【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─出遅れ感&先行き成長期待のある中小型株に注目!
「出遅れ感&先行き成長期待のある中小型株に注目!」
●グロース株への傾斜からバリューシフトを意識へ
今週の日経平均株価は大幅調整をみせ、2万8000円を割り込んだ。支持線として意識されていた25日移動平均線レベルで下げ止まらず、目先的にはボトムを探る展開が警戒されやすい。もっとも、決算発表が本格化するなかで積極的にはポジションは取りづらい需給状況であり、腰の入った売り仕掛けの動きというよりは、これまでグロース株に傾いていた物色に対するポジション調整の流れであるとみられる。米国においてもクオリティ株に傾いていた資金の動きに変化がみられ、バリューシフトが意識されてきそうだ。
また、米国ではバイデン政権を巡る経済対策への期待は大きいものの、2月に入るとトランプ前大統領の弾劾審議が始まる。弾劾審議が始まる前までに経済対策を成立させなければ経済回復が遅れることになるため、不透明感が強まりやすい。
一方で過剰流動性による待機資金は豊富で、物色は利益確定の圧力がかかるグロース株からバリュー株へと向かいやすい。また、相場をけん引してきた時価総額が大きな銘柄に対しては利食いが出やすい一方で、調整一巡からボトム圏で推移している中小型銘柄などは見直し余地があると考えられる。そのため、今回は出遅れ感があり、先行き成長期待があると考えられる銘柄を以下に選定している。
●今週の活躍期待「注目5銘柄」
◆GMOフィナンシャルゲート <4051> [東証M]
クレジット決済に加えて、各種電子マネーやポイントサービス機能を搭載したマルチ決済端末を手掛ける。大手金融機関との連携が加速しているほか、系列ウォレット・ポイントを実装した端末販売が好調。政府は今春に給与のデジタル払いを解禁すると伝えられており、銀行口座を介さずに従業員の決済アプリなどに振り込めるようになる。今後、決済サービスの需要期待が高まろう。株価は20年10月高値の3万0050円をピークに調整が続いているが、25日移動平均線、75日移動平均線を支持線に緩やかなリバウンドをみせてきている。
◆マネーフォワード <3994> [東証M]
銀行やクレジットカード、証券会社、FX、年金、ポイントなどの口座を自動でまとめ、家計簿を自動作成する個人向け家計簿・資産管理アプリ「マネーフォワードME」を提供。21年1月に利用者数が1150万人を突破している。金融機関向けサービスでインテック(富山市)と協業し、金融機関が顧客に最適なサービスを提供することを可能にしている。デジタル払いが広がり、従来の銀行のビジネスモデルに影響をもたらす可能性がある中で同社のサービスへの関心は高まりやすい。株価は4200円から5200円辺りでボックス相場を形成。足元はレンジ下限で推移しており、反転を意識したスタンスで対処したい。
◆スペースマーケット <4487> [東証M]
あらゆるスペースを簡単に貸し借りできるWebプラットフォームを提供。ワークスペースを提供する「スペースマーケットWORK」ではサテライトオフィスや間借りオフィスなどの長期利用まで、さまざまなニーズに対応する。新型コロナウイルス感染症の拡大により新しい働き方が求められており、その実現を支援する。株価は20年10月高値の1170円をピークに調整が続いているが、700円処をボトムに反転し浮上態勢にある。
◆タスキ <2987> [東証M]
新築投資用IoTレジデンスの企画、開発、販売およびコンサルティングなどを手掛ける 不動産テック企業。20年10月に上場し、公開規模が小さいこともあって人気化。過剰な価格形成から上場時につけた6060円を高値に調整が続いている。ただし、不動産テック企業に対する投資家の関心は高く、足元では3000円辺りでの底堅さがみられることから、需給整理一巡からのリバウンドに期待したい。
◆ミロク情報サービス <9928>
会計事務所や中小企業向け財務会計システムなどを手掛ける。21年3月期上期 (4-9月)は新型コロナウイルス感染症拡大による営業活動の制限などが響き大幅減益となったが、下期以降はクラウドサービスやサブスクリプション型ERPの顧客基盤の拡大により継続的なサービス収入の成長が見込まれる。フィンテック分野やリーガルテック分野の企業との提携を進めており、DX化に向けたサービスの拡大も期待される。株価は20年12月安値の1953円をボトムに上昇に転じ、上値抵抗として意識されていた75日移動平均線を突破してきている。
2021年1月29日 記
株探ニュース