業績増額カウントダウン!“先回り買い妙味満載”の厳選6銘柄 <株探トップ特集>

特集
2021年10月18日 19時30分

―上期予想を大幅増額しながらも通期計画は据え置いた、上方修正有望株をリストアップ―

小売業を中心とする2月期決算企業の上期決算発表がほぼ出そろい、今週後半からはいよいよ3月期決算企業の上期(4-9月)決算発表シーズンに突入する。21日に予定する半導体製造装置のディスコ <6146> を皮切りに、月内に700社近く、11月に入ってからは1600社を超える企業が発表する予定だ。今回は決算発表の集中期間入りを前に、4日の株探トップ特集「上方修正サイン点灯!『上期決算発表』接近で要注目の有力株リスト」に続いて、22年3月期通期の業績予想を上方修正する可能性が高いとみられる銘柄を追った。

●2月期上期決算は7割が増益、外食の復活目立つ

先週までに発表を終えた2月期決算企業208社の上期(3-8月)決算を集計したところ、経常利益が前年同期比で増益(黒字転換と赤字縮小を含む)だったのは146社と全体のおよそ7割に上った。2月期決算の大半を占める内需関連では、クリエイト・レストランツ・ホールディングス <3387> や吉野家ホールディングス <9861> をはじめ、飲食店がコスト削減や時短協力金の計上などを背景に急回復をみせた。また、映画事業が好調だった東宝 <9602> は通期業績予想を上方修正したことも評価され、株価は上場来高値を連日更新している。

製造業では、世界的に電子部品 半導体の需要が高まるなか、安川電機 <6506> やローツェ <6323> が好決算を打ち出したほか、建設機械メーカーの竹内製作所 <6432> は上期の過去最高益を更新するなど、大方がプラス成長を遂げた。一方、昨年コロナ特需の恩恵を受けて収益が急拡大した食品スーパーホームセンタードラッグストアは巣ごもり需要の一巡を受けて減益に転じるものが目立つ。

●上期増額修正しながらも通期計画を据え置いた銘柄に注目

これから本格化する3月期決算企業の上期決算発表シーズンでは、経済の正常化に伴う需要増加や足もとの円安進行が追い風となる製造業を中心に、通期計画を上方修正する企業が相次ぐことが期待される。前回の「上方修正サイン点灯!『上期決算発表』接近で要注目の有力株リスト」では、企業が算出する業績予想の“クセ”に着目し、昨年10月中旬から11月初めにかけて上方修正した実績のある企業に主眼を置いて銘柄を選別した。今回は視点を変えて、上期予想を大幅に上方修正したにもかかわらず、通期計画を据え置いた企業に照準を合わせ、これから上方修正が期待できる6銘柄をリストアップした。

●伯東は絶好調で上期14年ぶり最高益見通し

独立系エレクトロニクス商社の伯東 <7433> は、旺盛な半導体需要を追い風に業績が絶好調だ。第1四半期(4-6月)は主力の電子部品事業でパソコン用・車載用ICや通信関連の光部品などが大きく伸びたほか、化学メーカー部門である工業薬品事業も顧客プラントの稼働回復や化粧品関連の販売増加を受けて利益が膨らんだ。業績好調に伴い、上期の経常利益予想を14年ぶり最高益見通しとなる33億円へ上方修正したが、通期計画38億円は据え置いた。同社は中期経営計画で25年3月期まで総還元性向100%とする目標を掲げており、株主還元の切り口でも投資妙味が大きい。今期は年60円配当に加え、150万株または18億円を上限とする自社株買いを実施中だ。

●PS三菱は9年連続で期中に上方修正

ピーエス三菱 <1871> は三菱グループ唯一のゼネコンで、高強度かつ耐震性に優れたプレストレストコンクリート(PC)において業界トップクラスの技術力を誇る。22年3月期は土木事業の工事進捗鈍化を考慮し、経常利益48億円と前期比43%の大幅減益を見込む。ただ、同社は前期まで9年連続で期中に上方修正した履歴があり、上方修正期待は強い。9月30日には工事採算の改善が想定以上に進んだことを踏まえ、経常利益の上期計画を従来予想の2.3倍にあたる35億5000万円へ上方修正している。同社はPC橋梁で多くの実績を持っており、岸田政権が国土強靱化への投資拡大を掲げるなか、インフラ整備で商機を捉える公算が大きいとみられ中期的な成長期待も強い。

●タカラトミーの期初予想は保守的な傾向

玩具大手であるタカラトミー <7867> の第1四半期業績は、商品力を強化したトレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」や「トランスフォーマー」の海外向け輸出が好調だったほか、アミューズメントマシン「ポケモンメザスタ」の人気が拡大した。これに経費コントロール効果が加わり、売上高350億5800万円(前年同期比30.8%増)、経常損益21億4400万円の黒字(前年同期は6億5600万円の赤字)と急回復を遂げた。併せて、上期の経常利益予想を期初計画のほぼ2倍にあたる45億円へ大幅上方修正に踏み切った。同社は期初予想を保守的に見積もる傾向が強く、過去5年間で4回も期中に通期計画を上方修正している。うち2回は10月下旬に上方修正した経緯があり要注目だ。

●クロスキャトは対通期計画高進捗で上振れ濃厚

クロスキャット <2307> は銀行やクレジットカード会社向け受託開発を主力とするシステムインテグレーター。金融システムや官公庁案件に強く、政府が普及を急ぐマイナンバーカードの関連銘柄としても注目度が高い。前期は新型コロナ感染拡大の影響を受けて11年ぶりの経常減益に沈んだが、22年3月期は企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)投資ニーズが高まるなか巻き返しを図る。足もとでは官公庁や通信関連、製造業向けの案件が増勢で、上期の経常利益予想を4億2000万円と期初計画の2倍に引き上げた。修正した上期予想の通期計画(5億5000万円)に対する進捗率は75%を超えており、業績上振れは濃厚とみられる。

●黒田精は半導体とEV需要を取り込み急回復局面

精密機器メーカーの黒田精工 <7726> [東証2]は、半導体市場の拡大や世界的な電気自動車(EV)シフト加速を背景に業績急回復をみせている。22年3月期は売上高168億円(前期比26.4%増)、経常利益5億5000万円(同53.7%増)に拡大する見通しだ。足もとでは半導体製造装置に使うボールねじが好調に推移しているほか、車載用モーター向け金型や家電用モーターコアの引き合いが強い。高水準な受注動向や好採算品の拡大を踏まえ、第1四半期決算発表と同時に、上期の経常利益予想を従来の6000万円から2億7000万円へ大きく引き上げた。同社は11月に通期計画を見直すことが多く、上方修正への期待が高まっている。過去の上方修正場面では株価が急騰した経緯があることも注目ポイントだ。

●新家工は修正した上期予想が通期計画に到達

新家工業 <7305> は鋼管関連事業が売上高の大半を占める鋼管(パイプ)メーカー。祖業は自転車用リムで現在も国内トップブランドとして人気を博するほか、不動産賃貸なども手掛ける。第1四半期業績は経常利益段階で前年同期比3.7倍の5億8000万円と好決算を示し、9月30日に上期(4-9月)の同利益予想を従来の5億円から13億円へ大幅上方修正した。物流倉庫などの建築関連や自動車関連の堅調な需要を背景に、設備稼働率が向上したほか、需給逼迫で上昇する鋼材価格を吸収するために値上げを進めたことも利益上振れにつながったという。修正した上期予想が通期計画(13億円)に到達しており、業績上振れの確度は極めて高いとみられる。

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