来週の株式相場に向けて=IT・環境関連株など攻め直す
日経平均株価は、一時的に3万円に乗せながらも上値は重く2月高値(3万467円)を抜けない状態が続く。米国ではS&P500種指数が最高値に買われているが、日経平均株価がもたつく要因とは何か。アナリストからは「米国は新型コロナワクチンの接種が進むのに対し、日本は再び感染拡大が懸念される状態。また、米国では大型インフラ投資など大規模な経済対策が打ち出されているが、日本の場合、来期決算への不透明感が残る」との見方が出ている。
このため、4月下旬からの決算の結果を確かめないと積極的に上値は買い上がりにくい状況にある。ただ、この日発表された安川電機<6506>の決算内容は堅調だった。来週は12日に3月工作機械受注の発表もあり、安川電が牽引役になれば、機械株が見直されることもあり得る。また、足もとでは新型コロナへの警戒もあり、「物色の流れは再びIT関連株の見直しに向かっている」(国内証券)という。足もとでNEC<6701>や富士通<6702>が高値圏に浮上しているのは、その象徴的な流れだ。
来週からは、米国で四半期決算が始まり14日にはJPモルガン・チェース<JPM>や15日にシティグループ<C>といった金融企業の決算発表が予定されている。特に、15日のTSMC<TSM>の決算は半導体関連株の動向に大きな影響を与えそうだ。16日には日米首脳会談が予定されているが、22~23日に米国で「気候変動サミット」が開催されることもあり、イーレックス<9517>やエフオン<9514>など環境関連株も見直されそうだ。
来週は、国内では12日に高島屋<8233>、コーナン商事<7516>、13日に吉野家ホールディングス<9861>、14日に良品計画<7453>などが決算発表を行う。また、4月IPOでは13日に東証1部へ紀文食品<2933>、15日に東証マザーズにサイバートラスト<4498>が新規上場する。海外では、15日に米3月小売売上高、16日に中国1~3月期国内総生産(GDP)の発表が予定されている。(岡里英幸)