明日の株式相場に向けて=コロナ変異種で相場は変わるか

市況
2020年12月22日 17時00分

22日の東京株式市場は売りに押される展開となり、日経平均株価が278円安の2万6436円と3日続落した。

きょうは日経平均が前場に260円ほどの下げをみせ2万6500円台を割り込んだものの、その後はいったん下げ渋る動きをみせた。前日同様に日銀のETF買いに対する思惑が働いたと思われる。日銀は前日に701億円のETF買いを実施したが、これは11月18日以来のことだった。ここ1カ月以上は東京市場で日銀の出番はなかったわけだが、きょうは、連日でETF砲を轟かせることが確実視されたこともあって、前場後半を境にジリジリと下げ幅を縮小した。市場関係者によると「日銀のETF買いに信頼を寄せている投資家は多く、実際、前日は午後の取引を待つことなく午前10時50分をターニングポイントとして(全体指数は)一貫した戻り足を形成した。きょうもその二番煎じで昨日より早い段階で押し目買いを誘発した」(中堅証券ストラテジスト)とみられる。

ところが、今回は思惑通りには運ばなかった。後場寄りから間断なく売りが出て日経平均は次第安の展開を強いられ、前日の残像は消し飛んだ。日経平均は再び2万6500円を割り込み下げ幅は一時300円を超えた。一つ言えるのは、相場全体の流動性が低下していることでボラティリティが高まりやすくなっている。売買代金は海外投資家の参戦が減ったことから前日から減少傾向にあったが、きょうは前場段階で1兆円台を下回り、改めて閑散商状を印象づけている。こうなると先物を絡めたアルゴリズム売買に全体相場は左右されやすくなる。また、「年末を迎え客注に対応してヘッジファンドが保有株のポジションを落としている」(国内ネット証券アナリスト)という観測も出ており、これが買い勢力の限られた相場にダメージを与える形となった。

英国で確認された新型コロナ変異種の感染が広がっており、これが懸念されている。WHOがこのコロナ変異種について、これまでに開発されたワクチンが有効との認識を示したことが伝わったが、マーケット心理を改善させるには至らなかった。年末年始相場は思ったよりも逆風が強まりそうな気配がある。しかし、新型コロナの影響で相場が大勢下落トレンドに転じる可能性は極めて低いということは認識しておく必要がある。変異種の話自体は寝耳に水というような類ではなく、これについては相場が“慣れる”時を待つよりない。

もっとも東証1部の下げは、日経平均で見ればまだ25日移動平均線との上方カイ離を解消したくらいで、悲観に傾く段階ではない。要警戒なのはマザーズ市場だ。きょうは後場になってマザーズ指数の下げが加速し1130を割り込んだ。中長期トレンドの分水嶺である75日移動平均線を12月第2週以降は下回った水準でもみ合っていたが、きょうは大陰線で下放れた格好となっている。結果として15日から始まったIPOラッシュがアダ花を咲かせる形になってしまったが、マザーズ市場は個人投資家の主戦場でもあるだけに相場環境的には厳しい状況にある。

国内ネット証券大手の信用評価損益率は前日時点で全体ベースではマイナス7.0%とまだ問題はないが、マザーズ市場に特化した数字ではマイナス18.8%とかなり冷え込んでいる。これにきょうの下げも考慮すれば、マザーズ銘柄の2階建てで売買しているような向きは追い証絡みで投げを強いられかねない。待機組はもう一段の急落があれば買い向かうチャンスとなるが、今は時期尚早だ。結果的にここからマザーズがリバウンドに転じたとしても、まだ蛮勇をふるう場面ではない。

あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(10月28~29日開催分)、10月の景気動向指数改定値など。また2社のIPOが予定されており、ENECHANGE<4169>、交換できるくん<7695>がいずれも東証マザーズ市場に新規上場視する。海外では11月の米新築住宅販売件数、11月の米個人所得・個人消費支出、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・確報値)など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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