【杉村富生の短期相場観測】 ─ 基本スタンスはコロナ制圧、世界景気の回復!
「基本スタンスはコロナ制圧、世界景気の回復!」
●2月20日前後が変化日?との声!
誰だって、ひとつやふたつ“心の傷”を負っている。いや、損したの、儲けそこなったの、といった相場の話である。2019年末の日経平均株価の終値は2万3656円、NYダウ平均は2万8538ドルだった。意外に高い。それが20年2月以降、急変する。
変化日が2月20日(長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督の誕生日)前後だったのを良く覚えている。何と、日経平均は3月19日に1万6358円(ザラバベース)、NYダウは23日に1万8213ドル(同)まで暴落した。下落率は日経平均が30.9%、NYダウが36.2%となる。まさに、奈落の底に飛び込んだような状態であった。
しかし、ここを安値に世界の株価は急騰に転じる。日経平均は今年1月14日には2万8979円(瞬間高値)まで上昇した。何と、昨年3月安値比の上昇率は77.2%だ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行→感染者数9000万人突破、死者200万人に迫る)に比例するように、株価は値上がりしている。
常識論を振りかざす人(投資家)はこの動きを理解できないし、ついていけないと思う。昨年2~3月には日経平均の2万1000円を売る権利(プット)の3月限が20~30円であったものが3000円超に、4月限の70円前後が4000円以上になった。2万~3万円(1枚)が300万円の世界である。10枚だと、3000万円だ。すごい話じゃないか。
ただ、SQ(特別清算指数の算出)まで持ち続けた人は少ないはずだ。まあ、10倍になったら売る。そして、4月以降も売りまくり、「なぜ、株価だけが上がるんだ」と切歯扼腕(せっしやくわん)しつつ、歴史的な急騰劇(チャンス)を見逃したのだろう。
●非鉄市況の高騰が意味するものは?
いや~、相場は難しい。やはり、現状を正しく認識することが肝要である。弱気筋(売り方)は政策対応の効果、株価の先見性を忘れている。20年に鉄鉱石は78%、石炭は50%、銀は47%、銅は26%、バルチック海運指数は25%、ニッケルは19%の上昇率を記録した。これは何を物語っているのか。
それはコロナショックの制圧、世界景気の回復期待である。特に、中国の立ち直りだ。非鉄金属の世界需要の5割を中国が占めている。中国の21年のGDP成長率は8%前後の高い伸びとなる。さらに、EV(電気自動車)、5G(次世代通信網)の普及が非鉄市況を押し上げる。
物色面では引き続いて、業績が急浮上に転じると見込まれる青山財産ネットワークス <8929> [東証2]、中堅企業IT 支援のライトアップ <6580> [東証M]、EV関連のインスペック <6656> [東証2]、半導体製造用電子ビーム装置のホロン <7748> [JQ]、モバイル端末管理のアイキューブドシステムズ <4495> [東証M]などに注目できる。
主軸株では、自動運転に絡み注目されるセンサー(LiDAR:ライダー)関連のニコン <7731> 、洋上風力発電(浮体式)の日立造船 <7004> 、半導体関連の芝浦メカトロニクス <6590> などに妙味があろう。
なお、短期的には昨年2~3月の“心の傷”がうずき、利食い優先の展開が予想される。これはNY市場も同様だ。しかし、大きなトレンドは変わらない。押し目買い方針は不変である。機関投資家は外国人を含め、「株式しかない」と考えている。
2021年1月15日 記
株探ニュース