明日の株式相場に向けて=GW前後にメイストームも

市況
2021年4月15日 17時00分

きょう(15日)の東京株式市場は、日経平均株価が21円高の2万9642円と小幅反発。上にも下にもどっちつかずの相場が続いている。しかし、今の相場を潮の流れに例えるなら引き潮にあるように思われる。これは海外マネーが日本株市場から遠ざかっているイメージと合致する。

きょうは前場で7200億円強と1兆円を大きく下回り、終日でも2兆円をかろうじてキープするという状況で売買代金の減少が目立ってきた。株価の値動き以上に市場のエネルギー不足は、4月の外国人買い“鉄板アノマリー”が機能していないことを暗示する。嵐の前の静けさというほど不安心理を煽る環境にはないが、やはり投資マネーの腰が引けているという印象は現象面から拭えないものとなっている。足もとの停滞感は、16日の日米首脳会談というビッグイベントの結果を見極めたいという単純な理由なのか、それともその先を見据えた撤退準備なのかは簡単に判断できない。が、もし首脳会談待ちというのであれば、それに見合った先読みトレード、例えば脱炭素関連を仕掛けるとか半導体サプライチェーン絡みの銘柄を買うといった動きが随所に生じるはずだが、今一つ覇気がない。

日本国内の新型コロナウイルスの感染再拡大とワクチン普及の遅れについては、指摘される通りネガティブ材料以外の何ものでもない。とはいえ、だから日本株は買えないという話に持っていくのは飛躍しすぎだ。昨年はワクチンができる前からワクチン普及期待が大きく喧伝され、コロナ禍真っ只中にも関わらず欧米株は買われ続けた。したがって今の日本のコロナ事情が外国人の買いを躊躇させ、冴えない株価形成につながっているという解釈は妥当ではない。

とすると、やはり世界が最も気にしていること。それは、過剰流動性相場に対する信頼が揺らぐことだ。前日にパウエルFRB議長はワシントンのエコノミッククラブの討議(オンライン)に参加したが、案の定というべきか金融政策の出口戦略を匂わせる発言があった。2023年末までゼロ金利政策を続けるというお墨付きを得たと思っていた市場にとっては、うれしい話ではない。米長期金利の最近の動向などである程度織り込んでいたとはいえ、以前のような楽観ムードは後退している。

市場関係者によると「(パウエル議長は)金利を上げることは当分しないが、経済情勢次第で前倒しがあり得る、というエクスキューズをまずマーケットに認知させた。そして、債券の購入額縮小、テーパリングについては金利を引き上げるかなり前の段階から始めることを示唆した」(ネット証券アナリスト)という。これはすぐに相場に冷や水を浴びせるようなサプライズ的要素こそなかったが、「ヘッジファンドにすればどこで(売りを)仕掛けるかを内輪で検討するタームに入った」(同)と指摘する。

早ければゴールデンウイーク前、遅くとも大型連休後にはメイストームが起きても不思議はないというという見方が出ている。慌ててポジションを畳むという必要性はないが、半身の姿勢は心掛けたい。半導体が需給逼迫の極みにある現状にあって、一部証券会社から東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>の投資判断を引き下げるような動きが出ていることも気になる。きょうは注目された台湾の半導体受託生産最大手TSMC<TSM>の1~3月決算が発表され、最終利益ベースで20%増と市場コンセンサスを上回ったのだが、上記2社を含め大手半導体製造装置メーカーはほとんどプラスに反応しなかった。

君主論で知られるマキャヴェリは「運命は我々の行為の半分を支配し、あとの半分を我々自身に委ねている」という言葉を残した。相場では予想を当てることは重要だが、100%当てることはおろか80%当てることもほぼ不可能である。本当に重要なのは“結果”に対してどう対応するかだ。それに、先んじてダメージに素早く対応できるような態勢を確保しておくことも大切となる。そのために、いったん立ち止まって大局をみる時間も必要だ。

あすのスケジュールでは、国内では目立ったイベントはないが、ワシントンでの日米首脳会談に注目度が高い。海外では中国での重要経済指標の発表が相次ぐ。1~3月の中国GDP、3月の中国工業生産、3月の中国小売売上高、3月の中国都市部固定資産投資、3月の中国都市部新築住宅価格などが予定されている。また、米国では3月の住宅着工件数、4月の消費者態度指数などが発表される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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