明日の株式相場に向けて=「コロナ後」先取り相場の勘所

市況
2021年6月14日 17時00分

週明け14日の東京株式市場は、日経平均株価が寄り付き早々に2万9200円台まで上昇する場面があった。その後は例によって伸び悩んだが、後場終盤に締まり2万9100円台で着地、戻り売り圧力をこなし切った。とはいえ、東証1部の終日ベースの売買代金は今年1月18日以来約5カ月ぶりとなる2兆円台割れを記録。当然ながら売り圧力も限定的だったといえる。

注目されるFOMCは明日15日から2日間の日程で開催されるが、「結果を見極めるまでは持ち高を一方向に傾けにくい」という言葉通りの展開となった。しかし、きょうは日経平均が75日移動平均線を終値で上回って引けており、もみ合い上放れに向けた逡巡を終わらせる時が近づいていることを暗示している。

パウエルFRB議長が量的金融緩和策のテーパリングに関する議論に言及するのは、早くて8月のジャクソンホールというのが大方のコンセンサスだった。だが、市場関係者によると「直近、CNBCやバロンズ紙など一部メディアを通じ、今回のFOMCでテーパリングについての言及があるというような見解が示されている。これは、FRBの意図するアドバルーンである可能性が高いが、マーケットはあまり動揺した様子がない」(ネット証券アナリスト)という。何といってもひと頃のインフレ懸念によってもたらされた喧騒が嘘であったかのように、足もと米10年債利回りが1.4%台半ばまで水準を切り下げていることが株式市場の波乱の芽を摘んでいる。当たり前の話だが、テーパリングは利上げの前段階であって、そう考えると利上げへの道のりはまだ相当先の話となる。「超金融相場のモラトリアムを堪能する時間はまだたっぷりある(から大丈夫)というのがマーケットの本音ではないか」(中堅証券ストラテジスト)という声もある。

個別株ではプリント配線基板を手掛ける京写<6837>に注目してみたい。車載向け需要が回復トレンドを強めており追い風が強い。きょうはプリント配線板の設計製造を手掛けるメイコー<6787>が値を飛ばしているが、京写は5月にこのメイコーとの資本・業務提携を発表しており、今後の業容拡大効果が期待される。300円台は水準的にも参戦しやすい。

また、ここにきて業種的に株価のパフォーマンスが良好なのは人材サービス業界だ。収益環境はお世辞にもいいとは言えないはずだが、周りが霧に包まれた状態でも動じることなくアフターコロナを見込んだ買いが活発。人材派遣会社は株価が4ケタ台の銘柄が多いが、そのなか3ケタ台に位置していることで値ごろ感が意識され、2月の年初来高値925円奪回から4ケタ大台乗せを視野に捉える日総工産<6569>をマークしてみたい。

アフターコロナとなれば、巣ごもりの反動でアウトドアのニーズも活発化することが予想される。中古2輪車買い取り大手でCMでもお馴染みのバイク王&カンパニー<3377>は出遅れているが、どこかで動き出しそうだ。

好業績銘柄では、家賃債務や医療費など総合保障サービスを手掛けるイントラスト<7191>に着目。意外にも長期間にわたって増収増益路線を走る成長株の見本のような銘柄だ。22年3月期は19%増収、11%営業増益を見込んでいる。6月4日につけた戻り高値778円を超えてくれば戻り足が本格化しそうだ。

このほか海運株にも再び熱い視線が向いている。グローバル物流ニーズの復元は言うまでもなくフォローウィンドとなるが、コンテナ船市況だけでなく、足もとでばら積み船の運賃市況を表すバルチック海運指数が目を見張る急反騰をみせている。前週後半の10日と11日は2日連続で188ポイント高と大幅上昇した。188ポイントの上げ幅だけでも特筆に値するが、何と2日連続でこれをやってのけた。日経平均に置き換えれば2000円高を2日続けたようなもので、きょうは海運株も軒並み動意している。日本郵船<9101>はじめ大手3社は年初来高値圏を走るが、ばら積み船を主力としながら新高値ラインにまだたどり着いていないNSユナイテッド海運<9110>に敢えて注目してみたい。

あすのスケジュールでは、4月の第3次産業活動指数など。海外では4月のユーロ圏貿易収支、5月の米小売売上高、5月の米PPI、5月の米鉱工業生産指数・設備稼働率、6月のNY連銀製造業景況指数など。なお、16日までの日程でFOMCが開催される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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