為替週間見通し:もみ合いか、米大統領選の行方にらみ株価動向を注視へ

通貨
2020年10月10日 15時17分

【今週の概況】

■包括的追加経済対策への期待でドル強含み

今週のドル・円はやや強含み。新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領は10月5日夜に退院し、ホワイトハウスに戻ったことや、9月米ISM非製造業景況指数は予想外に上昇したことを受けてドル買い・円売りが先行した。その後、トランプ大統領が追加経済救済策の交渉を選挙後まで延期するよう指示したことを嫌気して、ドル売り・円買いが活発となったが、トランプ大統領が航空会社、中小企業など的を絞った財政支援策を支持する姿勢を示し、ムニューシン財務長官とペロシ下院議長が協議を再開したことで期待感が高まり、ドル買いが再び優勢となった。

9日のニューヨーク外為市場でドル・円は105円95銭まで上昇後、105円58銭まで下落した。トランプ大統領は大規模な包括的追加経済対策の支持を示したため、早期の合意成立への期待でドル買いが強まる場面があったが、共和党上院のマコネル院内総務が「大統領選挙前の合意は困難」との考えを伝えたことから、リスク選好的なドル買いは縮小。ドル・円は105円63銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:105円28銭-106円11銭。

【来週の見通し】

■もみ合いか、米大統領選の行方にらみ株価動向を注視へ

来週のドル・円はもみ合いか。来月行われる米大統領選に向け、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン候補(前副大統領)の政策や発言が注目され、株価動向を主要な手がかりとした相場展開となりそうだ。最新の情勢調査では、バイデン氏がリードを広げており、同氏の勝利に思惑が広がりやすい。

トランプ大統領は新型コロナウイルスに感染し治療を受けたが、短期間で公務に復帰。新たに打ち出した航空業界や中小企業への支援策や自身の治療経験に基づくワクチン開発などで突破口を探る。対するバイデン候補は大幅な増税とそれを原資とした大型投資を盛り込んだ政策を主張している。バイデン候補の経済再生プランは10年間で3兆ドル超の大規模な増税を伴うことから、株式市場参加者の間では当初、株価下落の要因とみなされていたが、最近では長期的には米国経済の活性化につながるとの見方に変わりつつあるようだ。

バイデン候補が優勢を維持した場合、ドル買い・円売りがやや優勢となる可能性がある。欧州中央銀行(ECB)はユーロ高を警戒していることや、豪準備銀行やNZ準備銀行も緩和的な金融政策を長期的に維持するとみられており、対米ドルで欧州通貨やオセアニア通貨は買いづらいことも、米ドル・円相場に対する支援材料となり得る。

【米・9月消費者物価指数(CPI)】(13日発表予定)

13日発表の9月消費者物価指数(CPI)は前年比+1.2%と前月の+1.3%からやや鈍化、コア指数は同比+1.8%の見通し。現時点でインフレ進行の兆候はないことから、消費者物価コア指数が市場予想を下回った場合、ドル売り材料となる可能性がある。

【米・9月小売売上高】(16日発表予定)

16日発表の9月小売売上高は前月比+0.7%と、8月の+0.6%から改善が見込まれる。個人消費の増大が確認できれば、年末に向け回復期待が広がりドル買い要因に。

予想レンジ:104円50銭-107円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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