来週の相場で注目すべき3つのポイント:米FOMC、日米10-12月期決算、IMF世界経済見通し
■株式相場見通し
予想レンジ:上限29000-下限28200円
来週の日経平均は引き続き一進一退の展開が予想される。週前半の26日から27日にかけて、今年最初の米FOMCが予定されている。先日のオンライン会議でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長からは既に「量的緩和の出口議論は時期尚早」とのスタンスが示されており、今回のFOMCが大きなイベントとはなりにくいが、政策メンバーの発言や全体としての金融政策方針などが更なる株高基調の支援材料となるかに注目したい。
また、週初から日本電産<6594>といった注目企業の決算発表が予定されている。日本電産は上期決算発表時に既に今期業績予想を上方修正しているが、電気自動車(EV)関連銘柄の筆頭格でもあり、永守会長の見通しに関する発言などには影響力もあるため、内容を見極めたい。ポジティブな内容であれば周辺銘柄も刺激される可能性があろう。
2月半ばまで決算シーズンが続くため、基本的には決算を受けた個別株物色が中心となりそうだが、指数など全体的な視点からは引き続き堅調な展開が期待できそうだ。投資主体別売買動向によると、1月第2週(12-15日)において、昨年11月の米大統領選以降の上昇相場の主役である海外投資家は現物株を2700億円と第1週の3800億円に続いて大きく買い越してきた。一部の外資系証券によると、海外投資家は日本株を依然としてアベノミクス開始時よりも大幅にアンダーウエート(基準よりも少なめに配分)にしているとされ、「世界経済が復調し、新型コロナウイルスの感染状況が改善すれば、資金流入の余地は多分にある」との指摘もあった。海外勢の投資余力はまだ残されていそうだ。
また、海外勢主導の相場に置いて行かれ気味の国内機関投資家についても、株式組み入れ比率がアベノミクス相場時の2013-14年頃と比べまだ相当に低いとの指摘が聞かれている。決算シーズンを挟んで生命保険や年金基金といった長期筋も日本株を買ってくるようであれば、日経平均の一段高が期待できそうだ。
そのほか、逆張り志向の強い個人投資家も1月第2週には280億円と小幅ながら買い越してきている。日経ダブルインバースETF<1357>の純資産残高も漸減傾向にあり、売り目線だった腰の重い個人投資家も買い戻しを迫られている様子が窺える。このように、全体の需給動向は総じて良好なため、下がったところでも引き続き買い遅れた投資家による押し目買いや待機資金の流入によって支えられそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円はもみ合いか。金融緩和に前向きとみられている複数の地区連銀総裁が2021年の連邦公開市場委員会(FOMC)の投票メンバーとなったことから、金利先高観は後退し、ドルに下押し圧力がかかりやすい。バイデン政策への期待感で米国株式は底堅い動きを保っているが、発表予定の経済指標が市場予想を下回った場合、株高は一服するとみられる。ただし、安全逃避的な取引が広がった場合、ドルや米国債に投資資金が向かう可能性がある。新型コロナウイルスの感染被害対策としての追加経済策への期待は残されていることも、ドル相場を下支えする要因となりそうだ。バイデン新政権がワクチン供給不足を解消するために積極的な対応を見せた場合もドル買い材料になるとみられる。
1月26-27日に開かれる2021年最初のFOMC会合では、政策金利の据え置きが決まる見込み。債券買い入れの規模拡大などについての見解が注目されそうだ。FOMCメンバーの入れ替えにより、2021年はアトランタ、シカゴ、リッチモンド、サンフランシスコの4連銀総裁が投票権を持つ。市場ではハト派寄りの顔ぶれとみられ、緩和的な金融政策の長期化が意識されそうだが、FOMCの議事要旨などで意見などを確認する必要がある。
一方、経済指標では10-12月期国内総生産(GDP)が有力な手掛かり材料となりそうだ。コロナまん延による大都市での制限措置の強化で消費の鈍化が予想されるが、前期比年率4%台のプラス成長が見込まれている。市場予想を下回った場合、株安でも安全逃避的なドル買いが増える可能性がある
■来週の注目スケジュール
1月25日(月):欧・ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が講演、世界経済フォーラム(WEF)「ダボス・アジェンダ」(29日まで)など
1月26日(火):日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(12月17・18日分)、米・消費者信頼感指数(1月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)(27日まで)、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)改訂発表など
1月27日(水):日・景気先行CI指数(11月)、中・工業利益(12月)、米・耐久財受注(12月)、米・パウエルFRB議長の記者会見など
1月28日(木):日・小売売上高(12月)、米・GDP(10-12月)速報値、米・新築住宅販売件数(12月)など
1月29日(金):日・有効求人倍率(12月)、日・鉱工業生産指数(12月)、日・建設工事受注(12月)、日・建設工事受注(12月)、米・個人所得/個人消費支出(12月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数(1月)など
1月31日(日):中・製造業PMI/非製造業PMI(1月)
《YN》