「短期上方リスク」も意識?/後場の投資戦略

市況
2021年6月3日 12時30分

日経平均 : 29048.28 (+102.14)

TOPIX  : 1958.00 (+15.67)

[後場の投資戦略]

本日の日経平均は朝安後に切り返し、プラス圏で前場を折り返した。日足チャートを見ると、引き続き29200円台に位置する75日移動平均線を前に伸び悩んでいるものの、連日の陽線で底堅さも感じさせる。本日ここまでの東証1部売買代金は1兆4000億円弱。重要な米経済指標の発表前ながら、取引は前日並みにまずまず活発のようだ。

業種別や個別の騰落状況を見ると、海運や鉄鋼といった市況関連銘柄が利益確定売り優勢。ウイルス感染対策などによる構造的な供給制約を抱える海運株は上昇トレンドが続いているが、中国政府が価格上昇をけん制した鉄鋼株は調整基調となっている。このところ期待インフレ率の指標である米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は2.4%台前半から半ば、米10年物国債利回りも1.6%前後で一進一退。広範な世界経済の改善とインフレ高進を見込んだポジションへの傾倒は見られず、一昨日の当欄で述べたように日本株全体にとって重しになっているとみられる。

また、来週11日には先物・オプション6月物の特別清算指数算出(メジャーSQ)が控えており、株価指数先物の売買は前日あたりからロールオーバー(限月乗り換え)が増えてきた。相場のトレンドは明確に出づらくなるだろう。

但し、トヨタ自、それにレーザーテックを中心とした半導体関連株の値動きを見ると、「質」重視に転じつつも現物株投資家の買い需要は根強いことが窺える。もう一点、ここ数日の先物手口でも海外勢が明確に買い姿勢に転じてきた印象は乏しいものの、「短期的な上方リスク」に警戒する向きは多いようだ。日経平均オプション6月物のコール(買う権利)では29000~29500円あたりの建玉が多く、売り方のヘッジニーズが強いことが窺える。カウンターパートとなる証券会社のヘッジ目的での先物買いが相場の底堅さにつながっているという指摘もある。

こうした状況を見ると、米雇用統計やメジャーSQといった重要イベントと前後して、海外勢の持ち高調整に伴い日経平均が上に走る可能性も念頭に置いておく必要がありそうだ。

しかし、一昨日取り上げた経済協力開発機構(OECD)の経済見通しなどに基づくと、中期的な基調として日本株は相対的に上値が重いという見方に変わりない。また、そろそろ国内の政治情勢なども話題に取り上げていこうと思うが、紙面の都合で次回以降とする。(小林大純)

《AK》

提供:フィスコ

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