明日の株式相場に向けて=「EV&半導体」はトヨタとソニーが牽引

市況
2022年1月4日 17時00分

2022年の大発会となった4日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比510円高の2万9301円と大幅高でスタートした。前日にひと足早く新年相場の幕が上がった米国株市場では主要株指数が揃って上値を指向した。NYダウS&P500指数がいずれも史上最高値更新となったことで、相対的に出遅れる東京市場もこれに追随、“千里を走る虎”らしく、まずは理想的なロケットスタートを決めた。

ただし、例によって225先物主導で押し上げられ、主力株には実需の買いとそうではない買いが入り混じっていたようにも見受けられ、手放しで喜べる上昇ともいいにくい。日経平均は昨年末にかけてタックスロス・セリング、即ち損出し目的の売り圧力が上値を押さえていたが、年明けからその重石が消え、海外投資家の買いを誘導しやすかったという背景もある。個人投資家の土俵である東証マザーズ市場は、これとは別世界で売りに押される状況。ネット証券大手の店内データによる昨年末時点のマザーズ市場の信用評価損益率は、24.4%と依然としてイエローシグナルが点灯したままの状態で油断はできない。

現状はFRBも量的緩和を継続しているとはいえ、ベクトルの向きは金融引き締め方向にあり、以前のような過剰流動性に過度に期待できる相場環境にはない。今週5日に開示が予定される12月開催分のFOMC議事録の内容次第で相場は荒れる可能性もあり、引き続き個別株はヒット・アンド・ウェイの機動的な売買を心掛けておく方がよさそうだ。

個別銘柄の動向では主力株でも実需の買いが入っているものとそうでないものが入り混じっているとしたが、海外投資家の実需買い対象として存在感を高めているのがトヨタ自動車<7203>だ。きょうは為替のドル高・円安も追い風に、満を持して11月17日につけた高値2188円を上抜き、約1カ月半ぶりに上場来高値を更新。同社が打ち出している新たな電動化戦略が欧州や中国の電気自動車(EV)シフトに十分対応できているものであること、そしてエレクトロニクス武装が進む自動車の進化の先に、AIとの融合による自動運転シナリオがはっきりと描き出されていることが同社株の評価を高めている。

この流れのなかで、自動車部品・部材や車載システム全般を手掛ける周辺株に投資マネーの熱視線が注がれている。EV関連では三井ハイテック<6966>とデンソー<6902>がツートップ銘柄としての役割を担っている。また、同関連の中小型株も何度か取り上げてきたユニバンス<7254>が想定以上のパフォーマンスを上げ、その効果もあって幅広く物色人気が波及している。そのなか、プラスチック成形関連機器を手掛けEVで必須となる車体軽量化のテーマに乗り、全固体電池の量産化技術も有するカワタ<6292>が急動意しているが、まだ相場が新しく、押し目は買いで対処してみたい。また、トヨタ系の大豊工業<6470>やIJTT<7315>も値ごろ感があり、PERなど株価指標面でも水準訂正妙味を内包している。自動運転 システムに絡むところではアイサンテクノロジー<4667>が関連株として急騰したが、トヨタと資本・業務提携関係にあるALBERT<3906>も動兆、タイミング的にもマークしておきたい。

自動車周辺(EV及び自動運転)以外では、半導体セクターに強いものが目立つ。東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>半導体製造装置のツートップだが、新たな指標株としてはソニーグループ<6758>が挙げられる。自動運転分野とも密接にかかわるCMOSイメージセンサーの成長性に加え、台湾の半導体ファウンドリー最大手TSMC<TSM>と半導体生産ライン構築で協業というポジションを獲得した同社に対し、海外投資家が向ける視線も明らかに変わっている。

そうしたなか、半導体関連の中小型株にも再評価余地が生まれている。半導体需要と並行して市場拡大が見込まれるプリント基板とプリント配線板では有沢製作所<5208>に目を配っておきたい。また、自動機械の大手で半導体向け薬液制御機器などで高い商品競争力を誇るCKD<6407>の2400円近辺も魅力がある。

あすのスケジュールでは、朝方取引開始前に12月のマネタリーベースが開示されるほか、午後に12月の自動車販売台数、12月の消費動向調査が発表される。海外では12月のADP全米雇用リポート、FOMC議事録(12月14~15日開催分)など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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