明日の株式相場に向けて=「中低位株物色」佳境入りへ

市況
2021年12月27日 17時00分

週明け27日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比106円安の2万8676円と続落。クリスマス休暇に伴い海外投資家の参戦が見込めず、東京市場は薄商いが続いている。前週から数えて4営業日連続の2兆円割れとなった。きょうは主力株の買い手控えムードがとりわけ顕著で、気を吐いたのは1350億円あまりの売買代金をこなし2位のソフトバンクグループ<9984>の倍以上をこなしたレーザーテック<6920>くらい。このほか、東京エレクトロン<8035>が活況高となり日経平均にプラス寄与したが、あとはインデックス商いに引きずり回され軟調な銘柄が多かった。

個人投資家の土俵であるマザーズ市場も重苦しいムードが拭えない。きょうのマザーズ指数は1.8%安と反落し、5日移動平均線は上向きに変わってはいるものの、依然として底入れが確認できない状態が続いている。今月は空前のIPOラッシュとなったが、直近IPO銘柄のセカンダリーも玉石混交とはいえ総じて冴えない。この日マザーズに新規上場した2銘柄についてはセキュア<4264>はカイ気配のまま引けた。しかしアジアクエスト<4261>の方は公開価格の2.3倍で初値を形成し、その後もいったん上値を追う姿勢をみせたがパフォーマンスはそこまで。その後失速して結局上ヒゲ大陰線の初日となった。

個別株の流れは引き続き中低位株で、こちらは百花繚乱の様相を呈してきた。値ごろ感から個人マネーを誘導しやすいということもあるが、もう一つ人気素地を開花させている銘柄群に共通する重要なことは、足もとの業績変化が際立っていることだ。実態の伴わない株は思惑で人気化しても、結局短期間で往って来いとなるケースも少なくない。しかし、当該企業のファンダメンタルズが大きく良化しているのであれば、それは思惑買いではなく見直し買いである。投資マネーの目線が中低位の株価ゾーンに下がってきたことで、水かさが増すように株価水準を切り上げる銘柄が相次ぐ。21年相場の実質最終商い日を目前に控え中低位株のかさ上げがマーケットの“隠れテーマ”となっている。

好材料が出たからと言えばその通りだが、アトラグループ<6029>やタムラ製作所<6768>のストップ高人気は今の地合いで投資資金が流れ込む方向性を暗示している。アトラGについては伊藤忠商事<8001>との業務委託契約を締結したことは、時価総額30億円前後の企業にとってインパクトの大きいものとなった。ファンダメンタルズ面からのアプローチでは決して好業績株には含まれないが、既に前12月期の営業大幅赤字から今期は黒字転換のメドが立っており、業績の“高変化”という点では評価できる。

このほか、中低位株でいくつかマークしておきたい銘柄をいくつかピックアップしてみると、まずプリント配線板 メーカーでデンソー<6902>を販売先としているシライ電子工業<6658>の500円台半ばは食指の動く水準だ。また、同じくプリント配線板の京写<6837>も目が離せない。片面プリント配線板では世界トップの競争力を誇る。

半導体周辺では産業用メモリーやタッチパネルを手掛けるミナトホールディングス<6862>に改めて目を配りたい。上ヒゲをつけやすい銘柄特性は留意する必要があるが、400円台後半の上昇一服場面は狙い目。22年3月期営業利益は前期比2.5倍を予想。また、300円台前半とさらに低位のFIG<4392>も株価が緩む場面は拾っておきたい。モバイルクリエイトが傘下の石井工作研究所などと共同持株会社の形で発足した会社だが、モバイル通信のノウハウに加え半導体関連装置分野も手掛ける。自動運転市場の拡大でビジネスチャンスが膨らむ。21年12月期は営業損益が5億円の黒字予想と前期の2億8400万円の赤字から急改善する見込みにある。このほか電気自動車(EV)用駆動装置で高評価を獲得しているユニバンス<7254>も注目。今月中旬を境に株価は急動意しているが、業績は21年3月期の6億6100万円の営業赤字から一転して、22年3月期に30億円の黒字予想と驚異的変化を遂げる見通し。最終利益がゲタを履いているとはいえ時価予想PER7倍台は割安で、今なお有力な見直し買い対象であることに変わりない。

あすのスケジュールでは、11月の有効求人倍率・失業率、11月の鉱工業生産指数速報値など。海外では10月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数など。なお、英国、オーストラリア、ニュージーランドの各市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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