窪田朋一郎氏【目先リバウンド局面に、戻り相場は持続できるか】(2) <相場観特集>
―米国発のリスクオフ相場一巡、ここからの相場展望を読む―
週明け31日の東京株式市場では日経平均が続急伸となった。前週末の米国株市場で主要株指数が大幅反発をみせ、目先リスクオフの巻き戻し局面に入っている。前週に日経平均は一時2万6000円トビ台まで売り込まれたが、前週末に急反発し、その流れを引き継いできょうは、グロース株への買い戻しが加速し2万7000円台に戻している。2月相場を目前に、ここはどういう投資スタンスを取るべきか。先読みに定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。
●「リスク回避売り一巡も月後半を警戒」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
FRBの金融政策が引き締め方向に転換するとの見方が重荷となり、日米株式市場は大幅な調整局面を強いられたが、足もとはいったんリバウンド局面に移行している。毎月月末はリバランス目的の売りもしくは買いの動きが出やすいが、今月はリスクオフ相場の様相となり大きく売り込まれた月であったことから、きょうはリバランスの買いを呼び込む格好となった。
あすは月初の買いが入りやすく、もう一段の上昇もありそうだ。米金融政策の正常化の過程で流動性は縮小する方向にあるものの、現状はまだ緩和局面にあり潤沢な待機資金が株式市場に滞留している。ただし、米インフレに対する警戒感は簡単には拭えず、2月後半は金利動向を横目に再び不安定な値動きが想定される。
今週末2月4日には1月の米雇用統計の発表があり、この結果が株式市場にも影響を与えそうだ。注目されるのは賃金インフレが進んでいるかどうかで、平均時給の伸び率がカギを握ることになる。12月は前年同月比4.7%の伸びを示していた。1月は事前コンセンサスでは前年同月比5.2%増が見込まれているが、ここから大きく上振れるようだと、FRBのタカ派色が一段と強まることへの警戒につながる。
一方、日米ともに企業業績は好調であり、これが株高の足掛かりとなる可能性はあるものの、米国の場合はインフレとの見合いで素直に上昇とはならない部分もある。また、原油市況が高騰していることには注意が必要で、ウクライナ情勢などがきっかけとなり1バレル=100ドルを目指すような動きが強まれば、インフレを助長し企業収益にはデメリットを与えることになる。2月の日経平均株価の想定ゾーンは上値が2万8000円、下値2万5800円と引き続き値動きの荒い展開のなか方向感が見極めにくい相場となりそうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース