藤代宏一氏【上値重い日経平均、東京市場に春の兆しは見えるか】(2) <相場観特集>

特集
2022年2月7日 19時45分

―金融引き締め警戒と業績相場への期待が錯綜するマーケット―

週明け7日の東京株式市場は、リスク回避ムードのなか日経平均株価は軟調な展開となった。前週末の米国株市場は主要株指数が高安まちまちだったとはいえ、1月の米雇用統計発表を受け、FRBによる利上げや量的引き締め策への警戒感が改めて強まっている。3月期末にかけて日経平均は戻り足を継続できるのかどうか。全体相場の見通しや物色の方向性などについて、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「3月FOMCまでボラタイルな展開か、日本株に相対的割安感」

藤代宏一氏(第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト)

先週末4日の米1月雇用統計が堅調な内容だったことから、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%利上げを予想する見方も増えたようだ。しかし、現時点では米連邦準備制度理事会(FRB)は3月、5月、6月に0.25%ずつの利上げを実施するとみている。3回連続で利上げを行い、その後は四半期ごとに1回の利上げをし、年5回の利上げを行うと予想する。来年も複数回の利上げが予想されるが、その点を市場は夏場以降、探っていくのだろう。

市場は、年前半での3回の利上げを織り込みつつあるようにも見えるが、FOMCが近づくとやはり、金融引き締め懸念を嫌がる展開が予想される。方向感として引き締めに対する警戒は、なお消えないだろう。市場にアク抜け感が出るとすれば、3月15~16日のFOMC以降かもしれない。それまで、ナスダック市場を中心に米国株式相場はボラタイル(変動が大きい)な展開が続きそうだ。もし、米長短金利が逆転する逆イールドが発生するようなことがあれば、市場はネガティブに反応することも予想される。

ただ、東京市場にはバリュー株が増えており、日経平均株価はナスダック指数など米国株に比べて相対的に、底堅い展開も予想される。東京市場では過去2年間で上昇した銘柄が売られているが、その一方で、海運株のほかにも鉄鋼株化学株商社株など低PERで配当利回りなどでも割安な銘柄は少なくない。これらバリュー株が支える格好となり、底堅い展開も予想される。当面の日経平均株価は2万7000円前後を安値に下値を固める展開を見込んでいる。ただ、上値も重く、戻り局面では売りに押される場面も予想される。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ふじしろ・こういち)

第一生命経済研究所経済調査部・主任エコノミスト。担当は金融市場全般。2005年4月、第一生命保険入社。08年、みずほ証券出向。10年4月第一生命経済研究所出向、同年7月内閣府経済財政分析担当へ2年間出向。12年7月副主任エコノミストを経て、15年4月より現職。

株探ニュース

人気ニュースアクセスランキング 直近8時間

特集記事

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.