開催迫る北京五輪、「ウインタースポーツ」関連に高まる活躍期待 <株探トップ特集>

特集
2022年1月31日 19時30分

―新型コロナ、外交ボイコットで揺れるも、メダル奪取で関連株の刺激材料に―

2月4日に 北京冬季五輪の開幕が迫っている。いまだ収束のメドが立たない新型コロナウイルスとの闘いや、中国を巡る外交ボイコットなど多くの問題を抱えながらの開催となる。中国経済の失速が懸念されるなか、習近平国家主席は“異例の3期目”を目指すうえでも、五輪を成功裏に終わらせなければならない。政治と経済が複雑に交差する北京開催となるが、世界最大の冬のスポーツの祭典であることに変わりはない。株式市場は、米金融政策の正常化に対する警戒や急速に緊迫化の度合いを増すウクライナ情勢を背景に波乱展開をみせ、個別銘柄の多くが大きく下落している。こうした状況下、競技における成績次第では、ウインタースポーツ関連など冬季五輪に絡む銘柄が思惑人気に急上昇する可能性もある。開幕が急接近するなか、北京冬季五輪に絡む銘柄の動向をチェックした。

●材料豊富なスポーツ関連

北京オリンピックは、2月4日から20日までの期間で開催され、冬季大会では史上最も多い109種目で熱戦が繰り広げられる。また、北京パラリンピックは、3月4日から13日まで行われる。世界的な新型コロナの感染拡大により厳しい感染対策が取られ、観客については限定し、一般客のチケット販売は行わないと伝わっている。今大会は東京五輪と同じく、外部との接触が遮断される、いわゆる「バブル方式」が採用されているが、北京ではより一層の厳しい管理体制が取られている。

ここにきての株式市場の急激な変調から、スポーツ関連株も総じて下落しており、さながら直滑降でのスキー競技といった様相だ。「落ちてくるナイフはつかむな」という相場格言があるが、当面その状況は続く可能性もある。ただし、コロナ禍にあってもスポーツ関連株の企業業績は堅調なものが多く、株式市場が正常軌道に復帰すれば再評価機運を背景に、株価も浮上する可能性が高い。加えて、今年の11~12月にはカタールでサッカーワールドカップが開催されるうえ、札幌市の2030年冬季五輪招致への思惑も高まるなか、スポーツ関連の株価を刺激する材料に事欠かないことも忘れてはならない。

●ゴルドウインは中国初の旗艦店

北京冬季五輪開催が決定して以降、同国では所得の増加による中間層の拡大も追い風にしてウインタースポーツ人気が急速に高まっている。日本国内においては、加速する少子高齢化に加え多様な冬季レジャーの出現により、スキーなどの市場規模は縮小傾向が続いている。景気減速懸念が深まる中国とはいえ、14億人ともいわれる巨大な人口を抱える成長市場を見つめる日本企業の視線は熱い。

ゴールドウイン <8111> は昨年12月に中国初の旗艦店「Goldwin Beijing」をオープンした。オリジナルブランド「Goldwin」のグローバル化を推進し、拡大を続ける中国スポーツマーケットをにらみ、ウインタースポーツの拠点でもある北京に出店した。米国、ドイツに続く旗艦店となるが、欧米・アジアでの長期的な成長を見据えた海外戦略の一環だという。11月5日に発表した22年3月期第2四半期累計の連結営業利益は前年同期比2.7倍の32億9900万円で着地。通期は前期比5.7%減の140億円を見込むが、取り扱い比率の高い秋冬商品の販売ピークを考慮すると、ここからの動向に注目が集まる。

●ヨネックス、スノボーでも活躍期待

昨年の東京五輪において、テニスの大坂なおみ選手とスポンサー契約を結んでいることで注目が集まったヨネックス <7906> [東証2]だが、北京冬季五輪でもスポットライトが当たる可能性がある。スノーボード・ハーフパイプでメダル獲得が有望視される戸塚優斗選手は同社所属。ハーフパイプは2大会連続銀メダルの平野歩夢選手なども出場する人気種目なだけに、戸塚選手の成績次第では株価に刺激を与える可能性もありそうだ。バドミントン、テニス、ゴルフが3本柱の同社だが、意外にもスノーボードの歴史も古い。1995年にGATTA(ガッタ)のブランドでスノーボードに参入。現在は世界初のカーボンスノーボードメーカーとして世界のトップアスリートを支えている。22年3月期通期は営業利益段階で前期比5.3倍の55億円を見込むものの、株価は昨年12月9日に1113円をつけて以降は下落局面入り。現在は700円水準まで急降下している。

●ミズノ、デサントにも注目

ミズノ <8022> は22年3月期通期で営業利益70億円を計画する。「収益認識に関する会計基準」適用のため前年との比較はないが、第2四半期累計の連結営業損益は55億7100万円の黒字(前年同期は9億300万円の赤字)に浮上し、進捗率は79.6%に達している。同社は、多くのウインタースポーツ用品を手掛けているが、直近では28日にスピードスケート・ショートトラック日本代表選手が使用するレーシングスーツを開発したと発表。前回のモデルから約28%の軽量化を実現し動きやすさを追求したという。12日には、空気抵抗を約3%削減したスピードスケート日本代表のレーシングスーツが完成したと発表するなど技術力で選手をサポートする。

また、北京冬季五輪で日本選手団の公式ウェアを手掛けるデサント <8114> の動きからも目が離せない。同社は昨年11月5日に発表した、22年3月期第2四半期累計で連結最終損益が24億8700万円の黒字(前年同期は12億6500万円の赤字)に浮上し、従来予想の20億円の黒字を上回って着地。通期も50億円から62億円に上方修正している。

●クラレ、土屋HD、シスメックス、北野建

五輪では、前述のヨネックスの戸塚選手をはじめ所属選手が活躍することで、その企業の株価を刺激することも多い。北京冬季五輪においても、企業に所属、あるいはスポンサー契約を結ぶ選手が多く出場する。メダル候補としては、フィギュアスケートの羽生結弦選手(ANA所属)や宇野昌磨選手(トヨタ自動車所属)が挙げられるが、ANAホールディングス <9202> やトヨタ自動車 <7203> の株価刺激材料としては期待しにくい。

クラレ <3405> 所属で悲願の金メダルを狙うスキージャンプの高梨沙羅選手、今季絶好調で先日もノルディックスキーのW杯ジャンプで7勝目を挙げた土屋ホールディングス <1840> [東証2]の小林陵侑選手、フィギュアスケートでシスメックス <6869> の坂本花織選手など注目。また、ノルディック複合で北野建設 <1866> に所属する渡部暁斗、善斗兄弟にも活躍期待が高まっている。

●目を配っておきたいモリト

人気種目にスポットライトが当たり、株価が急動意した例も少なくない。昨年の東京五輪でも、服飾付属品商社でスケートボードの販売も手掛けるモリト <9837> の株価が大きく上昇し注目を集めた。スケートボード男子ストリートの堀米雄斗選手が金メダルを獲得、また同じく金メダリストで「13歳 真夏の大冒険」のフレーズで一躍人気となった西矢椛(もみじ)選手の活躍などでスケボー人気の高まりによる売り上げ増を期待した思惑買いが流入した格好だ。ちなみに、同社は18年にスノーボードなどの輸入販売を手掛けるマニューバーラインを子会社化しており、目を配っておくのもおもしろそうだ。

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