為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米国金利の先高観が支援材料に

通貨
2021年7月10日 14時31分

【今週の概況】

■米長期金利低下を意識してリスク回避の円買い強まる

今週のドル・円は弱含み。週初に111円19銭まで買われたが、まもなく伸び悩み。7月7日公表の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨(6月15-16日開催分)には、「多くのメンバーがインフレは弱まると予想」、「量的緩和策の縮小について著しい進展の基準はまだ満たされていない」などの記述が含まれており、量的緩和策の早期縮小観測は後退し、ドル売り・円買いが優勢となった。新型コロナウイルスの感染増加によって世界経済の早期回復は困難との見方が広がったことも嫌気された。米長期金利の低下を受けてリスク回避の円買いが強まり、ドル・円は一時109円53銭まで下落した。

9日のニューヨーク外為市場でドル・円は110円26銭まで反発した。米国株式市場で主要株価3指数は終値ベースで最高値を更新したことから、安全逃避的な円買いは縮小。クロス円レートは全般的に円安方向に振れており、ドル・円は110円11銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円53銭-111円19銭。

【来週の見通し】

■ドルは底堅い値動きか、米国金利の先高観が支援材料に

来週のドル・円は底堅い値動きか。新型コロナウイルスのワクチン接種が世界的に進展しているものの、足元で発表された経済指標から景気回復の一服感が示されている。また、産油国間の政策不一致による原油の需給引き締めが強まり、原油価格は不安定な動きを見せている。9日の米国株式市場で主要株価3指数は終値ベースで最高値を更新したが、世界経済の早期回復への期待は低下しており、日米の株価は調整圧力に押され、リスク回避的な取引はしばらく続く可能性がある。

このような状況下では、米連邦準備制度理事会(FRB)による将来的な金利引き上げの可能性を意識して、ドル選好地合いが見込まれる。来週発表の米経済指標で、6月の消費者物価指数や小売売上高が市場予想を上回った場合、金融緩和策の早期縮小観測が再浮上し、ドルは売りづらい展開となりそうだ。

【米・6月消費者物価コア指数(CPI)】(13日発表予定)

13日発表の米6月消費者物価コア指数(CPI)は前年比+4.0%と、5月実績の+3.80%を上回る見込み。米金融当局者は「インフレ高進は一時的な現象」とするが、市場予想を上回った場合、金融緩和策縮小への思惑が広がりやすい。

【米・6月小売売上高】(16日発表予定)

16日発表の6月小売売上高は、5月の前月比-1.3%から多少改善するものの、前月比マイナスとなる可能性がある。ただ、市場予想を上回った場合、景気悪化に対する警戒感は

低下し、ドル買い材料となりそうだ。

予想レンジ:109円20銭-111円20銭

《FA》

提供:フィスコ

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