富田隆弥の【CHART CLUB】 「3度目の下放れ懸念」
◆高値を更新する米国株に対し、日本株は軟調な展開が目立つ。東京都議選で自民党が第1党に返り咲いたものの、与党(自民党+公明党)は56議席止まりで過半数(64議席)に届かなかった。そして、新型コロナウイルスの感染者が再び増加傾向となるなか、政府は東京都に4回目となる緊急事態宣言の発令(7月12日~8月22日)を決めた。23日から始まる東京オリンピックは緊急事態宣言の下、無観客(首都圏会場)で行われることになった。また、経済正常化に向けて頼みの綱であるワクチン接種の進展もここにきてスピードダウンしている。これらが日本株軟調の要因であると言わざるを得ない。
◆7月8日の日経平均株価は、248円安の2万8118円で安値引けとなった。2万9000円近辺で保ち合いを煮詰めていたチャートは、これで5月13日の安値2万7385円、6月21日の安値2万7795円に続いて、みたび「下放れ」懸念を漂わす。
◆5月の安値時のように、この下げは7月9日のSQ(先物清算日)前の一時的な需給要因にすぎず、再び切り返す可能性はある。だが、一方で前述した日本の事情を警戒して、外国人投資家がバカンス(夏休み)を前に日本株を手仕舞っているのだとしたら調整を深めてもおかしくはない。
◆当面の下値メドは200日移動平均線(8日時点2万7500円)であり、5月につけた安値2万7385円とともに意識されよう。サイコロジカルラインやRCIなど日足のテクニカル指標は底値圏を示唆しており、この2万7500円近辺で切り返す可能性は十分にある。だが、この下値メドで止まらなければ、「8月のお盆」まで調整が長引くリスクが台頭してくる。日経平均株価のチャートは2月の年初来高値から引く上値抵抗線を抜けずに軟調な動きが続いている。2月高値の信用期日が8月15日に到来することもあり、ここは少し慎重に様子を見ておくのも一策だろう。
(7月8日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース