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潮流変化で動き出す!レアアース「逆襲高」の脈動を捉える特選6銘柄 <株探トップ特集>

特集
2026年6月27日 19時30分

―高市政権の経済安保で中核テーマに、G7通過で久々のビッグウェーブ到来の気配―

今週の東京株式市場は大荒れ模様となった。日経平均株価は週明け時点で怒涛の8連騰を記録、合計8000円以上も水準を切り上げ7万2000円台まで駆け上がったが、23日に急反落し、上昇トレンドにストップがかかった。その後は25日に歴代4位となる3100円超の強烈な切り返しをみせたものの、週末26日はそれと肩を並べる3000円あまりの下落に見舞われ、まさにジェットコースター相場さながらに投資家マインドを翻弄した。足もとでのボラティリティの急激な高まりは、典型的な高値波乱の様相を呈しており、これまでのAI・半導体関連の超強気相場に変調が認められる。

●潮目が変わった相場で急浮上するテーマとは

しかし冷静に俯瞰すると相場全体が崩壊するような下げの要素には乏しい。この日は日経平均の下げ幅だけを見ると全面安商状がイメージされるが、実際はプライム市場の値下がり銘柄数を値上がり銘柄数が300以上も上回る状況であった。これは一極集中で買われ過ぎたAI・半導体関連の反動安が顕在化する一方、これまで蚊帳の外に置かれていた銘柄群にリターンリバーサルの動きが出ていることを反映したものだ。

潮目が変わったともいえる。同時にこの流れの変化は、しばらく投資マネーの視線から外れていたテーマが復権し、高市早苗政権の国策に沿う銘柄群に再び活躍の機が迫っていることを暗示する。その有力対象となり得るのが、ずばり国家安全保障の要衝を担う「レアアース関連株」である。

●生成AIインフラ構築でも要衝担うレアアース

レアアースとはレアメタル(希少金属)の一種で、17種類の元素(内訳はスカンジウム1・イットリウム1・ランタノイド15)の総称である。先端ハイテク製品などに少量を加えることで、その性能を劇的に向上させる効果を持つ。 生成AI向けで活況を呈する半導体分野でも、その製造やインフラ構築における必須品目であり、例えば半導体製造装置の内部では大量の「レアアース磁石」が使われている。

米国内務省に属する研究機関である米地質調査所(USGS)によると、直近の開示データで中国が世界のレアアースの約70%を生産しているほか、埋蔵量も世界の約半分が中国国内に存在しているという。また、国際エネルギー機関(IEA)によれば、レアアース精製(鉱石から希土類にする工程)における世界シェアは中国が9割強を占めているのが現状である。この意味するところは、たとえ中国以外で採掘されたレアアースであっても、精製するプロセスで中国に持ち込まれているという事実を物語っている。中国がレアアースを国際政治における強力な外交カードとして使っているのは、こうした背景がある。

●脱中国依存でフランスなど同志国と連携加速へ

高市政権は経済安全保障の観点から、レアアースの中国依存からの脱却、そして同志国との連携によるサプライチェーンの強化(供給源の多角化)を政策として掲げている。今月15~17日にフランス東部エビアンで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、高市首相はレアアースを含む重要鉱物の「共同備蓄連携構想」を提案したことが報じられた。日本は独自の国家備蓄制度を有しており、G7の備蓄制度立ち上げを支援する構えを打ち出した格好だ。この内容は成果文書にも反映された。一連の背景としては、レアアースなどの重要鉱物を、躊躇なく他国への政治的圧力に使う中国に対する牽制の意味合いが強いことはいうまでもない。

昨年から続く中国による露骨なレアアース対日輸出管理の動きは、政治的に強く懸念視される。中国は今年1月にデュアルユース(軍民両用)品目の対日輸出規制・即日禁止に踏み切った。そして、くしくもそれに呼応したかのように、日本では南鳥島沖でのレアアース採掘試験が報じられた。株式市場では当時の関連銘柄への人気が、その後のAI関連株人気に掻き消され雲散霧消したような状況にあったが、当時の懸念は今もなお改善の兆しがない。というより、むしろ緊張の度合いは増しているといってもよい。

●経済安保政策の「一丁目一番地」に

中国関税当局が直近20日に公表した貿易データでは、5月の中国からの日本へのレアアース磁石の輸出量は前月比34.6%減の123トンにとどまった。これは米中貿易戦争の煽りを受けた昨年5月以来の低水準で、今年3月以降は3カ月連続で200トンを下回っているもよう。日本に対する経済的な威圧を解除する気配はない。更に、直近では中国当局が邦人(富士電機・現地法人社員)2人を拘束したことが、今週24日の木原稔官房長官の記者会見で発表された。これは、レアアースの輸出管理規制に絡む嫌疑というが、市場では「高市政権に対する揺さぶり」(中堅証券ストラテジスト)という見方も強い。

昨今の情勢から、レアアースの安定確保というテーマは、日本の経済安全保障における「一丁目一番地」としてクローズアップされていくことは必至である。もちろん、世界的にも待ったなしで取り組むべきテーマであり、株式市場ではその代替技術も含めてレアアース関連株に再び投資マネーの視線が集中することは時間の問題であろう。今回のトップ特集では、ここからレアアース関連として改めて脚光を浴びそうな有望6銘柄を厳選エントリーした。

●レアアース関連で大相場期待の6銘柄

◎岩谷産業 <8088> [東証P]

岩谷産は産業用ガスや家庭用ガスを取り扱う専門商社だが、水素事業を収益の柱にする方向で経営戦略を進めている。国内の水素市場では無双のトップサプライヤーである。また、半導体製造装置の販売を行うほか、レアメタル(レアアース)開発にも積極的に取り組んでいる。同社がエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同出資する仏カレマグ社は27年からレアアースの商業生産を開始する予定だ。今年4月に高市首相は来日した仏マクロン大統領と会談し、原子力などエネルギー分野をはじめ経済安全保障で両国が連携を図っていくことを決定し、重要鉱物を巡る協力に関しては行程表をまとめたことが報じられた。これはカレマグ社のレアアースのリサイクルプロジェクトの始動と合致する。岩谷産はその一連の流れの中で、官民連携のキーカンパニーとなり得る可能性が高い。業績も27年3月期は営業利益段階で前期比27%増の488億円を見込むなど回復トレンドが鮮明だ。

株価は1900円近辺でのもみ合いだが、10倍を下回るPERには割安感があり中期的な水準訂正余地は大きい。全体波乱相場でも下値に対する抵抗力の強さが確認されており、5日移動平均線を絡めたもみ合いから早晩上放れ、当面は2000円台回復を目指す展開に。中期では5月15日につけた2179円50銭の年初来高値奪回が視野。

◎JX金属 <5016> [東証P]

JX金属は非鉄業界の大手だが、半導体の薄膜材料や磁性材料、インジウムリン(InP)基板などで実績が高い。同社が製造するスパッタリングターゲットは半導体チップ内部の薄膜形成に必須で世界シェア約65%という圧倒的なシェアを獲得している。また、レアアース分野でも、インジウムリンがグローバルベースで強力な武器となっており、AIデータセンター向け高速光通信分野における半導体基板材料として需要を獲得している。このほか、半導体の検査工程ではプローブカード向け「ロジウムめっき液」に注力。直近、生産設備の増強を発表し、28年度までに生産能力を25年度比2倍以上に引き上げる方針を開示した。業績も好調だ。26年3月期は営業利益が前の期比56%増の1749億6700万円と急拡大し大幅ピーク利益更新となった。27年3月期については伸び率こそ鈍化するが前期比9%増の1900億円予想と過去最高が続く見通しにある。

6月11日に3200円台前半まで水準を切り下げたが、そこが目先のターニングポイントとなり、その後は急速なリバウンド局面に移行した。時価総額4兆円台の大型株だが、全員参加型でボラティリティの高さが際立つ。日足一目均衡表は雲抜けを果たしており、目先4000円台半ばで売り物をこなし、中勢5000円台活躍へ。

◎DOWAホールディングス <5714> [東証P]

DOWAは非鉄大手で製錬事業を主力に環境・リサイクルや電子材料分野に展開している。電子材料分野では最先端の電子機器向けを需要先に半導体材料や導電性材料、磁性材料などそれぞれで世界トップクラスの競争力を発揮していることはポイント。AIサーバー向けコネクターでも需要を獲得している。また、レアアース機能材料のリサイクル技術に着目。レアアースの一部元素のリサイクル技術を確立しており、現状はコスト面の高さがネックだが、国家備蓄などの国策を追い風に商機を捉える可能性がある。業績も27年3月期は再び急成長局面に移行する。自動車関連製品やサービス、情報通信関連製品、更に新エネルギー関連で燃料電池材料などを中心に収益貢献が見込まれ、売上高は前期比26%増の9410億円、営業利益は同55%増の530億円を予想。売上高は過去最高を5期ぶりに更新する。なお、経常利益段階では同47%増の800億円で過去最高となる見通し。

PER9倍前後と割安で配当利回りも3.8%台と高水準であり、バリュー株としての側面を持つが、足もとの業績変化妙味も大きく中長期投資で楽しみが多い。5月15日に1万2380円の上場来高値を形成するなど、株価の瞬発力も高い。時価は逆張り好機で当面は25日移動平均線と75日線が収れんする9700円台近辺が戻りのターゲットに。

◎アサカ理研 <5724> [東証S]

アサカ理研は独自の溶媒抽出技術を駆使して電子機器のデバイスに含有される貴金属、いわゆる「都市鉱山」から貴金属を回収するビジネスを展開するが、レアメタルやレアアースのリサイクル及び高純度回収に関する研究開発にも傾注し実績をあげている。レアアースの採掘に直接携わるわけではないが、採掘コストをかけずに脱中国依存の国策に乗る立場にあり、国内スクラップを中心に回収できる強みは大きい。収益もここ回復色が際立つ。26年9月期は売上高が前期比24%増の107億5000万円と14期ぶりに100億円の大台に乗せる見通しだ。また、営業利益は同2.5倍の12億4000万円を予想し、こちらは18期ぶりに過去最高を大幅更新する見込み。PER15倍台で株価指標面からも割高感に乏しい。株価の急騰習性も特筆され、過去には、14年11月初旬から中旬にかけ連日ストップ高を演じ、約2週間で17倍以上に大化けした実績がある。

株価の急騰力の強さは過去に示されたとおりだが、直近でも年初から大相場を演じており、1月16日に5500円の上場来高値をつけた。時価はそこから半値以下に水準を切り下げているが、売り物は枯れた状態。火がつけば戻りは早く、2400円近辺の踊り場は強気対処。3000円への台替えは早期に実現する可能性がある。

◎大同特殊鋼 <5471> [東証P]

大同特鋼は高機能特殊鋼で世界屈指の競争力を誇る。日本製鉄 <5401> [東証P]が実質的な同社の筆頭株主となっている。自動車業界向けを主力ターゲットに、航空機や造船向けでも実力を発揮するが、とりわけ半導体関連の先端素材に重心を置き、近年は同分野の受注拡大が顕著となっている。また、同社はレアアース・フリーのネオジム磁石の開発・量産化を手掛けていることで脚光を浴びている。同商品の主戦場は電気自動車(EV)分野であるが、現在世界的に建設ラッシュとなっているAIデータセンターでは、熱問題に対応した領域でレアアースに依存しないネオジム磁石の活躍が期待されている。具体的にはサーバー冷却用モーターや電源ユニットなどで需要が大きい。27年3月期はトップラインが2ケタ近い増収を予想しているものの、営業利益はのれん益剥落で5%減益を見込んでいる。しかし、保守的で上方修正含みであるほか、来期以降は増益トレンドに復帰する公算が大きい。

レアアース関連としては異色の上昇トレンドを継続中。週末26日も全体地合い悪の中で寄り後早々に3005円で年初来高値を更新。時価は1989年以来の高値圏で実質的な青空圏を舞っている。PERやPBRなど株価指標面で割高感はなく、戻り売り圧力の乏しいなか3000円台を突き進むケースも想定される。

◎東洋エンジニアリング <6330> [東証P]

東洋エンジは三井系の総合エンジニアリング企業で、エチレンプラントを主力とした石油化学プラントや肥料プラント、電力プラントなどに幅広く展開する。アンモニア製造プラントでは創業時からの歴史があり、世界首位級の競争力と独自のライセンスを保有している。浮体式原油生産設備を建造する三井海洋開発 <6269> [東証P]とは合弁関係にあることもポイントだ。レアアース分野では中国依存脱却を図る採掘関連の急先鋒で、文字通り国策に乗る銘柄といってよい。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の委託を受け、深海からレアアース泥を回収するシステムの技術開発で重要なポジションを担っている。業績面では26年3月期に営業損益段階からの大幅赤字を強いられたが、27年3月期はバランスを立て直し、営業損益は30億円の黒字化を見込む。30年度を最終年度とする中期経営計画では数値目標として純利益100億円、ROE12%以上を掲げている。

昨年秋口以降人気が本格化し、今年の年初にかけてレアアース関連の象徴株として大相場を演じた。1月16日には高値8760円まで買われ、これは1990年以来36年ぶりの水準。その後は前期業績の大幅赤字転落もあり、株価は暴落を余儀なくされたが、今期は回復が見込まれることで、仕切り直しの買いが期待できるタイミングに。

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