【杉村富生の短期相場観測】 ─ 日米両市場ともに底打ち→反騰態勢に!
「日米両市場ともに底打ち→反騰態勢に!」
●増税リスク、インフレ懸念は過剰反応!
日米両市場ともに目先、底打ち→反騰態勢に突入した、と思う。特に、日本市場は売られすぎだ。NYダウ平均は5月10日に3万5091ドル(ザラバベース)の史上最高値を示現した後、12日には瞬間3万3555ドルの安値まで売られた。しかし、下落率は4.3%にすぎない。微調整である。
マーケットではバイデン政権の法人増税(21%を28%に)、キャピタルゲイン課税強化(年収100万ドル以上の富裕層はオバマケアの特別加算3.8%を含め、現行の23.8%が最大43.4%に)の動きに加え、インフレを危惧している。
確かに、4月のCPI(消費者物価指数)は前年比4.2%の急上昇をみせた。だが、これは昨年4月が悪かったこと、今年4月は自動車レンタル料金、航空運賃、スポーツイベント入場料、中古車価格が前月比10%超値上がりしたこと、など特殊要因によるもの。いや、経済正常化を反映したものだろう
単月のCPIの数値を受け、FRBがテーパリング(余剰資金の回収)、利上げを決断するはずがない。まして、バイデン大統領はAmerican Jobs Plan(雇用拡大)、American Families Plan(家族支援)を推進中だ。雇用の確保に責務を負っているFRBがこの局面において、政策転換することはないだろう。
●日本株は売られすぎゾーンに突入!
一方、日本市場はどうか。こちらは腰が弱い。不振の背景には政治の迷走、日銀のETF購入ルールの変更、新型コロナワクチン接種の遅れ、機関投資家、個人の外国株、および債券シフト、日本株の地盤沈下(MSCIインデックスの定期組み入れ見直しでは昨年11月の21銘柄削除に続き、今回は29銘柄削除、採用はゼロ)などがある。
この1年、日銀のETF(日経平均型)購入によって、日経平均株価は約3000円押し上げられた、といわれている。これを3月にTOPIX型に全面的に切り替えた。投機筋は「このカサ上げ分が剥落する」とし、先物を売り叩いた。現状はその着地点を探る動きと判断できる。
ただ、日経平均は11日に909円安、12日に461円安、13日に699円安と3日間で2070円下落。2月16日のザラバ高値3万714円、5月13日のザラバ安値2万7385円だと、3329円(10.8%)の大幅下げだ。ほぼ下値に届いたのではないか。
さて、ここでの狙い目は? やはり、セオリーとして逆行高の銘柄(暴落日の赤札銘柄)を選択したい。まず、家電中心のファブレス企業のバルミューダ <6612> [東証M]に注目できる。最新鋭のスマートフォンを京セラ <6971> に生産委託、今秋以降に市場投入を図る。
認証・セキュリティサービス、EV証明書がメーンビジネスのサイバートラスト <4498> [東証M]は12日に5200円の安値まで売り込まれたが、その後は猛反発に転じている。なお、4月21日には1万1220円の高値がある。バルミューダの高値は1月26日の1万610円だ。ともに、高値挑戦があろう。
このほか、好業績、かつ切り口多彩のヴィスコ・テクノロジーズ <6698> [東証2]、テクノホライゾン <6629> [JQ]、テセック <6337> [JQ]、アライドアーキテクツ <6081> [東証M]はじっくり拾って「吉」と判断する。
2021年5月14日 記
株探ニュース