明日の株式相場に向けて=アフターコロナの仮想世界を走る個別株相場

市況
2021年5月26日 17時01分

きょう(26日)の東京株式市場は、日経平均株価が88円高の2万8642円と5日続伸。東京市場は5月中旬のメイストームの記憶が消えないなかで、石段をひとつひとつ登るように水準を切り上げてきた。ただし、前日もきょうも日経平均は高いのだが、値下がり銘柄数の方が遥かに多い。前日は日経平均が190円弱の上昇をみせたなかで値下がり銘柄数が1400を超え、全体の3分の2の銘柄が値を下げるという状況だった。きょうも値上がり768に対して値下がり1308と実質的には売り優勢の地合いである。

しかし、個別株に流れ込む資金の勢いは様子見ムードとはかけ離れている。米国務省が日本への渡航警戒レベルを最高のレベル4に引き上げ渡航禁止を勧告し、菅政権が緊急事態宣言を延長する可能性が高まるなかで、眼前で繰り広げられているのはワクチン普及を見込んだアフターコロナ相場である。幅広いエリアで物色意欲旺盛となっているが、これが流動性相場の実態といえる。

個別では、タムラ製作所<6768>が500円台前半でもみ合いながら徐々に上値を試す展開。25日・75日移動平均線のゴールデンクロス形成のタイミングにあり注目しておきたい。世界的な脱炭素の流れはパワー半導体の需要を喚起する。太陽光発電などの再生可能エネルギーや電気自動車(EV)などで高水準の引き合いがあるからだ。同社は電子化学材料分野に強みを持つが、酸化ガリウムパワー半導体などで独自技術を内包している。

このほかEV周辺では好業績が際立つニッポン高度紙工業<3891>がいいリズムで戻りトレンドを形成している。同社はリチウムイオン電池など2次電池向けセパレータで抜群の競争力を誇る。直近、高耐熱セパレータの開発に成功し一段と注目度が高まっている。

エネルギー関連の流れで銘柄を探せば木村化工機<6378>もマークしておきたい。値動きの荒い銘柄だが上値に買いつかず、800円台の押し目形成場面を拾うスタンスで臨む。水素関連の一角でスポットが当たりやすく、波状的に投資資金を呼び込む可能性がある。核燃料サイクル施設におけるMOX燃料製造設備業務でも高い実績を有し、同燃料使用後に抽出したプルトニウム・リサイクルのテーマにも乗る。水素関連の切り口では、目先一服している長野計器<7715>もこの踊り場は狙えそうだ。トヨタ自動車<7203>の新型燃料電池車「MIRAI」に圧力センサーが採用されるなど、その実力は折り紙付き。

ミツバ<7280>は前週にも取り上げたが、高値もみ合いからもう一段の上放れが期待できそうな動きにある。目先高値警戒感も拭えないが、何といっても5倍台のPERは評価不足が甚だしい。22年3月期はトップラインが2ケタ増収を見込み、営業75%増益予想。自動車部品業界再編の流れのなか2019年12月の戻り高値を上回ってきたことで追撃買い妙味あり。また、同じく自動車部品ではいすゞ系のIJTT<7315>も本領発揮で大きく動き出している。こちらはPER6倍台でPBRは0.4倍台に過ぎない。

このほか、少子化対策・子ども庁関連では直近ベビーカレンダー<7363>が物色人気を集めストップ高まで買われる人気となった。この流れが横に広がりをみせる可能性があり、周辺銘柄に目を配りたい。そのなか、妊娠・育児層向けアプリ提供事業を手掛けるカラダノート<4014>は要注目。昨年10月下旬にマザーズに上場したニューフェース。20年7月期営業利益38%増の1億2300万円に続き、21年7月期はレンジ下限で2億500万円と成長が加速する見込みだが、会社側見通しはこれでも保守的で更に上乗せが有力視される。

そして、今の相場で外せないテーマといえばデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。システム開発やITソリューション及びコンサルで動兆しきりの銘柄が増えている。人工知能(AI)関連の切り口でも常連のメンバーズ<2130>やRPAホールディングス<6572>に注目したい。

あすのスケジュールでは、国内では目立ったイベントはないが40年物国債の入札が行われる。海外では1~3月期の米GDP改定値が注目されるほか、4月の米耐久財受注額、4月の米仮契約住宅販売指数なども発表される。また、アジアでは1~4月の中国工業企業利益、韓国中銀の金融政策決定会合が予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2021年05月26日 17時21分

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