明日の株式相場に向けて=「半導体関連」狂騒曲に乗る

市況
2021年1月25日 17時00分

週明け25日の東京株式市場は買い優勢の地合いとなり、日経平均株価が190円高の2万8822円と反発した。

前週の日経平均株価は日替わりで上下動を繰り返し、5営業日のうち3営業日が安くなったものの、上昇した日の上げ幅が大きかったことで週を通じて見ればプラスだった。紆余曲折はあったが、バイデン新政権が無事発足したことで御祝儀買いというには憚(はばか)られるが、ひとまずは安心感が台頭し投資資金を誘導した。これで日経平均は週ベースでみれば4週連続の上昇となったわけだが、今週については様子見気分が高まりやすく、売り圧力は限定的ながら強気が闊歩するような地合いも見込みにくいところだ。

しかし、フタを開けてみれば依然として上値指向が強く、今週以降本格化する国内企業の決算発表や米国でのFOMCを前にして見切り発車的にリスクを取る動きが強まり、売り圧力を凌駕する状況にある。大引けにかけては例によってアルゴリズム売買が高速回転し日経平均を担ぎ上げる形となった。

今週の注目イベントとしては26~27日の日程で行われるFOMCが挙げられるが、これまでの金融緩和姿勢に変化なしという見方で、全体相場に与える影響は限られそうだ。2月はFOMCと日銀の金融政策決定会合は予定されておらず、次は3月を待つことになる。FOMCが3月16~17日開催で日銀は一歩遅れて18~19日に行われる予定。

そのなか、FOMCはイエレン財務長官とパウエルFRB議長の鉄壁ハト派ラインで当分は緩和政策に変更はなさそうだが、日銀については必ずしもそうではないようだ。場合によっては、3月の会合でETF買いについて上限の12兆円はそのままだが、購入枠を0~12兆円というように幅をもたせ、事実上のテーパリングモードで全体相場の反応を見るという観測も一部にでている。実際1月は全体相場が強かったこともあるが、ここまでETF買い出動は3回で1回当たりの購入額も501億円に減らしている。しかし、全体相場は特にこれを嫌気するというようなこともない。自転車の補助輪は必要なく、もはや自転車を漕ぐのに邪魔という局面にあるのかもしれないが、実際に出口論が幅を利かせてくるとその時の地合いによっては、バランスを崩すこともあり得るため注意が必要だ。

もっとも個別株勝負の個人投資家にしてみれば日銀のスタンスが少々変化してもあまり影響はない。全体指数の方向性よりも、テーマ物色の資金の流れがどう変遷していくかの方が重要である。

足もとは半導体関連 への資金の流れが強烈。半導体業界のキーカンパニーとなっている台湾のTSMC周辺の報道が活発だ。高速通信5G対応のスマートフォンが量産化される過程において半導体の微細化プロセスが重視され、その鍵を握るのがTSMCという位置づけである。また、TSMCに限らず、米中摩擦を背景に台湾勢の動向にマーケットの耳目が集まっている。台湾と関係性の強い銘柄としては、最近取り上げたテラプローブ<6627>が上げ足を強めたほか、野村マイクロ・サイエンス<6254>もいい動きとなってきた。

このほか半導体関連で新しいところは、微細表面加工の研磨剤を手掛けるMipox<5381>や米シリコンバレー発のファブレス企業、テックポイント・インク<6697>などもマークされる。

また、半導体関連以外ではEV・電池関連で第一稀元素化学工業<4082>も目先急動意で900円台後半まで上値を伸ばしており、4ケタ大台での活躍が意識される局面にある。デジタルトランスフォーメーション(DX)関連ではデジタルクリエーターの人材育成で先駆するメンバーズ<2130>、AWS専業のクラウドソリューション・プロバイダーであるサーバーワークス<4434>なども改めて注目してみたい。

あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(12月17~18日開催分)、12月の企業向けサービス価格指数など。海外では11月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、1月の米消費者信頼感指数など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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