今週の【早わかり株式市況】今年最大1486円高、週末に菅首相の退陣表明で上げ加速
■今週の相場ポイント
1.日経平均は2週連続の上昇、週間の上げ幅は1486円と今年最大に
2.パウエルFRB議長のジャクソンホール講演にはポジティブな反応みせる
3.8月末の日経平均は高く引け「月末安アノマリー」を12ヵ月ぶりに覆す
4.9月相場初日も衆院解散・総選挙の前倒し観測などを背景に上げ足を加速
5.週末は菅首相総裁選不出馬が伝わり急騰、TOPIXは約30年ぶり高値
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比1486円(5.38%)高の2万9128円と大幅高となり2週連続の上昇となった。
今週は、週明けの取引開始前の時点では上値の重い展開というのが大方の市場関係者の見立てであった。ところが、それは政局に絡む材料で良い方向に大きく裏切られた。日経平均は8月31日の「月末安アノマリー」も覆し、週間で今年最大の上げ幅を記録した。
週明け30日(月)は前週末の米国株高を受けリスクを取る動きが優勢となり、日経平均は反発。注目のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演はテーパリングの年内開始を示唆したが織り込み済みで、一方で利上げに慎重な姿勢を示したことが好感された。31日(火)は続伸し、上げ幅は300円に達しフシ目の2万8000円台を回復した。月末に株価が安く引ける現象は前月まで11ヵ月連続していたが、ついにそれを12ヵ月ぶりに覆す格好となった。そして名実ともに9月相場初日となった1日(水)は更に上げ足を強める形に。菅首相が9月中旬に前倒しで解散・総選挙に踏み切るとの見方が広がったが、その後菅首相自らが否定。株価は途中伸び悩む場面はあったものの結局日経平均は高値圏で着地した。2日(木)は短期間に値を上げた反動で利益確定売り圧力も意識されたが、半導体関連など値がさハイテク株への買いが全体相場を支え、4日続伸となった。そして週末3日(金)は前日の米国株市場でナスダック総合指数とS&P500指数が過去最高値を更新したことなどを受け、リスクオンの流れが継続し日経平均はこの日も買い優勢で始まった。そして、昼休み時間中に菅首相が総裁選不出馬の意向を表明したことが伝わり、後場に入ると日経平均は先物主導で急騰、一時上げ幅は600円を超え、終値は584円高で引けた。なお、TOPIX は新高値となり約30年4ヵ月ぶりの高値をつけた。
■来週のポイント
今週は週半ばに75日と200日移動平均線を上抜いたうえ、週末の急騰で2月高値からの下降トレンドラインも突破。それだけに来週は新政権への期待から3万円を目指す展開になりそうだ。
重要イベントとしては、国内では7日発表の7月景気動向指数が注目される。10日にはメジャーSQを迎える。海外では7日発表の中国8月貿易収支や9日に発表される中国8月の消費者物価指数と生産者物価指数、ECBの政策金利に注視が必要だろう。
■日々の動き(8月30日~9月3日)
【↑】 8月30日(月)―― 反発、前週末の米株高を受けリスク選好の買い優勢
日経平均 27789.29( +148.15) 売買高10億2174万株 売買代金 2兆4574億円
【↑】 8月31日(火)―― 続伸、朝安も海運株や鉄鋼株が上昇を牽引
日経平均 28089.54( +300.25) 売買高12億3524万株 売買代金 3兆0137億円
【↑】 9月 1日(水)―― 大幅続伸、9月解散総選挙の思惑で高値引け
日経平均 28451.02( +361.48) 売買高10億8266万株 売買代金 2兆7721億円
【↑】 9月 2日(木)―― 4日続伸、目先の利食い売りをこなし上値指向継続
日経平均 28543.51( +92.49) 売買高10億5806万株 売買代金 2兆6395億円
【↑】 9月 3日(金)―― 大幅に5日続伸、菅首相退陣表明で2万9000円台回復
日経平均 29128.11( +584.60) 売買高12億4310万株 売買代金 3兆2808億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、31業種が上昇
(2)日本製鉄 <5401> など鉄鋼、住友鉱 <5713> など非鉄、郵船 <9101> など海運といった景気敏感株買いが続く
(3)コマツ <6301> など機械、ソニーG <6758> など電機、トヨタ <7203> など自動車といった輸出株も大幅続伸
(4)大和ハウス <1925> など建設、三井不 <8801> など不動産、JT <2914> など食品といった内需株も総じて堅調
(5)野村 <8604> など証券、東京海上 <8766> など保険、三菱UFJ <8306> など銀行といった金融株も高い
(6)JR西日本 <9021> など陸運が大幅安、ANAHD <9202> など空運も低調
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※カッコは前週の順位
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