コロナ禍でリフォームに活気、住宅設備機器関連の躍進銘柄を追え! <株探トップ特集>

特集
2021年9月16日 19時30分

―在宅時間の増加による住環境改善のニーズや、衛生意識の高まりで非接触ニーズが拡大中―

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、 リフォーム市場が活気づいている。1回目の緊急事態宣言が出された2020年春こそ、リフォーム事業者の営業自粛などの影響により市場は落ち込んだが、その後は テレワークや外出自粛などで在宅時間が増えたことにより、自宅での時間を快適にしたいという住環境の改善需要が拡大したことが背景にある。また、衛生意識の高まりによる非接触ニーズなど、さまざまなリフォームニーズも活性化している。

これらを受けて、住宅設備機器関連のなかには、コロナ禍前以上の業績となる企業もみられるようになった。仮に今後、コロナが収束に向かうとしても、在宅勤務の流れや衛生意識の定着などでリフォームニーズは底堅く推移するとみられている。引き続き良好な事業環境が期待でき、関連銘柄は要注目だろう。

●リフォーム市場は22年に7兆円規模に迫る見通し

リフォーム市場は、ここ数年、緩やかに拡大していた。矢野経済研究所(東京都中野区)が21年7月に発表した「住宅リフォーム市場に関する調査を実施(2021年)」によると、20年の住宅リフォーム市場の規模は前年とほぼ横ばいの6兆5298億円と推計した。1回目の緊急事態宣言発出により、市場は一時的に落ち込んだものの、2回目以降の緊急事態宣言下では、感染拡大防止策を徹底し通常の営業活動を行ったことや、オンライン商談が浸透したこともあり、従来と変わらず工事が実施された。

また今後、コロナ禍で芽生えた住空間への関心をこのままリフォーム需要として顕在化できれば、引き続き市場は堅調に推移するとしており、21年の市場規模は6兆7000億円(前年比3.3%増)、22年は6兆9000億円(同2.1%増)と7兆円に迫ると予想している。

●「セカンド洗面台」など新商品効果も

リフォーム市場が堅調な背景には、テレワークや外出自粛などで在宅時間が増え、消費者の住空間への関心が高まったことがある。「ステイホーム」により、従来は外食や旅行、レジャーなどに向かっていたお金が住宅に向かい、「プチDIY」がブームとなったが、その延長線上で、プロの手によるリフォームへのニーズも拡大した。

また、衛生意識の高まりによる新たな需要も発生している。従来、リフォームといえばキッチンや浴室が中心だったが、コロナ禍ではまずテレワークのためのワークスペースの新設が増加。その後、感染が拡大するにつれ、家の中にウイルスを持ち込まない対策として、玄関まわりや洗面スペースのリフォームが増えているという。昨年から今年にかけて、住宅設備機器メーカー各社が「セカンド洗面台」といわれる、玄関まわりに設置できるコンパクトな洗面台の新商品を相次ぎ発表したことも、こうした傾向に拍車を掛けたようだ。

●原料高への対応力が強い住宅設備機器大手に注目

好環境にあるリフォーム市場だが、原材料価格上昇の影響には留意が必要だ。足もとで銅、アルミ、鉄などの資材価格が高止まりしており、これが原料高となって利益を圧迫する可能性がある。大手を中心に海外での値上げで吸収するなどの対応策が示されていることから、影響は限定的との見方が強いが注意したい。

これらを踏まえた注目銘柄は、原料高への対応力が強い大手住宅設備機器企業だろう。

LIXIL <5938> の第1四半期(4-6月)決算で、リフォーム商材の国内売上高は760億円(前年同期比15%増)となり、コロナ禍前の20年3月期第1四半期の741億円を上回った。前年の経済活動の制限からの回復に加えて、非接触化や快適性の向上を目的とした需要の増加で水まわり商品の売り上げが好調。国内売上高に占めるリフォーム商材の比率も41%となり、前年同期に比べて5ポイント上昇し、業績を牽引した。22年3月期通期は営業利益780億円(前期比2.2倍)の従来見通しを据え置いたが、第1四半期業績が計画を上回ったことから上振れが期待されている。

TOTO <5332> の第1四半期(4-6月)決算で、国内リモデル(リフォーム)事業の売上高は701億円(前年同期比25%増)となり、コロナ禍前の20年3月期第1四半期の687億円を上回った。衛生性への意識の高まりを受け、人の動きに合わせてふたの開閉や洗浄、除菌を自動で行うウォシュレットやキッチン・洗面商品が伸長。また、学校や病院などを含めたパブリック施設におけるタッチレス便座やタッチレス水栓・ソープディスペンサーなどの需要も高まった。22年3月期通期業績予想は営業利益440億円(前期比11.0%増)の従来見通しを据え置いているが、同520億円前後を見込む調査機関もあり上振れ期待は強い。

タカラスタンダード <7981> の第1四半期(4-6月)で、住宅設備関連事業の売上高は498億円(前年同期比14%増)となり、コロナ禍前の20年3月期第1四半期に比べても3%増となった。ガラスと金属を素材とするホーロー製品は汚れに強く、アルコールの拭き取りで劣化しないこともあり、ホーロー製のシステムキッチンや浴槽、洗面化粧台の中高級価格帯が好調だった。22年3月期通期業績予想は営業利益116億円(前期比5.8%増)の従来見通しを据え置いているが、第1四半期時点で上期予想に対する進捗率が81%となっており、滑り出しは順調だ。

また、家事負担の軽減や快適な自宅時間をサポートするガス衣類乾燥機や自動調理機能付きコンロなどの需要が増えているリンナイ <5947> や、全国規模で新築・リフォームにおける住宅設備の設計・工事を手掛けるエプコ <2311> などにも注目したい。

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