「量子コンピューター」が3位、“量子超越”から2年を経て国際競争本格化<注目テーマ>
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みんかぶと株探が集計する「人気テーマランキング」で、「量子コンピューター 」が3位にランクインした。
AI・IoT社会の進化とも連動する次世代コンピューティング分野を巡り、国際競争が激しさを増している。量子コンピューターはその最右翼に位置するといってもよい。
従来型コンピューターは半導体の高集積化と歩調を合わせ加速的な進歩を遂げてきたが、動作原理は「0もしくは1」というデジタルの普遍的コンセプトによるものだ。しかし、量子コンピューターはこの基本的な常識から離れ、量子力学的な性質である“重ね合わせ”や“もつれ”といった極微の世界で起こり得る物理現象によって並列コンピューティングを実現させる。ひとつの量子が「0であり、かつ1でもある」という状態を利用することで、これまでの常識を大きく覆すパフォーマンスを上げることに成功した。これに伴い、時代の先端を走るスーパーコンピューターですら千年あるいは1万年という膨大な時間を必要とする計算を、わずか数分間で完結してしまうという夢のような技術を実現した。
2019年の秋に米アルファベット<GOOG>傘下のグーグルがスーパーコンピューターでおよそ1万年かかる計算問題を量子コンピューターによって3分あまりで解答を導く実証実験に成功、「量子超越」を実現したと発表したことが世界の耳目を驚かせた。米国ではグーグルのほかにIBM<IBM>やアマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>といったIT大手が覇を競っている。また、中国も近年同分野を深耕し、米国を脅かす存在となっている。情報解析のバリューネックスの集計では中国は昨年までの量子技術の国別関連特許が3000件を超えており、これは2位の米国の約2倍と圧倒している。
しかし、量子技術分野での展開において日本もそのノウハウは豊富である。量子コンピューターではアニーリングマシンで先駆するNEC<6701>が今からさかのぼること22年前の1999年に量子コンピューターの基本素子を実証するなど同分野への取り組みで高い実績を誇る。また、理化学研究所と共同で世界最速のスーパーコンピューター「富岳」を開発した富士通<6702>は、従来型コンピューターで量子コンピューターの演算を疑似的に行う「デジタルアニーリング」で早くから実力を示している。
東京市場では関連銘柄を物色する動きが活発化している。量子コンピューター研究向け電子デバイスを手掛けるエヌエフホールディングス<6864>は5月17日に1671円で年初来安値をつけたが、その後の戻り足が鮮明で既に直近1900円台まで水準を回復させた。また、カナダのDウェーブ社と業務提携して量子アニーリングマシン活用のコンサルティング事業も手掛けるフィックスターズ<3687>も前週10日にマドを開けて買われた後、目先筋の売り物をこなし堅調な値動きを示している。このほか、同テーマで注目される銘柄はシグマ光機<7713>、HPCシステムズ<6597>、ユビキタス AIコーポレーション<3858>、YKT<2693>、浜松ホトニクス<6965>、テラスカイ<3915>、スパークス・グループ<8739>などがある。