明日の株式相場に向けて=5G・半導体関連などピンポイント物色

市況
2021年1月14日 17時02分

きょう(14日)の東京株式市場は、日経平均株価が241円高の2万8698円で5連騰と気を吐いたが、後場は先物に振り回され波乱含みの荒い値動きをみせた。

株式市場は合理的には理解しがたい動きをすることがままある。特に近年はAIアルゴリズムによるプログラミング売買が作動して、不合理が加速するケースが多い。全体指数が上昇している以上、日経平均が30年5カ月ぶりの高値圏を快走する現在は歓迎すべき相場環境には違いないが、それにしても今月7日以降の相場は唖然とさせられるほどの強さで、空売り筋はお手上げ状態となった。しかし、買い方にしても完全勝利という感じではなく「機械(AI)を除いて、この怒涛の上げ潮相場に全力で乗れている投資家(人間)は希少だろう」(中堅証券ストラテジスト)という声もある。

過剰流動性相場の終着点は現状ではまだ全く見えない。ただし、相場の上げ下げは人間の呼吸に似た部分もあり、休みなくどこまでも走り続けることはできない。来週20日のバイデン次期米政権発足に前後していったん流れが変わる可能性は念頭に置いておくところ。きょうは、後場寄りから日経平均がアルゴリズム効果で一段と噴き上げる形となり、上げ幅は一時500円を超えたが、午後2時を過ぎたあたりから急速に伸び悩んだ。

バイデン氏が大統領就任を前に、現地時間14日にもマーケットが渇望していた追加経済対策について発表する予定だが、その規模が2兆ドルと伝わったことがアルゴ買いのスイッチを押した。ただ冷静にみれば規定路線であり、同じ時間帯の米株価指数先物はたいして上昇しておらず、東京市場は根拠の希薄な上昇パフォーマンスで実需の伴わない空中戦の色が濃い。案の定、ショートポジションを組んでいたヘッジファンドの踏み上げが一巡した後は、全体指数も値を消す展開を余儀なくされた。

主力半導体関連の値動きの荒さが、高値波乱の演出に一役買っている。朝方取引開始前は、きょうは大きく下げないまでもマイナス圏で着地するのではという見方が強かった。したがって大引けの日経平均が240円あまりの上昇で5日続伸したことは御の字ともいえるが、値上がり銘柄数を値下がり銘柄数が上回ったことからも、終盤は投資家の体感温度が急低下したことを物語る。デイトレーダーは怪我をしやすい地合いだった。

個別では、きょうは後半に値を崩したものの、レーザーテック<6920>の押し目形成場面は基本的に買い場提供と考えておきたい。半導体の主力株は噴き値を買わず、あくまで押し目狙いで対処する。ただできれば、前述したようにバイデン政権の離陸前後はポジションを軽くしておくのが望ましい。相場的にも来週18日は変化日にあたる。

中小型株では、引き続き5G関連の日本電波工業<6779>や大真空<6962>、メガソーラー関連のETSホールディングス<1789>やユアテック<1934>などは波状的に物色の矛先が向く可能性がある。更に、ドローン関連の延長である「eVTOL(電動垂直型着陸機)」をテーマに、高い技術力を有しながら依然解散価値から4割もディスカウントされたPBR0.6倍前後に放置されている双葉電子工業<6986>も継続注目。

半導体関連については市場拡大見通しに変化はなく、全体指数の上昇が一服すれば値の軽い銘柄に目が向きやすくなる。栄電子<7567>や浜井産業<6131>の押し目、あるいはここジリジリと下値を切り上げている丸文<7537>などをマークしておきたい。

あすのスケジュールでは、11月の第3次産業活動指数など。海外では12月の中国新築住宅価格動向、11月のユーロ圏貿易収支、1月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数、1月の米消費者信頼感指数、12月の米小売売上高、12月の米卸売物価指数(PPI)など。

(銀)

出所:MINKABU PRESS

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.