【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─業績拡大を読み解くカギは「人流」にあり!
「業績拡大を読み解くカギは『人流』にあり!」
●株式市場のインフレ警戒感は本物か
日経平均株価が2万9000円の突破に苦労している。2万9000円台に一瞬乗るのだが、すぐに押し返されてしまう。その結果、6月相場はいまのところ月初から保ち合い状態となっている。米国市場でナスダックやS&P500が上昇トレンドとなっているのと対照的だ。
では、NYダウはどうか。高値保ち合いとなっており、日経平均株価は同指数に連動している形だ。
実はNYダウは、少々理解しがたい動きになっている。インフレ懸念で米10年債利回りが上昇していた時の方が株価は上昇していたのだ。ところが、最近はインフレ懸念が後退。一時1.7%台に乗っていた10年債利回りは、なんと1.4%台に低下している。その過程でNYダウは横ばいの動きを続け、それに歩調を合わせて日経平均株価も類似の動きになったことになる。
これは、市場はインフレ懸念を歓迎しているとまではいかないだろうが、決して嫌がっていなかった――こういうことになる。市場の最近のコンセンサスは、「インフレ懸念で長期債利回りが上昇し、FRBはテーパリングを早める、これでは株は買えない。」だった。しかし、市場の実際の動きは、テーパリングを歓迎はしないだろうが、緩やかなインフレと長期債利回りの上昇は歓迎、こうなっていると見るのが自然だ。
実際、緩やかなインフレは経済にプラスに働く。日本経済の成長が止まっているのも、いまだにデフレから抜け出せないことによるもの。そのため、デフレにとどまるような材料が出てくると、日経平均株価も上がれなくなる。こんな図式の中にある。
以上のような観点から、機関投資家が積極投資をためらうような銘柄を排除し、今後需要増が確実に見込める製品やサービスを提供する銘柄に注目したい。
それにはコロナ禍でよく耳にする「人流」に関心を向ければよい。「緊急事態宣言」の発令下でも、「人流」が増加しているとして政府も地方自治体も頭を痛めているわけだが、これを投資の観点から見ると、有望銘柄が見えてくる。
東京駅をはじめ都内主要駅の「人流」は増加を続けている。これが意味するのは、リモートワークは続けているものの、出社の回数が増加するか、全面出社に変わりつつある企業が増加中ということになる。それにより、オフィス家具や事務用品の需要も拡大すると見てよく、オカムラ <7994> 、コクヨ <7984> 、アスクル <2678> などの浮上が見込める。
複合機に強い企業としてリコー <7752> や大塚商会 <4768> なども同様の観点から見逃せない。
「人流」の増加は、やがて人手不足につながる。いまは多くの企業が「人は余っている」という状態だろうが、経済が正常化に向かうと、たちまち「人が足りない」となることは目に見えている。この観点からは転職サイト運営のエン・ジャパン <4849> 、製造業派遣に強いアウトソーシング <2427> 、人材派遣から福利厚生代行に転じているパソナグループ <2168> などを。半導体・自動車製造向け 人材派遣に強いUTグループ <2146> は低迷中ながら、底値圏のためここから浮上する確率は高い。
最後にヤクルト本社 <2267> を。私の考えではこの会社は他社が真似できない、真似してもかなわない飲料(=ヤクルト)を製造販売しているからだ。
2021年6月11日 記
株探ニュース