【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─黒転銘柄に注目!再び業績相場に回帰へ
「黒転銘柄に注目!再び業績相場に回帰へ」
●市場の反応に困惑も、経済回復基調は変わらず
株式投資に意外性はつきものだが、投資経験が長くなると、意外なことが起きてもあまり驚いたりしなくなる。心臓に毛が生えるというやつだ(心臓に実際に毛が生えることがあるのかどうかは分からないが…)。
しかし、驚くようなことではなくても、困惑させられることはある。特に、最近はそれが多くなっている。一つ一つはさほど大きくないのだが、投資には結構影響があるので、軽視も無視もできない。
最近では米国の金融政策と金利動向、それに対する市場の反応――これらのいずれもが、私には想定外の動きになった。
現在の米国市場が懸念しているのはインフレ。そのため、5月のCPI(消費者物価指数)が上昇していれば、インフレが進行していることになり、10年債利回りは急騰、株式市場も下げてしまう。これが想定されていた。
結果はどうだったか。CPIは前年同月比5%もの上昇だった。これはインフレが進行している有力な証拠のはずであり、10年債利回りは急騰、株式市場も大幅安となってもおかしくなかったが、実際は逆になった。10年債利回りは急落。株式市場も軟調程度の下げで終わった。
直近の材料では、FOMC(米連邦公開市場委員会)開催とそれを受けた市場の反応がある。FOMCでは現在の金融緩和策を継続する一方で、テーパリング(金融緩和の段階的縮小)について議論を始めることが表明された。
これまた普通に考えれば、10年債利回りの上昇要因になる。しかし、この原稿を書いている時点ではそうはなっていない。これまた想定外だ。
その結果、いわゆる景気敏感の素材株や資源株、設備投資関連株は失速。需要が絶好調のはずの 半導体関連株も一時の勢いを失ってしまっている。
こんな状況での投資は方向感を失ってしまいがちだが、忘れてならないのは、物価も景気敏感企業への需要も次第に上向く方向にある。この点になる。
経済は回復基調を続けており、今後それが加速することに変わりはない。
●市場は時々、間違う
変わったのは市場の反応であり、ここではそれを逆に利用した方がよい。市場は時々間違うからだ。いまは景気敏感株の失速や半導体関連株の鈍化など、私から見ると間違った反応をしていると見てよく、今後はまた業績相場に戻る可能性が高い。
そこで、今回は増収増益予想銘柄の中でも、赤字から黒字に浮上する、いわゆる「黒転銘柄」に注目したい。
企業にとって赤字は、学生にとっての落第のようなもの。この場合、黒転は進級・進学となるので、こんな嬉しいことはない。
具体的には、まずはガス・石油給湯器で国内首位のノーリツ <5943> になる。前期の最終損益は30億円の赤字に落ち込んだものの、今期は年初からの厳冬がプラスに寄与し、収益急回復が見込めるため株価は上昇が期待できる。
半導体用ハンドラ(選別装置)に強いテセック <6337> [JQ]は高値圏で保ち合い中ながら、半導体用テスター需要の好調も加わり、株価は続伸する確率が高いと見てよい。
半導体関連株ではタカトリ <6338> [東証2]も今期黒字化が見込める。パワー半導体向け製造装置の需要好調が株価の支援材料になる。
航空機向けマシニングセンタに強い牧野フライス製作所 <6135> も航空機需要の低迷により、主力製品の受注が止まり、前期は赤字に転落してしまったが、中国で放電加工機などの需要が復調中で、最悪状態を脱する見込みだ。
農機具業界3位の井関農機 <6310> も、黒字転換が見込まれる企業になる。前期は消費増税前の特需による需要急増の反動に見舞われ、赤字に転落していたのだが、今期は正常化する見通し。株価は地味な値動きながら回復基調が続くと見てよい。
アフターコロナ関連株にも目を向けておくと、エアトリ <6191> がある。航空券予約サイト「エアトリ」を運営しているが、前期は利用者が蒸発状態となった。しかし、今期は次第に戻りつつあり、株価も飛び立ちそうだ。
2021年6月18日 記
株探ニュース