田部井美彦氏【30年半ぶり2万9000円台、一段高はあるか】 <相場観特集>

特集
2021年2月8日 18時30分

―決算発表での好業績を評価、循環物色による上昇期待強まる―

日経平均株価は8日、ついに2万9000円台を回復した。これは1990年8月以来、30年6ヵ月ぶりとなる水準だ。また、TOPIXも29年8ヵ月ぶりの高値に上昇しており、IT系の値がさ株に限らず景気敏感株にも買いが流入している。この上昇の背景には、足もとの業績の順調な拡大がある。一部からは高値警戒感も指摘されるなか、相場は一段高が見込めるのか。内藤証券の田部井美彦リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジストに今後の見通しを聞いた。

●「3万円視野の展開に、当面は景気敏感株が優位か」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

日経平均株価は2万9000円台に乗せてきた。1月下旬の2万8800円台の高値までは、半導体関連などハイテク株に引っ張られた相場だったが、今回の2万9000円乗せは海運、空運、鉄鋼などといった景気敏感株に牽引された相場といえるだろう。

製造業を中心に堅調な業績が発表され、これを好感する格好で日経平均株価は上昇基調を強めている。なかでも、景気敏感株には昨年来高値にも達していない銘柄も少なくなく、まだ上値余地はありそうだ。ハイテク株に続く上昇相場となり、良い形での循環物色を演じている。

こうしたなか、今後1ヵ月の日経平均株価の上値は3万円程度を予想する。下値は2万8500円前後で相場のトレンドは上昇基調が見込めるだろう。景気敏感株は3万円近くまでの相場を引っ張りそうだ。ただ、3万円は大きな節目であり、その近辺には先物などを含め大きなポジションも見込まれる。この3万円を突破し一段の上値を狙うには、やはり半導体などハイテク株の更なる上昇が必要だと思う。決算発表が一巡した後はフィラデルフィア半導体株指数(SOX)などを含め、外部環境を確かめる展開となるだろう。

個別銘柄では、三菱電機 <6503> や住友金属鉱山 <5713> に注目したい。三菱電はパワー半導体を手掛けるほかFA機器にも強く、住友鉱は非鉄大手であり、両銘柄ともに景気敏感株の側面を持つ。更に、村田製作所 <6981> や日本電産 <6594> といった主力ハイテク株の一服場面は拾い場となるだろう。業績増額を発表したが市場予想に達せず株価が急落したダイフク <6383> にも投資妙味が膨らんでいる。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)

内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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