雨宮京子氏【様変わりの日経平均、ここからの見通しと戦略】(2) <相場観特集>
―3万円台乗せから新高値が目前、上昇トレンドは続くか―
週明け13日の東京株式市場は前週末の欧米株安を受けて、利益確定売り圧力が顕在化したが大引けにかけ切り返す強さをみせた。日経平均は前週末まで2週間で2700円以上の上昇をみせ、3万円大台まで一気に駆け上がっただけにその反動も余儀ないところ。しかし、下値では押し目買い意欲旺盛で容易に下がらない。ここから日経平均は更に上値を目指すのか、それとも再び下値を探る展開が待っているのか。今後の相場展望と物色の方向性について、先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。
●「海外マネー再上陸で更なる上値を期待」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
日経平均株価は足もとではここ最近の急伸の反動が出やすい形となっているが、全体相場のトレンド自体は既に上向きに変わっている。基本的に下押す場面では押し目買いが有効な投資作戦となる。前週までの急騰は自民党総裁選を前に菅首相が退陣を表明し、政治が新たな局面を迎えることへの期待感から買われたように伝わっているが、これはあくまで契機に過ぎなかったとみている。
これまで欧米株高に大きく遅れる形で、日経平均は2万7000円台で停滞する時間帯が非常に長かった。マグマが溜まっていたところに政局に大きな動きが出て反騰のタイミングをつかんだ。新型コロナウイルスの国内感染もピークを越え、ワクチンの普及が急速に進んだことで、海外投資家も日本株の水準訂正余地に着目して本格的な買いを入れている。海外マネーの日本再上陸は10月にかけて全体相場を浮揚させる原動力ともなりそうだ。
国内企業業績は業種によって跛行色はあるものの、半導体業界などを中心に引き続き先行きに対する期待は大きく、株価指標面からも依然割安といってよい。向こう1ヵ月の日経平均のレンジは、上値についてはアベノミクス相場の平均値であったPER15倍で換算して3万2000円どころ。また、下値については、トレンドの変わった今月3日の終値水準である2万9000円近辺を下限とみている。
個別銘柄では、まずトヨタ自動車 <7203> に着目。今月末の1対5の株式分割の権利取りが活発化しそうで短期的にも狙い目が大きい。また、JR東日本 <9020> はコロナ禍で業績への悪影響が際立ったが、株価は逆張りのチャンスで今後はアフターコロナ関連株の本命格になる可能性がある。また、脱炭素のテーマでは水素関連の岩谷産業 <8088> に注目している。中小型株ではデジタルトランスフォーメーション(DX)関連の出遅れで朝日ネット <3834> に妙味あり。また、バイオでは「リゴセルチブ」を手掛けるシンバイオ製薬 <4582> [JQG]がコロナ関連として上値が見込めそうだ。景気回復局面ではアルミ押出用金型事業の修復に期待が大きい放電精密加工研究所 <6469> [JQ]もマークしたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
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