横山利香「ボラティリティ高まる2022年、“新テーマ銘柄”が人気化する兆しを捉えよう!」 <新春特別企画>
◆選別のキーワードは出来高急増と高値更新
1つ目の方法は、出来高や売買代金が急増している銘柄から探す方法です。出来高や売買代金が急増している銘柄は何らかの理由があって突然、商いが膨らんでいるわけですから、テーマに結びつくような材料などが何か出ていないかを確認しましょう。そして、それが一時的な急増に終わらず、時間をかけてじっくりと出来高を伴って株価が上昇していくのかを継続的に観察していきましょう。
そして2つ目の方法は、前日高値を更新する、もしくは新高値を更新する銘柄から探す方法です。高値を更新する場合、オシレータ系のテクニカル指標ではすでに過熱感が生じているケースが多くなります。確たる材料もないのに、ただの思惑で勢いづいただけの短期的な上昇であるのか、それとも本物の中長期的な上昇になるのかを冷静に判断する必要があります。出来高が時間を伴って大きくなり、かつ高値を更新し続けるようであれば本物の上昇である可能性も高まりますので、継続的に観察していくことが必要でしょう。
実際に、2021年にかけて中長期的に上昇した日本郵船 <9101>のチャートを確認してみましょう。2021年1月に2000円台半ばにあった株価は3月下旬には4100円台まで上昇します。株価が高値を更新するたびに出来高が増加する様子がチャートからはわかります。この株価と出来高の動きはその後も続きますが、8月頃から出来高がそれまでとは違うレベルで急増し、8月初めの6000円台から9月27日の1万1300円まで高値を次々と更新していきます。このように高値更新か出来高急増のどちらかの動きに気づくことができれば、株価上昇の初期段階から目をつけることができるため、商船三井 <9104> などの同業他社の値動きも併せて観察することで、海運株の盛り上がりをいち早く察することができたことでしょう。
●図1 日本郵船 <9101> (2021年1月~6月)
●図2 日本郵船 <9101> (2021年6月~9月)
私たち個人投資家は、誰よりも早く有望な銘柄を見出すことで満足感を得ようとする生き物ですから、まず短期の株価変動をいち早く捉えることのできる日足チャートを使って銘柄を抽出しましょう。しかし、抽出した銘柄は日足だけにとどまらず、週足や月足も併用して分析を続けていきましょう。
経験則的に言えば、個人投資家は好奇心が強い傾向にあり、世の中の一歩先を行く以上に、流行の最先端を探し続けています。しかし、株価が「大化け」へと花開く瞬間は、一般の方々も興味を持つようになり大流行あるいは売り上げが急伸して業績に反映される時です。つまり、個人投資家の注目が高まっても、業績に反映されてさらなる買いを集めるようになり、株価がようやく花開くまでには相当の時間がかかるのです。そのため、足元の株価の動きを日足チャートで確認するだけでは不十分で、少し長めの時間軸である週足チャートや月足チャートでも確認することが必要となるのです。
ただ、株価が下落すれば落ち込んでしまい、目先の動きにどうしても右往左往してしまいがちで、忍耐力という名の握力は意外に弱いものではあります。そう考えると、勝つか負けるかは、買った時にすでに決まっているのかもしれませんね。さらに、市場環境が劇的に変わってしまうこともありますので、有望に思えても毎回花開くわけではないという現実もあります。私を含め個人投資家には慢心や奢りは禁物であるという点は肝に銘じなければなりません……。
2022年はコロナの落ち着きとともにファンダメンタルズも変化していくことになるでしょうから、新たなテーマが登場するかもしれません。たとえば、最近話題となっている仮想空間で様々な人々がアバターとなって交流する「メタバース」や、ブロックチェーン技術を使ったデジタル資産の「NFT」は、まだ一般の人々にはあまり馴染みのない最新技術です。ただ、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684>やソニーグループ <6758> などのゲーム関連、マネックスグループ <8698>やGMOインターネット <9449> といった暗号資産関連などがそのテーマの有力銘柄として挙げられている様子を見ると、すぐにというわけではありませんが、スマートフォンが誕生した時のソーシャルゲームのような存在に育つ可能性もあるのかもしれません。
また、こうした最新技術が普及すればするほど大容量インターネットが必要不可欠となり、新たな次世代通信規格「6G」に注目が集まることになれば、再び通信関連銘柄が脚光を浴びるかもしれません。さらに、それを利用するためのデバイスも一段と高機能化するでしょうから、半導体関連企業への需要もいっそう高まることは想像に難くありません。
世の中は新たな流行を起点にいつも新たなサイクルを作り出します。そして、その流行は「多くの人に支持される身近な銘柄を中心に誕生することが多い」という点を忘れてはならないでしょう。コロナ禍の終わりがようやく見えてきた今、多くの投資家が「本当にこれは花開くものなのか?」と懐疑的に思う中で、すでに有望成長株は育っているのかもしれませんから、ふるい落とすことがないようにしなければなりません。新たな有望株がはっきりと見える時、すでにある程度値上がりしている可能性もありますので、ぜひチャートを使って様々な銘柄を探してみてくださいね! (2021年12月28日 記)
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