来週の株式相場に向けて=中小型株のリターン・リバーサル優勢か
週末21日の東京市場は、日経平均株価が前日比219円高と続伸した。これで週間ベースでは233円高と2週間ぶりの上昇となった。
CPI(消費者物価指数)ショックに揺れた前週から、相場は徐々に落ち着きを取り戻しつつある。ただし、米国のインフレ懸念は払拭されたわけではないだけに、神経質な値動きは続く。日経平均株価は「13日につけた2万7385円が当面の底。上値は25日移動平均線のある2万8850円前後となりそうだ」(アナリスト)ともみられている。
今後も米インフレ懸念の行方を確かめる必要があり、最大のイベントは来月15~16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、更にそれに先立つ10日に発表される5月CPIの結果を見定める展開となりそうだ。米インフレが一時的なものか、それとも本格的なものか見極められないうちは、グロース株と景気敏感株を日替わり物色することになりそうだ。
そんななか、関心を集めているのが東証マザーズ市場だ。マザーズ指数は4月高値から5月安値まで18%近く下落したが、「いったんは4月の水準である1200ポイント近くまでの戻りが期待できる」(市場関係者)ともみられている。売られ過ぎた銘柄を買い戻す「リターン・リバーサル戦略」が当面は有望であり、マザーズの戻りだけでもそれなりの値幅は稼ぐことが可能だ。
この日は、値上がり率上位に交換できるくん<7695>やi-plug<4177>、Fringe81<6550>、FRONTEO<2158>などマザーズ銘柄、それに夢みつけ隊<2673>や不二硝子<5212>などジャスダック銘柄を含めた中小型株が目立った。大きな波乱がなければ、当面この流れは続くかもしれない。
来週は、24日から東京・大阪の「大規模ワクチン接種センター」で65歳以上への接種が始まる。28日に4月失業率、有効求人倍率が発表となる。海外では25日に米4月新築住宅販売件数、米5月消費者信頼感指数、27日に米1~3月期GDP改定値が発表される。26日にエヌビディア<NVDA>が決算発表を予定している。来週の日経平均株価の予想レンジは2万7900~2万8700円。(岡里英幸)