明日の株式相場に向けて=「トヨタ買い・テスラ売り」のステージへ

市況
2021年12月21日 17時01分

きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比579円高の2万8517円と急反発。欧米株安を受け更なる下値模索かと思いきや、取引開始前の225先物が澄まし顔でプラス圏にあり、きょうは自律反発のターンにあることを示唆していた。確かに日経平均は前日までの2営業日で1100円強の大幅な下げをみせてはいたが、3営業日前は600円を超える上昇を演じていたわけで、何のことはない4営業日前の株価水準に戻っただけのことである。

前日までの地合いが打って変わって強気に傾き、全体相場は急反騰に転じたが、なかなかこの短期的な流れを読み切るのは困難である。225先物を絡めたAIアルゴリズム売買に振り回されていることは間違いなく、足もとの日経平均は乱高下が続いているが、これは目くらましで判断材料とはならない。ただし、ここでの乱高下は高値波乱の要素が強いということはいえる。全体相場は長期トレンドとして下向きに変わっている可能性も考慮しておかなければならない。2008年のリーマンショック前を引き合いに出すのは、当時と経済状況が大分違うので妥当性がないという指摘もあるが、少なからず類似点があることも確かだ。市場関係者の間でも来年の相場を強く見る向きと弱く見る向きが混在している。

問題はマザーズ市場で、今年年初からのチャートを改めて眺めてみて、起伏は激しいが見事と言えるくらいの下値切り下げ型のチャートとなっている。昨年のチャートと見比べればその違いは際立っており、昨年10月中旬を境に中長期上昇トレンドは終了した形となっていることが分かる。これが日経平均の近未来図を示すという根拠はないが、個人投資家の体感温度の推移は明らかにマザーズ市場のチャートの方であると思われる。

ただし短期的な投資戦略の観点では、日経平均が大きく上昇することによって市場のセンチメントが改善することも事実であり、個別銘柄の値動きに影響を与える。どこに投資資金を振り向けるかという話しになると、旬な投資テーマに乗る銘柄群にフラッグが立ちやすい。今ならば、やはりカギを握るのはトヨタ。同社がグループを挙げて戦略的布陣を固めている電気自動車(EV)関連セクターが注目となる。

本丸であるトヨタ自動車<7203>の株価も注目で、一時は米テスラ<TSLA>にあっという間に時価総額で抜かれ、その後もその差は広がるばかりであったが、最近は「トヨタ買いのテスラ売り」というロングショート戦略も一部観測されているもようだ。「トヨタがお披露目したEVが非常に優れた代物で、テスラの存在がにわかに霞んだ」(ネット証券アナリスト)という声も聞かれる。現在、トヨタの株価は上場来高値近辺でもみ合いを続け、一方でテスラは11月下旬を境に急速に下値を探る展開に変わっている。テスラが今後一段と下げを加速した場合、それは米国株全体のバブル崩壊を暗示するという由々しき見方もあるが、それは置くとして、トヨタとテスラこの両銘柄の値動きはセットで注目となる。

EV関連では、きょうはユニバンス<7254>が一時ストップ高に買われる人気となった。こちらはEVに早くから傾注している日産自動車<7201>を主要顧客とする自動車部品会社だが、モーターやインバーター、車軸などをコンパクトに統合した電動車向け駆動部品ユニット「eアクスル」に力を入れ、来たるべきEV時代を念頭に布石を打っている。また、自動車のエレクトロニクス化が進むなか、車載用プリント配線板需要に追い風が強まる日本CMK<6958>もEV関連の側面が見直されて急動意、人気素地を開花させている。

このほかマークしておきたいのは、車載用リチウムイオン2次電池の充放電の性能試験で高い実力を有するIMV<7760>、EV向けサーミスタセンサーの能力増強を進める大泉製作所<6618>などが買い場となっている感触だ。

あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(10月27~28日開催分)が開示される。海外では、タイ中銀が政策金利を発表、7~9月期の米GDP確報値、12月の米消費者信頼感指数、11月の米中古住宅販売件数など。なお、国内ではIPOが6社予定されており、マザーズ市場に、リニューアブル・ジャパン<9522>、サクシード<9256>、Finatextホールディングス<4419>、網屋<4258>、サインド<4256>、THECOO<4255>が新規上場する。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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