【村瀬智一が斬る!深層マーケット】 ─ 決算シーズンを迎え、成長期待のハイテク株などに注目
「決算シーズンを迎え、成長期待のハイテク株などに注目」
●上振れ期待高まるIT企業など軸に業績相場へ移行か
今週の日経平均株価は2万9500円~3万円レベルでの膠着相場が続いた。米アルケゴス・キャピタル・マネジメント問題による金融市場の混乱が警戒される一方で、良好な米経済指標の結果が伝わり、景気回復への期待感を高めている。また、長期金利が足もとで落ち着きを見せてきており、これを受けたクオリティー株(収益や財務基板が健全な銘柄)への物色も底堅さに繋がっているのだろう。来週の米国市場では、ゴールドマン・サックスなど主要な金融企業の決算発表が予定されており、アルケゴスに絡んだ損失処理の状況を見極めることになる。損失をカバーするために、グローバル資産の利益確定によるポジション圧縮も警戒されやすく、相場全体の重荷となる可能性はありそうだ。
日本においても徐々に決算発表が本格化してくるため、業績相場に移行することが見込まれる。特にITサービスやハイテク企業の業績上振れ期待が高まっており、関連する銘柄への物色を想定しておきたい。また、米ハイテク株を見直す動きも見られ、ナスダック総合指数との連動性の観点から、マザーズなどの中小型株への物色も意識されよう。株価が低迷しているIT企業などは値ごろ感からリバウンド狙いの対象となる可能性がある。なお、16日には日米首脳会談が開催される。半導体不足が議題の一つになると伝わっていることもあり、ハイテク企業にいっそう関心が集まりやすいだろう。
●来週の活躍期待「注目5銘柄」
◆シキノハイテック <6614> [JQ]
直近IPO銘柄であり、初値は1221円(公開価格390円)と公開価格の約3.1倍となった。同社は半導体検査装置やLSI設計、画像処理システムなど半導体に関連する事業分野で設計・生産・販売・サービス活動を展開している。株価は3月30日には2134円まで上昇したが、その後1600円割れまで調整。しかし、足もとでリバウンドを見せてきており、成長期待の大きい半導体関連の一角として注目したい。
◆ハーモニック・ドライブ・システムズ <6324> [JQ]
減速機やモーター、センサー、ドライバー、コントローラー、その他システム要素を組み合わせたメカトロニクス製品の生産・販売を手掛ける。2月に業績予想の上方修正を発表しているが、バリュエーション面での割高感もあり、2月16日の高値9450円をピークに調整が続いている。しかし、7500円近辺での底固めからリバウンド。25日移動平均線を支持線に変えて、昨年12月と今年2月によるダブルトップ高値9500円水準を意識したトレンド形成に期待。
◆テラプローブ <6627> [東証M]
半導体製造工程におけるテスト受託事業を展開する。新型コロナウイルスの影響により需要が減少していた車載向けロジックを中心に、業績は回復傾向にある。株価はこれまで700円近辺での推移が続いていたが、今年に入り上昇基調を強め、レンジを大きく切り上げている。上昇する13週移動平均線を支持線としたトレンドを継続か。
◆Sun Asterisk <4053> [東証M]
エンジニア、UXデザイナー、ITコンサルタントなどの専門家が新規事業やデジタルトランスフォーメーション(DX)をサポートする「クリエイティブ&エンジニアリング」と、採用戦略の策定や人材採用の実行をサポートする「タレントプラットフォーム」の2つの事業を展開する。様々なサービスでDX化が進むなか、同社に対する引き合いも強まるだろう。株価は2月12日の高値3050円をピークに調整していたが、3月5日の安値2040円をボトムに利食いをこなしながら緩やかなリバウンド基調にある。直近の調整で25日移動平均線まで下落してきており、押し目拾いのタイミングと判断。
◆カオナビ <4435> [東証M]
社員の顔や名前、経験、評価、スキル、才能などの人材情報を一元管理して可視化するタレントマネジメントシステム「カオナビ」を提供する。新型コロナウイルスの影響により、既存顧客の解約増加など一定のマイナス影響は生じているものの、コロナ禍収束に備えた労働力の再構築の動きが同社にとって業績回復のカギを握ろう。今後、ワクチン接種の進展に伴い、企業ニーズは高まるとみておきたい。株価は昨年10月高値の7330円をピークに調整が続いているものの、昨年の安値水準に接近してきており、調整一巡による仕切り直しに期待したい。
2021年4月9日 記
株探ニュース