鈴木英之氏【日経平均急騰後に思惑交錯、どうなる6月相場】(1) <相場観特集>

特集
2021年5月31日 18時30分

―新型コロナワクチンの普及と企業業績で強弱観対立―

31日の東京株式市場は、名実ともに5月相場の最終売買日となったが、日経平均株価は軟調な展開を強いられた。前週末に先物主導で600円高と値を飛ばしたが、週明けはその反動が出る格好となった。ただ、国内では緊急事態宣言の延長など新型コロナウイルス感染拡大への警戒感が拭えない一方、高齢者へのワクチン接種が進み始めたことは経済活動の正常化期待につながる。6月相場の展望について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「コロナワクチン接種拡大が相場上昇に寄与」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

日本企業の決算発表は堅調だったほか、遅れが指摘されていた新型コロナウイルスワクチンも接種が進み始めた。海外の例などをみると、国民のコロナワクチン接種率が8%前後を超えると株価も上昇基調を強めるとの見方もあるようだ。日本のワクチン接種率はまだ低いが、先行きの数字の積み上がりを意識して、相場は強含みの展開が期待できると思う。

決算発表を経て日経平均株価の予想1株あたり利益は2000円程度と大幅に伸びている。この数字はソフトバンクグループ <9984> の決算内容などに左右される面が大きいが、業績面の伸びは評価されそうだ。また、米国でのインフレ懸念も落ち着きつつあり米国企業の業績も堅調だ。更に、7月の東京オリンピックも開催されるのだろう。これらの要因が日本株式市場の押し上げ要因に働くとみている。

今後1ヵ月程度の日経平均株価のレンジは2万8500~3万円前後を見込んでいる。6月相場は、底堅く上値を試す展開が期待できそうだ。

個別ではTOWA <6315> やSCREENホールディングス <7735> 、CKD <6407> などの半導体関連株は依然として注目できると思う。半導体は中長期での需要拡大が見込めるスーパーサイクルに入ったとの見方もあり成長性も高い。また、6月は株主総会の月であり、自社株買いの発表が期待できそうなキャッシュリッチ銘柄にも注目したい。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)

早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。

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