鈴木英之氏【不安と期待が交錯、強弱拮抗の相場のこれから】(1) <相場観特集>
―NYダウ最高値でも下値模索の東京市場をどう見る―
週明け25日の東京株式市場では日経平均が反落となった。前週末の米国株市場ではNYダウが最高値をつけるなど好調だが、ナスダック市場は売りに押される展開となっており、東京市場でもハイテク株に利益確定売りが出たことで軟調な地合いを強いられた。10月20日に2万9000円台半ばまで水準を切り上げ戻り高値をつけた後は再び軟化し2万8000円台に押し戻されている。はっきりしない日経平均の値運びだが、ここからの相場展望について第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。
●「『新型コロナ』と『衆院選』、『決算動向』が相場を左右」
鈴木英之氏(SBI証券 投資情報部長)
今後の相場をみるうえでは「新型コロナウイルスの状況」「今月31日に迫った衆院選」「企業の決算動向」などがポイントとなりそうだ。
年末までの日経平均の予想レンジは2万7500~3万500円前後。中心となるのは2万9000円前後で、そこから上下1500円の値動きを見込んでいる。
新型コロナに関しては、「第6波」があるのかどうかにもよるが、このまま感染者数の低水準状態が続けば、経済活動の活発化とともに景気回復シナリオが描けることになる。衆院選は、自民党が議席数を減らし与党でなんとか過半数を確保という結果もあるかもしれない。ただ、与党と野党の議席数が接近して政治に緊迫感が出ることは、決して悪いことだとも言えない。選挙結果が出て、悪材料出尽くしという反応もあり得る。
決算に関しては、可もなく不可もないという結果かもしれない。7~9月は、新型コロナの感染が急拡大した時期でもあり、内需株などが悪い結果で株価が売られれば、そこは買い場となりそうだ。また、インフレへの対応で、値上げができる銘柄は評価されるだろう。
4~6月期が好調で今期の好業績が見込め、株価面でも妙味がある銘柄などに注目したい。具体的には、海運の川崎汽船 <9107> やパワー半導体の富士電機 <6504> 、決済関連の東芝テック <6588> 、半導体パッケージ関連のイビデン <4062> など。また、配当利回り3%台のJR九州 <9142> は、もし7~9月期の決算が新型コロナ感染拡大の影響で良くなく株価が下落すれば、そこは買い場となりそうだ。
(聞き手・岡里英幸)
<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資情報部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。
株探ニュース