高成長【始動】候補リスト〔第2弾〕 33社選出 <成長株特集>

特集
2021年10月14日 19時40分

本特集では、時価総額350億円以上1000億円未満の銘柄を対象とした「高成長【始動】候補リスト〔第1弾〕」(10月10日配信)に続き、時価総額350億円未満の銘柄の中から、製品・サービスの販売拡大もしくは買収や提携などにより、高成長に向けて動き始めた可能性が高い銘柄を探った。

下表では、時価総額80億円以上350億円未満(10月10日時点)の銘柄の中から、本決算月にかかわらず直近四半期に前年同期比で「10%増収・20%経常増益」を2四半期もしくは3四半期連続で達成した銘柄を、“高成長「始動」候補”として33社を選び出し、直近四半期の増益率が大きい順に記した。連続で収益が拡大し始めた企業は、これから高成長が期待できる有力候補として注目していいだろう。

直近四半期の増益率トップとなったのはアライドアーキテクツ <6081> [東証M]。直近3ヵ月である21年4-6月期(第2四半期)の経常利益は前年同期の100万円から1億8200万円に急拡大して着地。コロナ禍をきっかけとしたマーケティングDX需要の拡大を追い風に、SaaS事業でSNS広告運用支援ツールや動画作成ツールの月額利用収入が伸びたほか、ファンとSNSを掛け合わせたマーケティング需要が高まるなかソリューション事業の収益も拡大した。業績好調に伴い、21年12月期通期業績予想をすでに2回上方修正している。

2位に入った国際物流大手の日新 <9066> はコンテナ不足による海上輸送から航空輸送への切り替えが継続するなか、国内外で自動車関連貨物などの航空輸出が好調だった。4-6月期(第1四半期)の経常利益は前年同期比45倍の22.1億円に拡大し、四半期ベースの過去最高益を17四半期ぶりに塗り替えた。上期計画の23億円に対する進捗率は96.4%に達しており、業績上振れが期待される。

3位にリスト入りした第一稀元素化学工業 <4082> の4-6月期(第1四半期)は、自動車販売台数の急速な回復を背景に、主力の自動車排ガス浄化触媒材料をはじめとする車載関連素材が大きく伸びた。また、円安進行で為替差損益が好転したこともプラスに働き、売上高74.9億円(前年同期比72.5%増)、経常利益17.3億円(同39倍)と業績高変化を遂げた。経常利益は上期計画15.5億円をすでに上回っており、業績上振れが濃厚だ。

6位の日東精工 <5957> は自動車産業を中心にねじの受注が回復したことに加え、コロナ禍における外出自粛を背景にゲーム機やパソコン向けの精密ねじが好調を継続し、4-6月期(第2四半期)は売上高105億円(前年同期比36.6%増)、経常利益12.6億円(同5.7倍)と2四半期連続の大幅増収増益を達成した。

続く7位にリストアップされたシュッピン <3179> の4-6月期(第1四半期)は、主力のカメラ事業でAIを活用して適正な買取・販売価格を自動設定する「AIMD」の導入などが奏功し、EC売上高が前年同期を大きく上回った。時計事業では人気ブランド「ロレックス」の買取強化で豊富な品揃えを維持し、利益率の高い中古品の販売が伸びた。

13位の内外トランスライン <9384> と14位のフォースタートアップス <7089> [東証M]は好決算を受けて上場来高値を更新している。独立系海上輸送会社の内外トランスは国内事業で主力の海上混載やフルコンテナの単価、数量がともに増勢だったほか、子会社では航空貨物需要を取り込んだ。また、海外子会社でも日本からの貨物取扱量が伸び、4-6月期(第2四半期)は売上高、経常利益いずれも四半期ベースで過去最高を更新した。9月15日には今期2回目となる21年12月期通期業績予想の上方修正に踏み切り、上場来高値2634円まで上昇する場面があった。ただ、足もとでは大きく値を崩している。

スタートアップ企業を対象とした人材支援サービスを展開するフォースタの4-6月期(第1四半期)は、コロナ禍で昨年採用を控えた一部の好調なスタートアップが強気な採用を継続するなか、主力とするタレントエージェンシーの受注が想定以上に伸びた。好調な業績を踏まえ、22年3月期通期の経常利益予想を従来の1.8億円から4.5億円に大幅上方修正している。

23位のアートスパークホールディングス <3663> はイラスト制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」の販売が好調だ。プロモーション効果などで海外を中心に出荷本数が伸び、4-6月期(第2四半期)の経常利益は前年同期比83.3%増の3.8億円に膨らんだ。株価は7月27日に上場来高値1115円をつけたあと利益確定売りに押されたが、足もとではCLIP STUDIO PAINTの好調な出荷が続くなか急速に戻り足をみせている。

┌─ 経常利益 ─┐ ┌─ 売上高 ─┐ 増収増益 予想

コード 銘柄名    増益率 直近四半期 増収率 直近四半期 連続期数  PER

<6081> アライドアキ  18100    182  66.7    1495    2  17.9

<9066> 日新      4427    2218  23.0   42301    2  11.3

<4082> 稀元素     3841    1734  72.5    7495    2  16.3

<6405> 鈴茂器工     679    374  39.1    2743    3  17.6

<3299> ムゲンE     559    534  52.2    7554    3   9.1

<5957> 日東精      475    1264  36.6   10568    2  11.6

<3179> シュッピン    444    702  56.9    9118    3  18.8

<6378> 木村化      388    591  35.3    5452    3  10.4

<6915> 千代田インテ   337    804  43.3   10641    2  13.5

<6616> TOREX    276    676  19.7    7013    2  14.8

<4620> 藤倉化      223    1005  14.3   12908    2   8.8

<5280> ヨシコン     209    1157  98.7    6234    2   5.5

<9384> 内外トランス   202    914  52.5    8174    2   8.9

<7089> フォースタ    180    140  75.0    525    2  43.1

<6428> オーイズミ    174    597  22.2    2891    3   -

<5729> 日精鉱      142    686  67.1    4262    2   7.4

<4406> 日理化      133    408  34.7    7788    2  19.5

<4366> ダイトーケミ   117    769  17.1    4045    3  11.7

<5659> 日精線      117    1298  29.8   10641    2   9.8

<6482> ユーシン精機  90.1    593  27.3    4763    2  14.2

<9386> 日本コンセプ  86.4    660  32.9    3878    2   -

<3183> ウインP    84.2    536  20.2   15436    2  16.2

<3663> アートSHD  83.3    383  10.4    1726    2  24.7

<5816> オーナンバ   81.3    319  34.5    9244    2   8.1

<4094> 日化産     79.1    1218  17.8    5522    2  10.2

<4493> サイバーセキ  65.6    101  53.0    433    2   140

<7079> WDBココ   63.2    191  37.0    763    3  28.4

<3176> 三洋貿易    57.7    1610  39.7   22900    2   7.6

<3464> プロパティA  57.7    713  50.7    8741    2  16.3

<4963> 星光PMC   48.2    578  26.0    7473    2  12.3

<6049> イトクロ    42.9    470  25.8    1237    2  19.5

<4496> コマースワン  39.8    172  20.6    707    2  29.3

<3798> ULSグルプ  26.0    489  12.3    1654    2  29.7

※売上高、経常利益の単位は百万円。増益率、増収率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は四半期ベースの連続回数。

※通期の経常利益予想が減益見通しの企業は除いた。

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