明日の株式相場に向けて=中国リスクは果たして杞憂か

市況
2021年7月27日 17時00分

きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比136円高の2万7970円と3日続伸。米国株との連動性が失われている日本株だが、上がり続ける米国株の背中を見ながらさすがにダンマリを決め込むわけにはいかず、ようやく前進し始めた。ただ、売買代金は今月6日以来の2兆円台割れとなった。

気になるのはやはり中国で、きょうも上海総合指数と香港ハンセン指数は派手な下げをみせている。特にハンセンの下げが加速している。中国が矢継ぎ早に打ち出してきたネット関連や教育関連企業に対する規制強化の動きは共産主義回帰の色合いの強いもので、これは外国資本を逃避させ、自分で自分の首を絞める格好に陥る可能性がある。不動産分野でも大手の恒大集団の資金繰りが懸念されており、チャイナ・デベロッパー・ショックを引き起こすのではないかという警戒論が市場関係者の間でささやかれている。「サブプライム問題を底流にリーマン・ブラザーズの破綻にまで及んだ2008年の再来と煽るには根拠が薄いが、中国はかつてのような隔離された巨大な赤ん坊ではないだけに、用心が必要」(ネット証券マーケットアナリスト)という指摘もある。これが杞憂であるとしても、売り仕掛けのネタにはなる。今の超緩和的政策に対する絶対的信頼が曲がり角を迎える瞬間が近づいているとすれば、GAFAMのような銘柄であってもロングポジションが危険なケースは出てきそうだ。

個別株も今は中小型株が有利な地合いだ。持続性にはやや乏しいものの、蕾(つぼみ)を膨らませた状態の銘柄は多数あり、日替わりで花を咲かせているような状況にある。全体相場は上昇してはいても重苦しいムードが拭えないのも事実。しかし投資資金はしたたかであり、森より木を見る相場と割り切って機動的に対応している。

ここにきて低位株に資金が集まりやすい傾向がある。前日紹介したインプレスホールディングス<9479>などもその一角で上値指向にある。ちなみに値上がり率トップは株価が前日終値時点で140円台だった共立印刷<7838>で、きょうは一気に190円台まで上値を伸ばした。上昇率に換算して実に34.5%高となる。この上昇パフォーマンスは優良株の一群からは生まれない。名村造船所<7014>なども水素関連としての思惑が働いたのか急動意となった。需給思惑先行ながら活躍の舞台を100円台から200円台に変えている。もっとも、KIMOTO<7908>のように先に買われていた銘柄は決算跨ぎで売り叩かれるというケースもあるため、注意も必要である。

この流れで注目しておきたいのが株価300円台前半にあるミクニ<7247>。自動車・バイク向け気化器メーカーだが、バイク市場が好調ななかビジネス環境に吹く追い風が強い。当欄でも以前から紹介してきたが、自動車部品会社が強い動きを示している。愛三工業<7283>や大豊工業<6470>などについては4~6月期決算発表接近でいったん様子をみたいタイミングだが、まだ決算発表まで比較的時間のあるミクニは買いやすさがあるのか、きょうは高値引け。基本は押し目狙いながら、PBR0.4倍は水準訂正余地がある。

このほか業種としては鉄鋼株がバリュー株の宝庫で、ここにきて東京製鐵<5423>の業績上方修正効果で全体底上げの動きをみせている。そのなか三菱製鋼<5632>の1000円トビ台は魅力がある。4ケタ銘柄とはいってもPER5倍台、PBR0.4倍台は安い。

また、脱炭素関連の穴株では東京産業<8070>がある。同社株も割安感が強く600円台後半のもみ合いは強気対処が可能であろう。機械商社だが、太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギー分野への注力を標榜しているだけに妙味を内包している。欧州でのEV案件にも思惑がある。

あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の主な意見(7月15~16日開催分)が朝方取引開始前に開示されるほか、午後に5月の景気動向指数改定値が発表される。また、東証マザーズ市場にブレインズテクノロジー<4075>が新規上場する。海外では、4~6月の豪消費者物価指数が発表されるほか、FOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見への注目度が高い。また、米国ではフェイスブックA<FB>やボーイング<BA>、ファイザー<PFE>などの決算発表が予定される。なお、タイ市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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