最新“上方修正予備軍”リスト、好調&増額実績で探る「有望企業」 <株探トップ特集>

特集
2020年10月5日 19時30分

―決算発表本格化目前、業績修正履歴から見える有力候補は―

今月下旬から3月期決算企業の中間決算発表が本格化する。決算シーズン入りを前に業績見通しを修正する企業が出始めているが、10月中旬からの1ヵ月間は業績修正の発表が1年を通して最も多い時期であり、これからマーケットの関心が高まってくるとみられる。そこで今回は3月を本決算月とする企業の中から、4-6月期(第1四半期)経常利益の通期計画に対する進捗率が過去平均より高く、業績上方修正が期待できる銘柄を探ってみたい。

●業績予想のクセに注目、過去のデータを活用

通常、上場企業が期初に立てた業績予想は1年の間に何回か見直しが行われ、より現状の経営実態を映したものへと修正される。東京証券取引所の規定では、売上高に10%以上の増減、または営業利益・経常利益・当期純利益に30%以上の増減が生じた場合は業績予想を修正することが求められている。業績修正は株価に大きなインパクトを与える材料であるが、そのタイミングに目星がつけば、先回りして投資戦略を組み立てることも可能となる。そこで活用したいのが業績予想の修正履歴だ。

上場企業が算出する業績予想にはそれぞれ習性があり、毎年保守的な計画を出す企業、強気な見通しを立て続ける企業、業績修正を繰り返す企業、計画から大きく外れても修正しない企業など様々な特徴がある。また、上場企業の決算発表スケジュールは毎年一定していることが多く、業績修正を発表するタイミングも同じ時期になりやすい。こうした点を踏まえて業績修正履歴を分析すると企業ごとのパターンが浮かび上がってくる。

今回は業績上方修正を繰り返す傾向のある3月期決算企業に注目し、昨年の10月から11月にかけて上方修正した履歴がある銘柄の中から、4-6月期経常利益の通期計画に対する進捗率が過去5年間の平均値を上回り、かつ足もとの業績が好調な6社を紹介していく。

●トーメンデバは半導体需要が旺盛で上振れの公算大

トーメンデバイス <2737> は韓国サムスングループの半導体や電子部品を中心に取り扱う専門商社。21年3月期は売上高2450億円(前期比5.9%減)、経常利益28億円(同36%減)と4期ぶりのマイナス成長を見込む。ただ、同社は業績見通しを保守的に算出する傾向が強く、過去3年連続で10月下旬に通期業績と配当予想を増額した経緯がある。足もと4-6月期(第1四半期)の業績は、データセンターやパソコン向けにDRAM、NANDフラッシュ、マルチチップ・パッケージといったメモリー製品の販売が伸び、2ケタ増収増益を達成した。第1四半期経常利益の対通期進捗率は37.8%と高い水準に位置しており、上方修正期待は大きい。今後は新型コロナウイルス対策に伴うリモートワークを支えるインフラ整備やデバイス需要が同社業績を後押しするとみられる。

●ミダックは利益成長、株価ともに青空圏を快走

東海地方を中心に廃棄物処理事業を展開するミダック <6564> は、収集運搬から最終処分までの一貫処理体制を強みに同業他社を圧倒する収益力を誇る。足もとの業績は絶好調で、株価も上場来高値圏を快走する展開が続く。直近3ヵ月の4-6月期は売上高14億200万円(前年同期比14.4%増)、経常利益5億2000万円(同58.1%増)といずれも四半期ベースの過去最高を更新した。食品業界、医療業界、自治体などからの産業廃棄物の受託量が増加したほか、最終処分場を運営する子会社ミダックはまなでは建設業界からの搬入量が好調だった。同社は新規上場した18年3月期から3年連続で期中に通期業績予想を上方修正した履歴があり、直近2年は11月中旬の中間決算発表と同時に増額修正している。

●Jエレベータは4年連続の上方修正なるか

独立系のエレベーター保守会社であるジャパンエレベーターサービスホールディングス <6544> は前期まで3年連続で11月に通期業績予想を上方修正している。足もと4-6月期の業績は、緊急事態宣言に伴う工事日程や完工引き渡しの後ろ倒しでリニューアル業務は減収となったものの、主力とするエレベーターの保守・保全業務は営業拠点の拡大を背景に保守契約台数を伸ばし、トータルの経常利益は8億4900万円と前年同期比で7割近い大幅増益となった。今期は新型コロナウイルスの影響で企業の経費削減ニーズが高まるなか、メーカー系に比べ低価格でのサービス提供を武器に高成長路線を突き進む構えだ。

●日ガスは自社株買いなど追加還元の発表にも注目

日本瓦斯 <8174> の4-6月期決算は、経常利益が38億300万円(前年同期比24.1%増)と中間期計画の28億5000万円を大きく上回る好調ぶりを示している。主力の家庭用ガスがM&A効果でLPガスを中心に顧客数が増加し、巣ごもり需要を追い風に販売量も伸びた。また、販管費の抑制に加え、前期に計上した貸倒引当金繰入額がなくなったこともプラスに働いた。株主還元面では、同社は不要な自己資本は持たないという方針のもと、2期連続で総還元性向100%以上を実現してきた。今期配当は前期比30円増の100円と大幅増配を計画するが、自社株買いなどの追加還元を実施するとみられる。過去の例からみて中間決算と同時に発表する可能性が高く注目したいところだ。

●日パレットは超小型株で急騰性抜群

輸送用パレットのレンタル大手である日本パレットプール <4690> [JQ]は、時価総額30億円台の小型株で人気化した際の急騰力は目を見張るものがある。前期は2回にわたって業績上方修正しているが株価はいずれも発表翌日にストップ高をつけたほか、今期は第1四半期の好決算を受けて値幅制限いっぱいに買われた。第1四半期の業績はレンタル稼働率の向上やパレット回収の強化などで採算が改善し、経常利益は前年同期比2.6倍の2億5100万円に膨らんだ。既に通期計画(5億3000万円)の半分近くに到達しており、上方修正の公算は強い。指標面では予想PER10倍台と割安感が強く株価の水準訂正余地は大きいが、出来高流動性が乏しい点には注意が必要だ。

●レイズネクは13年ぶりの最高益更新も視野

レイズネクスト <6379> は石油・石油化学プラント関連のメンテナンスで国内トップを走るENEOS系の企業。4-6月期決算は、昨年7月に経営統合したJXエンジニアリングの収益が加わり、売上高が前年同期比31.6%増の233億7500万円、経常利益は同90.7%増の18億4400万円と業績高変化を遂げた。21年3月期通期の経常利益は96億円(前期比6.2%減)と成長一服を見込むが、3年連続で11月上旬に通期計画を増額した実績があり、減益予想から一転して増益への上方修正が期待される。同社の予想数字は保守的な傾向が強く、今期は08年3月期に記録した過去最高益104億3300万円を13年ぶりに塗り替える可能性もありそうだ。

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