【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】 ─ 中期上昇基調は変わらず!グロース、バリューの循環物色に

市況
2021年2月28日 18時30分

「中期上昇基調は変わらず!グロース、バリューの循環物色に」

◆金利上昇を市場は警戒も、薄れる割高感・過熱感

3月中旬までの東京株式市場は、基本的にはもみ合いの展開となりそうだ。日経平均株価は3万500円~2万8500円程度の値動きを想定する。高値警戒感が出ている一方で、好調な企業業績が下値を支えそうだ。

米国株式を中心に新型コロナ後の景気回復や物価の上昇を織り込む「リフレーション・トレード」がベースの展開。中期的な上昇基調に変化はないとみられる。

短期的に市場関係者が気にしているのが、米国の一段の金利上昇だ。米10年債利回りは1.6%台に上昇してきている。パウエルFRB議長は議会証言などで雇用の状況などは期待にほど遠いとして、金融緩和の継続を示唆している。金利の上昇は景気回復を裏付けるものではあるが、原油価格やなどの非鉄金属、穀物価格の上昇基調で企業のコスト増も意識され始めた。一段の金利上昇は投資家の不安心理が高まる材料になり得る。

一方、業績面からの割高感は急速に薄れている。21年3月期の第3四半期(20年4-12月)決算前までの日経平均の1株利益は1100円前後だったが、決算発表が進むにつれて徐々に上昇傾向をたどった。直近では1340円前後まで上昇。PER(株価収益率)は決算発表スタート当初は約27倍だったものが、現在では22倍台に低下している。2月は株価が上昇し3万円台に乗せたが、この間むしろPERは低下している。電機や自動車など製造業を中心に、10-12月期に利益が改善してきている。それでも、大手調査機関では全産業の21年3月期の経常利益は前期比23%減の予想。市場では22年3月期の利益回復を織り込む動きになりつつある。

需給面では、外国人投資家の動向への関心が高い。外国人投資家は今年1月に現物・先物合計で約5750億円の売り越しだったが、2月は第2週目までで約1兆3300億円の買い越しになっている。日経平均3万円乗せの原動力はやはり外国人投資家で、大手証券では「大口ファンドの新規組み入れ」と推測している。

テクニカル的には過熱感が後退しつつある。日経平均と200日移動平均線とのかい離率は、一時は26%台にまで拡大していたが、株価の調整で低下してきた。26日前場では21%程度。過熱といわれる20%を下回る水準が視野に入る。

◆高利回りの金融株、半導体、アフターコロナなどに照準

物色はグロース(成長株)とバリュー(割安株)の循環物色になると想定する。米金利の上昇でバリュー株が相対的に優位だが、 半導体関連などのグロースは好業績だけに調整すれば狙い目となりそう。一方、国内でも新型コロナのワクチン接種が始まったことで、空運陸運海運株のほか、外食スポーツジム関連などの銘柄も戻りを試す展開となっている。

こうした中で3月に注目されそうなのが、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> などのメガバンクやMS&ADインシュアランスグループホールディングス <8725> といった損保株など。PERやPBRが低いバリュー株の代表格といえる。利回りが高い銘柄が多く、3月末の配当権利を取る動きが見込まれる。

半導体関連の東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> などは基本的に押し目買いスタンスが有効とみる。市況関連では住友金属鉱山 <5713> 、UACJ <5741> など。 アフターコロナでは日本航空 <9201> 、JR東日本 <9020> 、エイチ・アイ・エス <9603> などが挙げられる。

(2021年2月26日 記/次回は3月28日配信予定)

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■和島英樹(Hideki Wajima)

株式ジャーナリスト

日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

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