【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─見捨てられた好実態株を"拾う神"となれ!
「見捨てられた好実態株を“拾う神”となれ!」
●よいインフレと悪いインフレ、米国のそれは?
それにしても、とんでもない3日間だった。悪夢というのではない、正直困惑の日々だったと言える。なにしろ、3日間の下落幅を合計してみると次のようになったのだ。5月11日 909円安、12日461円安、そして13日699円安。
では、合計は? 2069円! わずか3日間でなんと2000円以上の下落。それが米国市場でのインフレ懸念の台頭によるものとは分かってはいても、3日間で2000円以上も下げることなのだろうか。
こう考えると、腹立たしささえ覚えた。日経平均株価が2000円以上下げたことで、年初の水準に戻ってしまっただけになおさらだ。幸い、週末は反発して一息入れたが、投資家マインドはまだ反発していないと見てよい。
それが望ましい方向に向かうには、米国の10年債利回りの上昇が止まってくれなくてはならない。この原稿を書いている時点では、米10年債利回りは1.66%前後。今回、それが一時1.7%前後となった。その後、反落したことで日経平均も反発したのだが、今後は一体どのような動きになるのか。
基本はさらなる上昇と見ておきたい。となると、株は下げてしまうじゃないか――こうなりそうだが、実はそうはならない。
インフレには2種類、よいインフレと悪いインフレがあり、前者は経済の回復に伴う自然なものであり、後者は生産の停滞や強制的(戦争などによる)な機能不全によるものだ。
現在のインフレ、というよりインフレ懸念は「よいインフレ」に関するもの。そのため、株式市場が下げても一時的になり、しばらくすると冷静さを取り戻すことになる。
●この局面で取る戦略は実は単純
そこで投資作戦としては、目先の不意打ち的急落に混乱して投げ売りされた結果、株価が下げてしまった銘柄を拾う。これが簡単で儲かりやすい。「捨てる神あれば拾う神あり」という名言もあるではないか。ここは「拾う神」になろう。
そこで、具体的にはまずは日経平均ブル2倍上場投信 <1579> [東証E]、あるいは同様のレバレッジ型ETFだ。ただ、これらへの投資は資金を2~3回に分けて、価格が下げたら買い下がる方法がお勧めだ。
今期の好決算予想が明らかになったものの、株価が急落したオリンパス <7733> も、目先すぐにとはいかないにしても今後回復が見込める。主力製品の内視鏡の需要が回復中だからだ。
ガラス大手、特に自動車用では世界首位クラスのAGC <5201> も売られた。半導体不足により自動車生産が停滞しているからとのことだろうが、いずれ生産ラインは正常に復帰する。これを考えると、株価の下落は一時的と見てよい。
主要都府県への「緊急事態宣言」発出で売られた高島屋 <8233> も、店舗の全面営業停止を免れたことを考えると、株価は今後2進1退で浮上する確率が高い。他の三越伊勢丹ホールディングス <3099> 、エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> も同様だ。
今期業績は営業利益が34.5%増の見込みと発表したのに、株が売られてしまったコマツ <6301> も、現在水準は投資安全ゾーンにあるといえる。
最後に、アートスパークホールディングス <3663> [東証2]を。イラスト、特に漫画制作用ソフトに強い会社で、広告会社やデザイン事務所などでの導入が今後着実に増加する可能性の高さに注目だ。
2021年5月14日 記
株探ニュース