【村瀬智一が斬る!深層マーケット】足元の業績に安心感ある銘柄に資金シフトか?!

市況
2021年10月23日 8時00分

「足元の業績に安心感ある銘柄に資金シフトか?!」

●決算が本格化、期待値高いテクノロジー企業はコンセンサス下回る可能性も

日経平均株価は10月15日に上値抵抗線だった75日移動平均線を突破すると、20日には25日線を突破し、一時2万9489円と節目の2万9500円に迫る場面があった。しかし、21日に500円を超す大幅な下落によって75日線水準まで下落。週末22日はリバウンドから25日線水準を捉えるなど、テクニカル的なポイントを意識したトレードが売買の中心だった。

また、NYダウが最高値圏で推移し、VIX指数は一時15を割り込むなど、米国市場がリスクオン状態だったにもかかわらず、東京市場は連動性が薄く、システム的な動きに終始した印象もある。実際、東証1部の売買高は19日に10億株を下回るなど薄商いが続き、個別に決算を発表した企業などの短期的な値幅取り狙いの動きにとどまっている。特に、新興市場の中小型株などでは、強い値動きをみせている一部の材料株に短期資金が集中している格好である。

国内では主要企業の決算発表が本格化する。来週はエムスリー<2413>や信越化学工業<4063>、ファナック<6954>、オムロン<6645>、キーエンス<6861>、レーザーテック<6920>などの決算が予定されている。また、米国ではフェイスブック<FB>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>など大型テック株の決算発表が控えている。米国では主要企業の好決算が相次いでいるものの、IBM<IBM>やインテル<INTC>は慎重な見通しが嫌気されている。相当に期待値の高まっているテクノロジー企業についてはコンセンサスに届かない可能性があり、利益確定売りが強まる展開も意識されそうだ。

来週は予定されているコア銘柄の決算を受けた市場反応に関心が集まりやすいだろう。物色の流れとしては、第1四半期の進捗率の高い銘柄など、足元の業績に安心感のある銘柄に資金が向かいやすいと考えられる。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆ベネフィット・ワン <2412>

福利厚生やヘルスケアなどのアウトソーシングサービスのほか、人事労務関連のサービスと連携して、人事・健康データの管理・活用などのサービスを提供。8月には会員基盤とサービス流通の飛躍的な拡大を狙い、JTBの子会社であるJTBベネフィットの株式を取得し子会社化している。コロナ禍後も働き方改革や健康経営に対する企業の関心は一段と高まっていくとみられる。株価は9月高値水準で保ち合いを形成しているが、5500円水準での底堅さが意識されている。

◆UNITED <2497> [東証M]

ネット広告を主力に、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するDXコンサルティング事業を今後の成長が見込まれる最注力事業に位置づけている。このほか、動画クリエイタースクールやデザイナー特化型クラウドソーシングサービス、プログラミングに特化したオンラインスクール、ゲーム・コンテンツなども手掛ける。経済活動が正常化に向かうなか、ネット広告の需要が高まりやすいほか、DX支援サービスの需要拡大も期待されよう。株価は9月高値をピークに調整をみせていたが、足元のリバウンドで上値抵抗だった25日移動平均線をクリア。

◆JMDC <4483> [東証M]

健康保険組合向けに提供している自社開発のPHRサービス「Pep Up」に、新型コロナウイルスワクチンの接種情報を記録する機能を追加。ワクチン接種が進むなか、10月時点でワクチン接種記録の登録が15万人を突破した。経済活動の正常化に向けて、ワクチン接種完了を示す「予防接種済証」の必要性が高まると考えられ、利用者の増加が見込まれる。株価は75日線を支持線としてリバウンドを強め、年初来高値をおよそ1カ月ぶりに更新。需給状況は良好である。

◆ケミプロ <4960> [東証2]

紫外線吸収剤の世界トップメーカーとして培った技術に基づき、酸化防止剤や防錆剤、染顔料中間体、農薬中間体、写真薬中間体など、多種多様な製品を手掛ける。足元では受託製造などの取り組みが好調で、8月の第1四半期決算の発表時に、通期経常利益を従来予想の1.5億円→2.2億円(前期は1.1億円)に46.7%上方修正している。株価は9月、10月上旬に長い上ひげを残す格好でダブルトップを形成。その後、調整が続くものの、底堅さをみせた8月以来の水準まで下げており、仕切り直しのタイミングか。

◆Mipox <5381> [JQ]

液体研磨剤大手。箔の製造技術を応用し、「塗る」「切る」「磨く」技術をコアに事業を展開。研磨フィルムから研磨装置に至るまで幅広い研磨技術を提供する。受託コーティング・スリットサービスにおいて新規の受注が増え、8月の第1四半期発表時に、通期経常利益を従来予想の3億5000万円→7億円(前期は3億0100万円)に2倍上方修正している。株価は9月28日につけた年初来高値1287円をピークに一旦調整を入れたものの、75日線を支持線にリバウンドを演じ、再び年初来高値に接近している。

2021年10月22日 記

株探ニュース

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