドとして知られている。昨年の5月に新たな3か年中期経営計画「New Ikegami Way」を公表。“プロに貢献するプロ”として「匠の技」を活かし、テレビ放送分野における先進技術の開発に挑んでいる。新中計では、医療、検査、セキュリティ等の産業システム事業にも一層注力し、グローバル展開を推進している。

戦後、大田区の池上本門寺近くに池上通信機材製作所を創立したのが同社の原点だ。

「戦争で全てを失った日本にはモノづくりが必要だ。社会を明るくするものを作りたい」

創業者の齋藤公正(さいとう こうせい)氏が開発したのが家庭用の昇圧トランスだった。転機はNHK(日本放送協会)から放送機器システムを受注したことだった。当時の放送機器は海外製が主で、国産化のニーズが高まっていた。1960年にトランジスタ式のテレビカメラを発表、1962年には放送用小型テレビカメラ1号機を米国CBSに納入。国内外にIkegamiの名を知らしめた。以後、テレビ放送の普及とともに成長を遂げてきた。1970年代にはいるとカラーカメラをNHK、民放各社に納入。1981年にはカラースタジオカメラ自動調整デジタルコンピュータの開発により、優れたテレビ番組・技術に送られるエミー賞を受賞している。2000年代に入ってからは、宇宙環境に耐えられるカメラを開発、月周回衛星「かぐや」に搭載された。

同社の主要事業は放送事業であり、Ikegamiの放送用カメラは世界中の放送局・イベント中継で使用されている。番組制作で使用されるスタジオカメラでは国内外で豊富な納入実績を誇っている。また、スタジオカメラ映像の切替えや、外部中継との切替えなどを行うスタジオサブ装置や、スポーツイベントなど中継用カメラ、中継車などの伝送装置についても、国内で高いシェアを占めている。さらに、大規模災害や事件・事故などの緊急報道時に、現場に急行し状況を伝えるヘリコプターテレビシステム等の伝送装置も提供している。

医療用分野では、手術顕微鏡に設置される小型カメラなどのカメラシステムで国内シェアトップ。近年は中国、欧米向けのOEM事業に注力し、グローバルでの事業展開を加速している。同社の撮像技術、画像処理技術がいかんなく発揮され、臓器や血管の色を忠実に再現する高画質を実現し、医療現場を支えている。

セキュリティ事業では、官公庁市場やプラント、鉄道市場など、ハイスペックが要求される市場に特化し、同社の強みを活かしている。

さらに検査事業では、製薬市場向けに、錠剤、粉末・顆粒剤の検査装置を大手製薬メーカーの検査工程に導入され、品質管理に貢献している。高精度で多品種生産に高速処理で対応する同社の検査装置は高い信頼を得ている。

直近では、米国Yahoo! Inc. の3つのスタジオに4Kシステムカメラを22台納入した。

需要が増加しているストリーミング放送のニュースやスポーツ関連のインタビューなど多岐にわたるエンターテインメントコンテンツの制作現場で、同社のカメラシステムの性能の高さやサポート体制が評価されたものだ。また、米国4大ネットワークの一つ、ABC(American Broadcasting Company)様のNew York TV-3スタジオに最新の4K/HDマルチパーパスカメラUHL-43 を納入した。次世代放送基盤の確立に向けて、8Kカメラをはじめとする超高精細な映像技術の運用にも挑戦し、新製品を開発していこうとする同社の動きに今後も注目していきたい。

《ST》

提供:フィスコ

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.