富田隆弥の【CHART CLUB】 「三角保ち合いを下放れた日本株」

市況
2021年4月24日 10時00分

日経平均株価は20日に584円安、21日に591円安と大きく続落、ザラバで2万8419円の安値を付けた。チャートは75日移動平均線(22日時点2万9144円)を割り込み、三角保ち合いから下放れを明確にした。新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の再発令が不可避となったこと、日米首脳会談で台湾海峡に言及(中国との摩擦激化)、 円高、英CVCによる東芝 <6502> 買収の検討中止など懸念要因が幾つも重なり、そこにNYダウ平均(米国株)の下落が加わり、売りを加速させた。

◆もう一つ気になったのは、日経平均が2%下落した20日に日銀がETF(上場投資信託)買い入れを見送ったこと。さすがに21日は701億円購入したが、これは4月になって初めて。国債の購入も4月に減額させており、市場関係者の間では「日銀はステルステーパリング(秘かに金融緩和縮小)に動いている」との認識が広まっている。

◆景気回復を鮮明にする米国なら分からないでもないが、コロナ禍で景気低迷が続く日本の株式市場にとって日銀の支援縮小は痛手となる。26~27日に開催される日銀金融政策決定会合で黒田総裁は緩和縮小を否定するだろうが、一方で22日には「カナダ中銀が来年にも利上げに踏み切る可能性を示唆」との報道が伝わった。日米欧協調による金融緩和が終わりに近づいていることを予感させる。

◆理由はともかく、日経平均が三角保ち合いを下放れたのは注意信号。22日は679円高の2万9188円と大きく反発して75日移動平均線を回復したが、割り込んだ25日線(2万9409円)がまだ上に控える。チャートでは少なくともその25日線を突破して「3万円大台」を回復しなければ下放れ懸念を払拭できない。しばらく注意を要するスタンスで相場に臨むことになる。

(4月22日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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