米国株式市場見通し:経済活動再開に期待

市況
2021年3月27日 14時32分

リバランスのピークは終了したが、来週も四半期末の調整が継続する可能性がある。2日がグッドフライデーで株式市場が休場となるため、取引日数も限られ、週前半はより調整色が強まりそうだ。長期金利動向には引き続き慎重ながら、押し目からは新期に向けた買いも予想され、底堅い展開になりそうだ。

相場の下値を支えてきた個人投資家の買い意欲が後退したことへの懸念も見られるものの、大局的に、ファンダメンタルズは良好だ。バイデン大統領は来週半ば、道路や橋の建設などを含む3兆ドル規模のインフラや再生エネルギーなどの公共投資計画の詳細を公表する予定で、注目したい。1.9兆ドルの追加経済対策に加えて、インフラ計画は短期的には回復期待に繋がる。しかし、大方は増税でまかなわれる。法人税率の21%から28%への引き上げ、個人所得税やキャピタルゲイン税の税率引き上げなどが検討されていると報じられており、中期的にはマイナス要因となる可能性は今後のリスクになり得るため注意したい。

FRBの金融健全性への信頼も一段と強まった。大手銀に対する配当や自社株買いの再開を下半期から承認する計画を発表しており、銀行株の上昇が相場をけん引しそうだ。また、バイデン大統領はワクチン接種ペースをさらに加速する方針で、経済活動の再開も続く。21年度の企業決算への期待もプラス材料となる。さらに、大規模支援策でM2は昨年に比べ20%増しで、引き続き相場の上昇を支援していくだろう。パウエル議長は、再三にわたり経済が完全に回復するまで、金融緩和を解除する意向はないと表明している。

経済指標では、3月ダラス連銀製造業活動(29日)、1月FHFA住宅価格指数、1月S&P住宅価格指数、3月消費者信頼感指数(30日)、3月ADP雇用統計、3月MNIシカゴPMI、2月中古住宅販売仮契約(31日)、3月ISM製造業景況指数、週次新規失業保険申請件数、3月製造業PMI改定値、2月建設支出(4月1日)、3月雇用統計(4月2日)などが予定されている。ワクチンや経済活動の再開が奏功し、3月の雇用統計で非農業部門雇用者数の大幅回復が予想されている。FRBのパウエル議長は回復が予想を上回るペースで、今年の経済が力強く成長すると見ている。一方、労働市場や経済に依然多大なたるみ(スラック)があり、実質失業率は10%近くに達すると、慎重だ。通常の失業保険に加えて、全パンデミック特別緊急失業者支援策の受給者総数は依然1900万人近くに達している。パンデミック前の水準への回復には程遠い状況で、FRBのハト派姿勢を正当化する。

企業決算では、オンラインペット用品販売のチューイ、スパイスメーカーのマコーミック、衣料メーカーのPVH(30日)、半導体メーカーのマイクロン・テクノロジー、小売りドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ、衣料小売りのゲス(31日)、自動車販売のカーマックス(4月1日)、などが予定されている。

経済活動の再開が進み、トミーヒルフィガー、カルバンクラインなどを運営するPVHの業績回復に期待したい。また、公共交通機関を避ける傾向から自動車販売も好調と見られ、カーマックスの引き続き順調な決算にも期待できそうだ。マイクロン・テクノロジーも増益が予想されている。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

提供:フィスコ

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