明日の株式相場に向けて=「半導体・5G」など表門から資金流入

市況
2020年12月1日 17時07分

名実ともに12月相場入りとなった1日の東京株式市場はリスク選好の流れが一気に強まり、日経平均株価が353円高の2万6787円と急速な切り返しに転じた。

11月相場は米国をはじめ世界的にも滅多にみられない株高マンスリーとなり、東京市場もその流れに乗って日経平均は月間で3456円の上昇をみせた。しかし、目先過熱感が意識されていたことも事実で、前日は日経平均株価が5日ぶりに反落し、きょうも朝方取引開始前は、前日の欧米株安を引き継ぎ利益確定の動きに押されるとの見方が大勢を占めていた。

だが、実際フタを開けてみると市場のコンセンサスを見事に裏切って、寄り付きから日経平均には強力な上方圧力がかかることになる。米株価指数先物の上昇基調を横目に、後場寄り早々に日経平均は400円以上値を上げる場面もあった。その後はさすがに伸び悩んだものの、きょうこのタイミングで350円あまりの上昇をみせるという展開はなかなか人間の感性では予想しにくい動きではあった。某ネット証券のストラテジストによると「今年は、月末もしくはその前後に大きく下げるケースが多い。そして、そこを拾うとほとんど成功するパターンとなっている」と指摘する。前日は大した下げではなかったが、月末の波乱は買いという一つのアノマリーが存在している。これも流動性相場のなせる業である。

個別では、半導体関連株への買いの勢いが引き続き強い。一時は同関連株を含めハイテク株売りの景気敏感株買い、あるいはバリュー買いのグロース売りが取り沙汰されたが、ともするうちに、米国株市場ではまたナスダックが買い直される展開となり、結局のところは出遅れ株を順繰りに拾う循環物色の流れが継続しているという現実を示す結果となった。タイムラグはあっても、少し時間を置いて全体を俯瞰すれば、カネ余り環境をベースとした底上げ相場の歯車がひたすら回り続けているということになる。こうなると、やはり市況が潤っている業態は波状的に買いを呼び込みやすい。その代表が半導体関連ということになる。

これまでは半導体製造装置トップの東京エレクトロン<8035>がシンボルストックとして輝きを放ち、その周りの銘柄がついていくというような感じもあったが、ここにきて半導体シリコンウエハーのSUMCO<3436>が大外から一気にまくるような鬼足を披露した。きょうで13連騰となり、サイコロジカル100%(昨日の時点で達成)の上昇パフォーマンスをみせ、マーケット関係者の視線をさらった。

半導体関連の中小型株にも物色の流れが波及してきた。秋口以降の相場において中小型株で出世頭といえるのは、半導体向け超純水装置を手掛ける野村マイクロ・サイエンス<6254>だ。10月下旬にマドを開けて上放れてからは、急勾配の5日移動平均線を絡めて圧巻の値運びといってもよい。これ以外では、地味ながら半導体装置向け真空シールを手掛けるフェローテックホールディングス<6890>も強い。また、半導体用部品ではエノモト<6928>が指標面でまだ割安といえる。比較的出遅れているマルマエ<6264>の1000円トビ台や株式需給面でやや難があった日本電子材料<6855>の1600円台なども狙い目か。出遅れという点では、半導体商社の栄電子<7567>などにも再びスポットが当たる可能性がある。

このほか、5G関連でsantec<6777>の2000円大台近辺はまだ戻り初動とみられ、大真空<6962>の2100円台も上値余地がありそうだ。

あすのスケジュールでは、11月のマネタリーベース、11月の消費動向調査など。海外では11月の米ADP全米雇用リポート、米地区連銀経済報告(ベージュブック)などが注目される。このほか、欧州では10月のユーロ圏失業率が発表される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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