明日の株式相場に向けて=強い株にはワケがある

市況
2020年11月19日 17時09分

きょう(19日)の東京株式市場は前日に続き売り優勢の地合いとなり、日経平均株価が93円安の2万5634円と続落した。2日にわたって米株安に追随する格好となったが、背景に共通項としてあるのは新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感だ。しかし、終盤買い戻され下げ幅を100円未満に縮小して着地している。

振り返って11月第2週以降は、新型コロナ感染者数が増勢基調にあるなかも、そこは“眼中になし”の展開となり、ワクチン開発期待を拠りどころに景気敏感株の底上げが全体指数も押し上げた。しかし、これも今週前半まで。前日から流れが変わった。これまでは「ワクチンが普及した後の経済活動の正常化を買う」という遠くを眺めた楽観モードだったものが、いきなりマーケットの目線が急増するコロナ感染者数に移動、リターンリバーサルの流れに乗りかけたバリュー株シフトの腰を折る形となった。ワクチン開発の進展と新型コロナ感染者数の増加は同時進行していたはずなのだが、経済活動の正常化を期待したり経済活動の規制を懸念したり、右に左に忙しい展開ではある。

もっとも、投資マインドがにわかに現実に引き戻された、というような悲観的な解釈はあたらないだろう。ワクチン開発期待が株式市場にアダ花を咲かせたということではない。これまでコロナ禍で業績に多大な影響を被った銘柄は、イコールではないがバリュー株の範疇に含まれる銘柄が多い。バリュー・ローテションというのは、いわゆる出遅れ循環物色のなかで、オールドカンパニーを中心にコロナでダメージを受けた銘柄を拾う動きを、ワクチン開発期待になぞらえて肯定化したもの。そして、今度はその動きが一服したタイミングが、コロナ感染者数の増勢と合致したというのが実際のところであろう。

冬場になれば、国内でも感染者数が増えるのは当然のコンセンサスとしてあったし、しかも海外と比較して検査数が圧倒的に少ないため、潜在的な感染者数はそもそも発表されている数字とは相当なカイ離があるということも暗黙のうちに認識されている。つまり、全国の感染者数が2000人を超えたから、これは大変だという状況とはみなされていない。「最大限の警戒状況にある」との認識を菅首相は示したというが、本当に深刻視しているのであれば、「GoToイートを原則4人以下で静かに食べる」などという中途半端な政策判断は全く矛盾するということになる。

コロナ報道に振り回されては本質が見えなくなる。流動性相場という上げ潮の中にいる以上は勝利に導く選択肢は常に存在する。

個別では、マザーズ指数の75日移動平均線攻防の先行きを見守る必要はあるが、IPO銘柄のアララ<4015>の集中人気が暗示しているように、中小型株への物色意欲は失われていない。ボラティリティの高い銘柄にこれまで以上に先鋭化した資金が流れ込み、それだけ資金の回転も速くなっているということはいえるが、強いトレンドを形成している銘柄にはそれなりの理由があり、継続してマークしておく必要がある。

再生可能エネルギー関連のエフオン<9514>の押し目や、ホームセンターで食品も取り扱う綿半ホールディングス<3199>の75日移動平均線絡みは着目しておきたい。需要が高まる介護関連人材ではN・フィールド<6077>、ウィルグループ<6089>。また、巣ごもり関連としては、電子書籍やライブ配信を展開するセプテーニ・ホールディングス<4293>やソニー向けソフトで実績の高い日本一ソフトウェア<3851>。また、ガーデニング用品トップのタカショー<7590>などにも目を配っておきたい。

あすのスケジュールでは、10月の全国消費者物価指数(CPI)、10月の主要コンビニエンスストア売上高、10月の食品スーパー売上高など。海外ではアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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