データセンター爆需炸裂!「電力インフラ」疾風迅雷の激アツ8銘柄 <株探トップ特集>
―好業績評価で株価変貌へ、AI全盛時代は半導体よりも電力が成長ストーリーの核に―
予想を上回るスピードで 生成AIの急成長が続いている。今後はAIエージェントなどの社会実装が本格化していくなか、AIが人類の英知を超え自ら急速に能力を向上させていくという概念、いわゆるシンギュラリティ(技術的特異点)が現実的に意識される時代が迫りつつある。
株式市場では データセンターや先端半導体などの過剰投資懸念が取り沙汰され、一時は波乱含みの調整に見舞われたが、多分にショート筋の売り推奨ストーリーに乗せられた感は否めない。案の定、その後はグローバルベースで株式需給の歯車が逆回転を始めた。東京市場でもキオクシアホールディングス <285A> [東証P]をはじめ、いったんは売りのターゲットとなった銘柄群が息を吹き返し、軒並み巻き戻し局面へと舞台が回ったのは周知の通りである。猫も杓子もAI投資に邁進するさまは、将来的にバブルが醸成される可能性を完全に否定はできないが、今はそれを断定的に語れる時間軸にはない。現在進行形でAIが社会構造を変えているのは事実であり、実際に足もとでは業績好調に拍車がかかっている企業が多いことが、日米ともに今回の四半期決算でも明らかとなった。
●電力爆食の要塞と化すAIデータセンター
そして、これからAI全盛時代へと移行していくなかで、ボトルネックとして最も重要視されるのは半導体でも光ファイバーでもなく、永続的に需要が発生し続ける電力ということになる。グローバルベースでAIデータセンターの建設が加速するなか、電力の絶対量や電力を配給するシステムが決定的に不足している。裏を返せばこの電力インフラに関連する企業群こそが、AI関連の真の勝ち組となっていく。
国際エネルギー機関(IEA)によると、データセンターが2025年に消費した電力はおよそ485TWh(テラワット時)だが、これが30年には950TWhにほぼ2倍化する見通しが示されている。生成AI普及に伴う計算資源への負荷上昇は電力消費量に如実に反映される。それは、GPU(画像処理半導体)などのアクセラレータの稼働やHBM(高帯域幅メモリー)などのメモリー動作に電力が必須で、これに加え周辺機器や発熱を抑える冷却装置なども含め、AIデータセンターそのものが電力を爆食する要塞と化しているからだ。その際には、電気を送る送配電ネットワーク(系統容量)や電気を貯める蓄電池などの不足も合わせて、電力インフラに特化した膨大な市場が形成されることになる。これに「脱炭素」のテーマも絡むことを考慮すると、 再生可能エネルギーや原発関連分野も横断する形で、経済的なインパクトは極めて大きい。
●電力調達に目の色を変える米ビッグテック
AI先進国である米国はデータセンターの数でも世界の中で群を抜いている。世界のデータセンターの約半分が米国内に建設されている状況だが、ハイパースケーラーがひしめく同国はそれに伴う電力需要も膨大である。米コンサルティング大手のマッキンゼー試算によると、米国のデータセンターによる電力消費量は23年に147TWhだったが、30年には606TWhまで拡大するとの予測が示されている。
米ビッグテックもAIインフラへの投資で電力確保に腐心している。マイクロソフト<MSFT>は原子力大手コンステレーション・エナジー<CEG>と20年間電力を購入する契約を締結し、既存原発(旧スリーマイル島原発)の再稼働で電力を調達する。また、アマゾン・ドット・コム<AMZN>は原子力スタートアップのX-エナジー<XE>に出資、SMR(小型モジュール炉)を新設して長期で電力を確保する計画を発表している。
更にエヌビディア<NVDA>は5月にデータセンター事業者のIREN<IREN>と提携しエヌビディアを中核とするAIインフラを展開していく構想を明らかにした。また、今月に入って同社は、ブラックロック<BLK>やゴールドマン・サックス・グループ<GS>など米金融大手6社と戦略的提携を行い、AIインフラ投資に5000億ドル超の資金を動員する計画を発表。これにはデータセンターと合わせ電力設備への投資も当然含まれる。
●特大級の株高妙味を内包するAI電力関連8選
AIデータセンターの立地に関して電力が大きなウエートを占めるのは日本も同様である。発電・送配電システムの構築と、その「ツルハシ」となる変圧器・電力機器・蓄電池などを含めた電力インフラがもはやAIインフラのメインストリートとなる構図が明らかとなっている。株式市場でも、新たな視点で関連銘柄に投資資金が還流する公算は大きい。
米国でビッグテックを中心に広がるコンセプトが伝播し、東京市場においてもこれまでの「AI・半導体相場」に匹敵する「AI・電力相場」の看板が投資テーマとしてクローズアップされるまでさほど時間はかからないであろう。今回のトップ特集では、AIツルハシ銘柄の一角を担う電力インフラ関連株を対象に、中期的に特大級の株価変貌妙味を内包した8銘柄をリストアップした。
◎ニチコン <6996> [東証P]
ニチコンはアルミ電解コンデンサーの製造販売を主力展開し、AIサーバー向けで旺盛な需要を取り込むことに成功している。太陽光や風力といった再生可能エネルギー関連などパワーエレクトロニクス分野で実力を発揮。積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要エリアにおいて、積層形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサーを投入し商機をつかんでいる。27年3月期業績は営業利益段階で前期比35%増の87億円と大幅な伸びを見込むが、進捗率を考慮すると一段の増額修正の可能性を内包している。株価は8月5日に3325円の戻り高値をつけた後は調整を余儀なくされているものの、大勢戻りトレンドに変化なく3000円未満の水準は絶好の拾い場となりそうだ。
◎指月電機製作所 <6994> [東証S]
指月電は三菱系のコンデンサーメーカーで電力機器システムも手掛ける。大型コンデンサーに優位性を持ち、とりわけフィルムコンデンサーでは業界全体の過半のシェアを有するニッチトップ企業として不動の地位を確保している。そうしたなか、AIデータセンター向け無停電電源装置(UPS)用の案件獲得が進んでおり、今後の展開にも期待が大きい。業績は26年3月期の営業利益が前の期比27%増の大幅増益で11年ぶりに過去最高を更新したのに続き、27年3月期も前期比19%増の30億円予想と高成長を継続し、連続ピーク利益更新が濃厚とみられている。目先動意も株価指標面で割高感はなく、時価は年初来高値1537円からのディスカウントも利いており狙い目といえる。
◎カナデビア <7004> [東証P]
カナデビアは旧日立造船として知られるが、造船分野からは撤退しゴミ焼却施設や産業廃棄物プラントなどを手掛ける。データセンターが爆食する電力対応では、同社が手掛けるオンサイト型水素製造装置「HYDROSPRING(ハイドロスプリング)」を展開しており、太陽光や風力などの再生可能エネルギーとの相性が良いこともポイントとなる。水素サプライチェーンを川上から川下まで一気通貫で提供できる企業として、電力供給と脱炭素の両テーマを同時にクリアする重要なポジションを担う。27年3月期は業績急回復が見込まれ、営業利益は前期比2.1倍の255億円を予想。上値抵抗ラインの75日移動平均線を早晩ブレイクし1300円台乗せから下値を切り上げる展開へ。
◎日本コンクリート工業 <5269> [東証P]
日コンは基礎杭(パイル)やポール(支柱)、各種プレキャスト製品などを手掛ける。売上高構成はパイルの製造・販売・施工まで一気通貫で手掛ける基礎事業と、配電や通信向けなどで使われるポール製品を中心とするコンクリート二次製品事業に二分されている。データセンター向け電力インフラでは、同社のポール製品のほか、電線地中化に対応した地中送配電線用材などで活躍期待が大きい。27年3月期はパイルが高水準の受注残を背景に収益貢献、業績急回復局面に移行する。営業利益は前期比5.9倍の19億円を見込むが、これは過去最高利益(27億4600万円)を記録した21年3月期以来の6期ぶりの高水準だ。PERやPBRなどからも300円台の株価は評価不足歴然。
◎菊水ホールディングス <6912> [東証S]
菊水HDはエレクトロニクス関連の電子計測器や電力設備向け電源機器を製造販売し、据置型の直流安定化電源や耐電圧試験器などで強みを有する。近年はAIデータセンター内に設置されるサーバー用電源や電力システムのテスト(評価)でビジネスチャンスを捉えている。AIサーバーは大容量・高速化が一段と求められるなか、独自の多彩なソリューションを駆使し電源評価で国内大手の地位を確立している。業績は22年3月期以降、前期まで5期連続で増収増益路線をひた走り、27年3月期も売上高・営業利益ともに過去最高更新が続く見通し。営業利益は前期比18%増の25億2000万円を見込む。株価的には商い薄だが値動きの軽さは特筆される。早晩、最高値2690円の奪回も視野に。
◎大崎電気工業 <6644> [東証P]
大崎電は電力使用量の測定に使うスマートメーターで国内シェア首位、電力会社向けを中心に抜群の実績を誇る。また、売上高全体の約4割を海外で占め、100%子会社を通じたグローバル展開にも期待がかかる。スマートメーターは通信機能や遠隔操作機能を携え、電力インフラでは必須のアイテムとなっている。そうしたなか、IoT端末化を進め再生可能エネルギー対応も強化された第2世代のスマートメーターの出荷が本格化し、新たな収益成長シナリオが現実味を帯びてきた。今後、AIデータセンター関連の需要拡大が加速しそうだ。27年3月期営業利益は前期比24%増の81億円を見込む。株価は安値圏もみ合いから離脱気配にあり、中勢2000円台回復が視野に入る。
◎イーレックス <9517> [東証P]
イーレックスは新電力会社の先駆け的存在で、電力小売りや電力卸売りを展開し、とりわけバイオマス発電で強みを持っている。バイオマス発電所は稼働中のもので国内に5基保持しており、同分野では国内首位級。このほか2基を所有し、新潟のバイオマス発電所は29年度に運転開始予定にある。27年3月期は電力価格上昇と国内外の事業拡大効果により、売上高が前期比で4割強の急増を見込む。営業利益は前期比4%増の78億700万円予想と回復トレンドが続く。第1四半期(26年4~6月)に営業利益が前年同期比57%減と大きく落ち込んだが、これはデリバティブ損失の影響などによるもので、会社側では収益への影響は一過性としている。株価は4ケタ大台回復が当面の目標。
◎ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> [東証P]
GSユアサは蓄電池メーカーの大手で自動車用鉛蓄電池では世界シェア2位。車載用鉛蓄電池や産業用電池電源などで実績が高く、リチウムイオン電池の育成にも傾注している。データセンター向けではバックアップ用途電源関連の商機を捉えている。UPSと蓄電池を一体で非常用電源システムとして納入するが、今後も同分野の生産設備拡張に向けた成長投資に力を注いでいく構えだ。営業利益は23年3月期から26年3月期までの4年間で年間平均成長率が28%と非常に高い。27年3月期の同利益は前期比5%増の630億円と伸び率こそ鈍化する見通しながら過去最高更新が続く。株価は戻りトレンドの初動、75日移動平均線の位置する6300円近辺がターゲットに。
株探ニュース